カミングアウト
こないだ、会社のオウンドメディア(A面)で、さりげないカミングアウトをした。
経緯はこんなかんじ。22年間営業らしい営業をしたことが無かった我が社も、コロナの影響や、元妻さんが辞めたことから仕事が激減、きちんと営業しないといけないと思い、いままで読んだことのなかった営業の本を読み始めた。
そこで書かれていたのは、営業パーソンの自己開示の重要性。すなわち、なにを買うかより、誰から買うかが重視される時代が来ているとのことだった。この部分にとても共感を覚えた。
自己開示、すなわち自己紹介は、いつどこで生まれて、どんなことをやってきたのかを紹介するという意味で、自分史に似てる。自分史といえば、役職の高い人が退職してから、自費出版するイメージだけど、ジェンダークリニックにいって、性別不合(性同一性障害)を診断してもらう時にもつかう。わたしもそのときに提出した。
また、A面でも書いたような長たらしい文章をかいてしまった。ここでの目的は自己開示じゃない。その長い長い自己開示の文章のなかの、たった2行でさらりとすましてしまったカミングアウトを、多分誰も読んでないんじゃないかとおもい、きちんとそこだけを抜き出して表明しようと思ったからだ。
カミングアウトふたたび
わたしは女の子。誰が何を言おうとも女の子です。自分ではそう思ってる。
でも、残念ながら股間のあいだには要らないモノがついている。骨格だって女の子とちがう。何が違うって腰の位置がちがうのが一番スカートをはいてて困る。
そりゃ女の子は子どもを産むために骨盤が広く、子どもを格納するスペースがある。だから腰の位置が高い。わたしにはその臓器はなく、骨盤が狭いので、おのずと腰の位置が低い。
世間ではこういう、心と体が一致してない人のことを、LGBTのT、トランスジェンダーとよぶ。わたしもその一人だと思う。じゃトランスジェンダーはトランスジェンダーで純粋な女の子じゃないのかって言われると、それはいやだ。わたしの心は女の子だし、そうありたいと思ってる。
なにいい歳こいたおっさんが言ってるんだっていう意見もあるし、そういうことを言ってると友だち失うよと忠告をくれる人もいる。でもだいたいそういうことを言う人は男子だ。女子はみんなうけいれてくれる。場合によってはお化粧品をくれたりして、女子会にさそってくれて、ずーとコスメ談義やたわいのない話をする。その空気が好きだ。
自分で会社を経営してて、こんなことを言うと、多分ビジネスにも大きな影響があるんだろうと思う。でもしかたがない、自分にはウソをつけない、去年はビジネスは男子(B面)プライベート(A面)と切り替えてきたけど、もうそれに疲れた。
そろそろ、A / B 面を統合したい。とはいえ、戸籍がかわってるわけじゃないので、登記上の代表はB面だし、それにともない銀行も免許証もマイナンバーカードもB面だ。でも健康保険証はA面になってる。そういう配慮が福祉の現場から始まってるからだ。
カミングアウトに至る経緯
普通、性別不合を感じる人の多くは、幼少からの違和感がある人が多い。
ただ、わたしはこの部分がなかった。そのことで、わたしは違うんじゃないかと、随分なやんだ。
WHOの診断基準には、幼少からの違和感が必須とはまったくかかれてない。むしろ、望む性別へ移行や、望む性別での生活が6ヶ月以上続いていることが最低限の診断基準だ。
なかには、幼少の頃からの違和感に気づかなかっただけで、そのまま社会人になって結婚し、子どもができたあとに、その事に気がつくというひともいないわけじゃない。わたしはこのケースだとおもう。
子どもの頃から、そとで運動をするより、ひとりで図鑑を読んだり、レゴでお家を作るのが好きだった。そんなわたしを心配してボーイスカウトにいれられたのだけど、球技じゃないキャンプはとても楽しかった。いまどきキャンプ女子もブームだしね。
