
【読書メモ003】「ついていきたい」と思われるリーダーになる51の考え方
2012年に出版された本書は、かつてスターバックスコーヒージャパンのCEOとして事業を再成長の軌道に乗せた後、リーダー育成における活動で活躍されている岩田松雄氏の著書。12年ぶりに本棚から手に取り、当時感じたこととだいぶ違っているような感覚になりました。
ジェームズ・C・コリンズの名著『ビジョナリーカンパニー2 飛躍の法則』では、多くの人々がイメージする、カリスマ的な力によるリーダーシップを発揮するリーダーは「第四水準」。その上のリーダーシップとして、謙虚な姿勢を持ち、人格的にも優れたリーダーを「第五水準」のリーダーと定義し、これを目指すべきだと全般で語られています。
自分で「大事にしたいな、その通りだな」と感じたものは数えきれないほどありますが、その中で特に心の琴線に触れたものは以下。
・リーダーのパッションは伝染していく
・常に「長期的には、何とかなる」と楽観的でなければいけない
・「火花が散る瞬間」を意識する
・「分かりやすさ」を第一に ・現場を見ないと見えてこないものがある
・思いを文字にする。マネジメントレター
・自尊心 ・使命感が持てる仕事
・大きな方針は「直感」でもいい
・「to do good」より「to be good」になる
・前向きなチャレンジは、迷ったらやる
・「何とかなる」「何とかする」の感覚を持つ
・重要なのは「決断力」。部下にも決断力を磨く機会を与える
・「上が決めたから」は猛烈にダサい ・率先垂範
・「困ったことはない?」
・解決策なしに威勢の良いことばかり言うダメリーダー
・心を豊かにし、震わせる本や映画に触れる
・社長の発想で物事を見つめる
・伸び続ける人、伸び止まる人の差
・人間力 ・徳を積む
起きていること全てに意味がある
長く仕事をしてきて私が思うのは、たとえどんな経験であったとしても、そのときそのときで一所懸命に頑張っていれば、無駄な経験など何ひとつない、ということです。
ーー きっと何かの意味があって、自分は生きている。もしかすると、生きているというよりも、生かされているのかもしれない。
まさにちょうど最近考えていたことが、そっくりそのまま終盤に書かれていて驚きました。特に信心深いわけではなく、ノー天気で我武者羅に生きてきただけですが、振り返ってみると、自分にとって無駄だった出来事や経験、出会いは、1つもなく、全てが今につながっているなと強く思います。
「レンガの壁がそこにあるのは、理由がある。僕の行く手を阻むためにあるのではない。その壁の向こうにある『何か』を自分がどれほど真剣に望んでいるか、証明するチャンスを与えているのだ」~ ランディ・パウシュ
年末に『チ。-地球の運動について-』の存在を知り、NHKのドラマをNetflixで15話まで一気見し、15世紀ヨーロッパを舞台に、当時「異端」とされた地動説を命を賭して研究し、襷を渡していった人々の信念と生き様に魅了され、心震わされています。あの「もうやるべきことは全部やり尽くした。思い残すことはない」という儚くも晴れ晴れとした表情で散っていく人たちを見て、まだ何も成していない自分は、もっと頑張らなければと背中を押されています。
この本、刊行から10年以上経ってもまったく色褪せません。マネジメントの役割を担っている人でなくても学びや発見が多く、読みやすい内容なのでおすすめです。