アレクサンダーテクニーク

今回は、SidewaysVocal Lessonの序文にも記してありますが、どんな考え方や捉え方を、レッスンの軸にしているのかを記しておきたいと思います。

これだけ多種多様な時代ですから、こちらのマガジンでも書いてきたように、声や歌唱に関しても様々な意見が世の中を錯綜しています。

我々は個人レッスンを基本としているので、当然担当する講師の色や経験、考え方が大きく作用するわけですが、ひとつSidewaysで参考にしている考え方があります

それが「アレクサンダーテクニーク」という名で知られる心身技法です。

といっても何かそれに対する資格を持っているわけでも、それについて詳細に教えていく、という訳では全くありませんが、私たちが最も参考にさせていただいている身体や思考の使い方です。


簡潔に言えば、人間には本来備わっている潜在的な能力や反応があり、それらをいかに今の時代に適応させるべく、自身の思考を含めた身体の使い方を見直していくか、というような内容になっています。

つまり、声の出し方というよりは、心身そのものの在り方や使い方の指導なので、当然声楽だけでなく楽器演奏にも、ダンスにも、スポーツにもリハビリテーションまで、心身を使うものなら全てに当てはまる考え方だと言えると思います。

それらを参考にしながら、Sidewaysでは簡単に3つの指針を重要視しており、

1. まずどうなりたいのか(目標設定とその手段まで)
2. 現在の自身の心身の状態を客観視(1の目標に対して今自身はどこにいるのか)
3. 目標に対して、自身の今の状態から出来る一歩目は何か(当面のレッスン内容)

という順序で導き出していきます。

しかし、レッスンを行なっていますと、3番の内容から入ろうとする方が非常に多く見受けられます。

そうすると自分はどこに向かってるのか、ただ習ったからやっているだけで、良くなっているか分からない、といった症状に繋がりやすくなります。

例えば、「北海道にいきたい、しかし今自分は東京にいる、ならば移動手段を考えて北に向かおう。」

という本来の流れが、「とりあえず思う通りに歩く!」ではそもそもの目標もなく、自分がそこに近づいているのか、通り過ぎてしまったのか、全くもって判断基準がなくなります。
もし通りがかった人が、「こっちは南なのであなたは道を間違えていますよ。」と心優しくアドバイスしてくれたとしても、「一度この道を歩くと決めたことだから。」などと言って、そのまま歩き続ければ、良い結果が得られるはずがないことなど一目瞭然です。

また、本来そのつもりじゃなかったのに、道中で石ころを見つけて、「自分は長い時間をかけてこの石ころを手に入れたのだから、自分の選択は間違ってなかった。」などと正当化しだした日には目も当てられません。


よって、発声に置き換えれば

1. まず自分の心身の特性を客観的に見直し、如何あるべきかを考察する。
2. それに対して自分が無意識に妨げてしまっている発声の癖などを認識する。
3. 正しい感覚体験を反復し、目標に向けて新しい感覚認識を身につけていく。

といった流れになります。

他のマガジンでも何度も申し上げているように、当然生徒によって状態も特性も異なります。
なので、個人レッスンでしかその見極めや指導は難しく、これをやれば良くなるよというような特効薬はお出し出来ませんし、一概にレッスン方法を簡潔に述べることは出来ません。

むしろ、そんなものはあり得ない、ということはこうやって考えていけば分かるはずです。

時間はかかるかもしれませんが、レッスンは全て、あなたにしか出来ない、あなたにしか提供できない、全てがあなたに特化した特別なものであるということです。

ぜひそれらのレッスンの中で、あなたのオリジナルが何なのかを追求してみませんか。


※ちなみにアレクサンダーテクニークに関する書物はたくさん出版されていますが、Sidewaysでは以下の本をおすすめしています。(リンク参照)

『アレクサンダーテクニーク: F・M・アレクサンダーによる著書4作の要約』
https://g.co/kgs/TjpXki



ご興味ある方は、ぜひ以下のSideways StudioのWeb SiteをCheckしてみてください。

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