女兄弟がいなかったから、おままごとをしたりすることはなかったけど、弟がいとこの家にいってリカちゃんで遊んでいて、とてもうらやましかったのを覚えている。でも長男のわたしがそんなことしちゃだめだと思ってた。この弟はその後アパレルに勤め、髪を伸ばし、同僚からはゲイかトランスだと疑われてた、今でもシングルな彼にもしかしたらという気持ちもないことはないけど、わたしは彼の学生時代の彼女を知ってるので違うとおもう。というかどっちでも構わない。
社会人になってから、わたしはデザイナーだった。だからカッコイイモノよりかわいい物が好き、女の子向けサイトのデザインもいくつも手がけた。気分が女子になるよーとかスタッフにいってたけど、とても楽しかったのを覚えてる。
結局、思考パターンは女子的だったんだってことは当時から意識してた、ただ長年つれそってきた男子の体にそんなに違和感をおぼえるようになるまでには、やはり女性ホルモン治療をはじめるまではなかった。慣れって怖いですね。
子どもが独立し、妻とも円満離婚をしたあと、仕事をリセットを含めてなにがこれからやりたいんだろうってずっと考えてた時期があった。最初はビジネスプランを考えてたのだけど、そのうち、仕事はおいといて、自分としてなにがやりたいのって考えて、行きついたのは、女の子になりたいだった。むしろわたしは女の子なんじゃないかって。
いちおう、この道のプロなので、女子化支援をしてくれるサイトをすぐ検索した。そのなかで一番きになったのが今も通ってる乙女塾。すぐにメールをして、今コロナで中止してるので再開したら連絡しますと返事があり、ずっとまってて忘れた頃に返信があった。すぐに予約をして、ドキドキしながら下北沢にいった。
そこでメイクやボイスを学ぶのだけど、学べるのはそれだけじゃない、当事者に始めて会うわけなので、ちょっとした雑談から、その苦労や、それでも得られた楽しかったことを教えてもらえる、とてもそれが勉強になり、女子化の速度は大幅にあがった。そのうち、乙女塾の深い部分にまで関わるようになるのだけど、これはオフレコで。
でも、おじさんがメイクをがんばってもおばさんになるだけ、目指したい女性になるにはまだまだ学びが足りない。声だって、常に女声をだすのは、ある意味スポーツ。鍛えないとだめ。今がんばってるところ。
決意をして1年の数ヶ月、去年は、わたしは女子じゃなくって、ノンバイナリーといわれる両性とか中性かと思った時期もあったけど、いまは女子になりたいとおもってる。1年のわりにはかなり進んだとおもうけど、まだまだだと言う部分のほうが多い。乙女塾も、ホルモンだって3年ぐらいは続けないとね。
ということで、足りない部分はまだまだあるけど、わたしのメンタルは女の子なんです。
とはいえB面が消えたわけじゃない。まだいまのところ
さっき言ったとおり、公的書類はまだB面です。手術してないから戸籍がかわってないのです。新しいお客さんへの営業は、もうA面で行きたいところだけど、古いお客さんに女子に変わりましたは通らない。女子はビジネスで舐められるというのも事実。それでもがんばる覚悟だけど、レディースのスーツなんてものもってない。体型が体型なので、そもそも吊るしの既製服は難しそう
なので、今回名刺はA面、B面両方つくりました。A面の会社のメアドをつくって、名刺を作る日がくるとはおもわなかった。1年程度でちょっとやり過ぎ感あるんだけど、もうわりきったからいいの。
この文章を会社のメインのオウンドメディアに掲載する勇気はまだない。でも会社以外の人によんでもらってコメントもらえればいいなっておもって。必要であればリンクでつたえることもできるし
商工会議所の女性部会にも入れてくれる話もでてるので、そこではA面名刺でご挨拶をしたいと思ってます。がんばれわたくし。
また文章ながいね。
なんか勢いで書いたら、言葉が女子っぽくない。まだ抜けないんだな男子成分 ムカつく