怪獣を飼ってる僕たちの話
【 葵⠀】
Twitterは、難しい。
140文字しか文字は打てなくて、ツリーにしちゃうと、伝わりにくくて。
伝えたい、っていう訳じゃなくて。
知って欲しい?のかな。
書いておきたくて、書いてます。
でも、うまく書けないと思うから、消してもいいよ。
あのね。ずっと前から、今も、苦しいことがあるんだ。
心がズキズキして、頭がモヤモヤして、どんどん嫌な自分になっていっちゃうみたいな気持ちになっちゃうんだ。
僕と、七瀬ちゃんと、さぁやは、怪獣を飼ってる。
2人に言ったら、同じにしないでって言われちゃうかもしれない。でも、飼ってる。
保育園の年少さんくらいの頃。
三輪車が大好きだった。ずっとグルグル三輪車で家の前を走ってた。
毎日沢山、家に知らない大人の人がきてて、ニコニコしてたらみんな笑顔を返してくれる。
「可愛い坊やだね」って。
スカートはお母さんが嫌いなんだ。
髪が長いのも、お母さんは嫌いだった。
七五三をするのに、仕方ないから伸ばさせてくれた以外は、短くされてた。
ピンクはダメ。
自然と青とか水色を選んだ。
シルバニアファミリーは、いっぱい頼んでおじいちゃんが買ってくれた。
シルバニアファミリーの中に、ゴジラのガチャガチャで手に入れたいろんなモンスターや怪獣とごちゃごちゃにして遊んだ。
2時間くらい、大きな犬を1人で連れて山道を散歩してたから、よく「迷子なの?」って聞かれたけど、走って逃げた。
暗い道も、木しか生い茂ってない人気の無い道も、犬が居たから全然怖くなかった。
保育園の女の子の友達は、すごく女の子だった。
だから、男の子と遊ぶ方が好きだった。
おままごとよりサッカーがすき。
さぁやはおままごと大好きだったけど。
僕は「女の子」が苦手。
可愛いものも好きだし、女の子っていいなぁって思うこともある。
でも、女の子はきっとお母さんが嫌だった。僕は、でも…男の子でもない。
どっちも怖いから、どっちでもいたくないのが僕。
ズルい、がいっぱいだった。
いいなぁって思うことがいっぱいだった。
自分もそうだったら良かったのに、っていつも思った。
小学生の時、みんながお休みの日も、お母さんのいいつけでスポーツをする。
お休みの日は朝から夕方まで、お昼はおにぎり2個。
一人きりで、ずーっと練習。
何回も何回も同じ練習をする。
大会で1位をとっても「たまたまだ」って言われる。
あんなに頑張ったのに?
夏休みの宿題で作文を書いた。
クラスの女の子達はその時、どれだけかわいい字を書けるか、が流行りだったから、まぁるい可愛い時とか、わざとバランスを歪めたりとか、なんだかいろんな字を書く練習をしてた。
僕は知ってる、お母さんはそういうの大嫌い。
だからきれいに書くのを頑張った。
かきかたの授業は、先生が「上手だね」って言ってくれてたから、下手じゃなかったと思う。
でも、作文を見てお母さんは「なんでこんな読めない字書くの?4年生にもなって」って怒った。
泣きながら書き直したけど、書き直したやつはもうお母さんは見てくれなかった。
同じ頃、書道大会に出ないかと先生が言ってくれて、初めて大きな筆で長い水墨画用紙(半紙の長いやつ)に字を書いた。
金賞を取れた。
お母さんは、興味がなさそうだった。
さぁやが描いた水彩画も、コンクールで金賞を貰ってたけど、やっぱりお母さんは興味が無い。
絵とか歌とかは、興味なかったみたい。
七瀬ちゃんはイラストが好き。
でも、七瀬ちゃんの描いてる絵を見て、お父さんとお母さんは大笑いした。
なぜ耳がそこから生えてるの?腕長くない?足の曲がり方が変じゃない?普通髪の毛はそう生えないでしょう?
目が大きすぎる。
いっぱい言われて、七瀬ちゃんは誰かには見られながら絵を描くのが嫌いになったし、誰かに見せるのも怖いって言うようになった。
今は大丈夫に、なったかなぁ…?
僕も描いてみたいけど、怖い気持ちが大きいな。
頑張ってた部活のバスケットボール。
皆より多く試合に出た。
練習も、みんなより沢山した。
下手だったから。
シュートを沢山外すから、シュートの練習を沢山沢山した。
毎日犬の散歩に言ってたから、持久走大会は男子と一緒に先頭を走るくらい体力があった。
だから、試合に出なさいって顧問の先生が言っただけ。
特別上手かったわけじゃない。
でも、同じ学年の女の子達からは無視されるようになった。
だから、休み時間はいつも図書室で、端っこから順番に本を読む遊びをしてた。
図書カードは学校で1番だった。本の虫。七瀬ちゃんは本を読むのがとにかく早かった。
中学校は、入学式の挨拶をジャンケンで負けたからやる事になった。
でも、挨拶をしただけで「頭良さそうで面白くない」っていう理由で、クラスのトップにいた可愛い女の子達に嫌われた。
そしたら、いつの間にかクラス全体から無視されるようになった。
頭なんて、そんなに良くないのに。
だから、勉強はやめちゃった。
七瀬ちゃんは、一匹狼だったから。
余計に1人でいいってなっちゃった。
他のクラスでいじめられてた子と、仲良くなってお泊まりとかもしてたけど、いつの間にかその子はいじめっ子側になってた。
「弱い人間にはつかないの、ごめんね」
って言われた。
その子がまたいじめられてた時、僕は、なんて言ってあげたらいいかわからなくて、そのままお話しなかった。
下の学年ができたとき、慕ってくれる子達がいた。
でもあとから聞いたら、「あやせ」が可哀想だったから助けてあげてる、って言われてた。
あやせは可哀想なの?
あやせは出来損ないなの?
あやせはどうしようもない子なの?
この記憶は、途中までは一緒に持ってたんだ。
あやせちゃんは、もってたよ。半分こずつ、してたんだ。
でも今は、僕とさぁやと七瀬ちゃんがそれぞれが殆どを持ってる。
だからね、僕らは怪獣を飼ってる。
外に出さないように、いつも頑張ってる。
苦しい、渦みたいなモヤモヤが、身体の中でぐちゃぐちゃしてる。
これが、嫉妬とか妬みとか、劣等感って感情なのは知ってるよ。
教えてもらったよ。
今は昔と違うのも知ってるよ。
褒めてくれる人がいるのも知ってるよ。
でも、怪獣が尻尾をだすんだ。
こんなもの、この程度のもの。
他にもっと上手な人はいる。
この程度か。
たいしたことないね。
爪が伸びてきたら、引っ掻いちゃう。
自分を。
すごいでしょ、頑張ったの。
褒めて、認めて、凄いでしょって言ってよ、って。
でも、言ったら言ったで、押しつぶされそうになっちゃう。
人に褒めてってお願いしないと、褒められない。
認めて貰えない。
それは、この行為は、人に言わせている行為なんだ。って。
めんどくさいでしょ、僕ら。
すごく、すごくね、自分達でも苦しいんだ。
怪獣と、どうやったら仲良くなれるかなぁ。
考え中。
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