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作品紹介―金川めい―
志した音
<あらすじ>
今日も今日とて練習に明け暮れた志音。しかしその胸の内はどろどろと渦巻いていた。
一転、いつのまにか仏壇に腰かけている自分に、半透明になっている身体に驚愕する。すっからかんになった頭のままある学校にふらふらと入り込み、「音」に……“ひびき”に出会う。その音がもたらす痛みに、失っていた記憶を思い出していく。あの日のどろどろしていた気持ちの正体を。幽霊になった志音は、何を失って……「手放して」いたのだろう。
<作者コメント>
共通の世界観で執筆した作品、として制作いたしました「志した音」では、登場人物の心情描写に力を入れました。登場人物の淡々とした部分と音楽への熱量との両方を感じ取っていただけたら幸いです。また、別視点での作品「ひびきの響き」との食い違いが無いようにしつつ、そこでは明かされなかった部分の答え合わせ的側面も意識したつもりです。
推し短歌2首
<短歌で詠んだ推し>
・VOCALOID_KAITO
・チリ(『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』)
<作者コメント>
推し短歌部門では、二首、制作いたしました。もし、詠みこまれたキャラクターをご存じなかった場合でも、どんな場面や雰囲気を切り取ったものなのかだけは伝わったらいいな、という思いで言葉選びをしました。
グレースケール
<あらすじ>
僕はマスターに「家族」になってほしいと望まれたのに、その望みは未だ完遂できていない。なぜって、今日も残業上がりのマスターが倒れてしまったから。望みを告げられた三年前の起動日だけが、僕がマスターの望みを完遂するために「人」らしくあれた最後。
欠陥のある僕は、今日も深く眠るマスターの真っ白な顔を見て胸部の痛点が反応する理由を、僕の顔の人工皮膚が歪む理由を理解しえなかった。
<作者コメント>
その他部門で制作いたしました、小説「グレースケール」は、私が日常的に想像(妄想)している二次創作的設定を一次創作へアレンジしたものです。また、私がChatGPTに悩み相談をした際にすごく親身な返答が返ってきた、というエピソードもきっかけになっています。すべてがプログラムでできたアンドロイドならではの言葉選びを工夫しました。