突然の出会い 〜私のバルーン物語 2018〜
忘れもしない2018年11月のある日の話。
佐賀に友人が出来、その友人たちを通じて佐賀を知り魅了され、足繁く通い始めた秋のある日。
佐賀の友人が市内のある病院に入院したことを知り、その日の夕方の羽田からのフライトで佐賀空港に降り立ち、他の友人らと合流して病院へ向かった。
入院したとはいえ、元気な様子を見せる友人と久々の会話を楽しんでいる中で、ふと病室の窓へと視線を向けた時、夕焼け空に浮かぶ小さな点を見つけた。
あれはなんだろう?…と思いながら、その点をじっと見つめる。
その点がティアドロップ型のカタチをしていることがわかった。
人生初のバルーンを見た瞬間だった。
私は佐賀の綺麗な夕焼け空がいつも好きだった。
そこにバルーンが飛んでいる。聞くと、今日はバルーンフェスタをやってるという。
そこにはどんな光景が拡がっているのだろう…。
そんな気持ちはすぐに自分を嘉瀬川河川敷の会場へと向かわせる。少しでも早く会場に行ってみたい!…と思った私はなぜか、バスにも電車にも乗らず、ランニングでバルーンフェスタ会場に向かった!
嘉瀬川に近づくにつれて、土手上から幾つものバルーンが顔を出してるかのように並ぶのが見えてきた。自然と走るペースも上がっていく。
どこからバルーンフェスタ会場に上がったのか、今はもう思い出せない。それくらい、この土手を越えて煌々と光るバルーンたちを観たくて興奮していたに違いない。
ランニングで熱る身体も忘れ、目の前の光景に釘付けだった。あの窓から目撃したバルーンが自分をここまで駆り立てた。
どこに視線を向けたらいいのか分からなくなるくらい可愛らしいバルーンに色彩豊かなデザインのバルーンに、と目を向けたいところが多くありすぎて困るくらいだった。
そして、会場に流れる音が自分の耳に馴染んできたところで、それが生演奏だったということに気付いた瞬間、
「バーナーズ オーンッ!!」
…と、綺麗に響き渡る声に合わせて目の前のバルーンが光り、一斉にバーナーから炎が上がる。その灯りが土手に優しい光となって届き、観客たちの歓喜の表情を創り出していく。
その瞬間、私の中のやりたいことリストに、
「来年は休みとってバルーンフェスタに来る!!
と、付け加えられた。
2018年の私が突然出会った夜間係留「ラ・モンゴルフィエ・ノクチューン」は、終わった後も自身の心の中で絶やさず灯りを灯し続けた。
きっとあなたにもあるバルーンストーリー
文章・写真 寒風澤啓太