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それでも覆い被さる未来は心地いい

 これまで色んなメンバーの卒業セレモニーや卒業コンサートを見てきました。その度に感じることは、卒業セレモニーというのは卒業していくメンバーが歩んできた歴史があって、その歴史の途中のどこかでメンバーを見つけて好きになった人の想いがあって、その両方とが折り重なって初めて作り上げられるものなのだということです。どちらか一方だけじゃなくて。
 東村芽依さんの卒業セレモニーに参加してきました。なんというか、振り返ってみると「らしさ」が随所に詰まったセレモニーでした。きっと東村さんにとって、卒業セレモニーというのは決して自分が見送られるだけの場ではなくて、みんな(メンバーもファンも)で素敵な楽しい思い出を最後にもう一つ増やす場だったのでしょう。いや、これは東村さんに限ったことではないかもしれません。だから卒業セレモニーでラジオの公開収録をやってもいいし(影山優佳さんの卒業セレ)、ゲームをやったっていいのです(丹生明里さんの卒業セレ)。だから、卒業セレモニーでジャージを着て運動会をやったっていいのです。猫耳をつけてソーラン節を踊ったっていいのです(???)。

 前半はバラエティパートで、ひな会いコラボの軍団対抗の運動企画から始まります。運動企画ということにかかってヘラヘラしている芽依さんは、番組で運動企画にテンションが上がっている様子そのまま。対抗リレーでもホームランダービーでも、(主に)軍団長が圧倒的なフィジカルを見せつけ優勝をかっさらっていきました。ちなみにホームランダービーは2024年のツアーでやっていた企画(センターステージからボールを打ってスタンド席にいれる)なのですが、東村軍団長の「私のときスタンド遠かったやろ?(意訳)」という物言いによるリベンジ企画です。これについては同じことを私も考えていました。ツアーでは会場ごとに参加するメンバーが異なっていて、芽依さんが参戦した神戸ワールド記念ホールはしっかりと2階席がある会場でした。そこと比べると、他の会場ではスタンド席が1階と地続きで低かったり、またテニスラケットを使ってもOKな回があったりとで、実際のところ神戸で8本スタンドインした芽依さんが優勝やったやろぉ?と私も思っていたのです。まぁそんな物言いはさておき、この卒セレではしっかりホームランを10本ぶちこんで優勝していました(テンション上がってバットぐるぐるやんちゃるめいちゃん)。
 そんなわけで優勝賞品の金の猫耳を装着し、東村男前軍団はセンターステージでソーラン節ならぬソーにゃん節を披露していました。最後は軍団長が団員たちに担がれてポーズを決め、最高に日向坂って感じ。最高にひな会いって感じ。大好きだぜー。
 このパートではMC席に久美さんと芽依さんが立っていて、ヘラヘラしている芽依さんとそれに冷静にツッコミ(訂正)を入れる久美さんの姿が微笑ましくて、これを見られるのも最後かぁ、と少しだけさみしくもなったりもしました。あと金の猫耳って何?

 愉快なバラエティパートを終えて、ライブパートへ。Overtureとともに卒セレ特別芽依さん仕様で制作された映像が流れ始めますが、私はもうこの時点で目がしおしおになっていました。だってこんなの愛以外の何物でもないじゃないか。4回目のひな誕祭の黄色衣装を纏ったメンバー全員がステージに登場し、『どうする?どうする?どうする?』からライブが始まります。芽依さんセンターの一期生曲だった『どどど』がメンバー全員で披露されます。5thシングルのカップリングで、発表されたときには「めいちゃんセンターやんけ!!!」となった大好きなこの曲で、最後に素敵な光景を見せいただきました。そして『君に話しておきたいこと』。曲の途中からオリジナルメンバーはセンターステージに移動して、その他のメンバーはメインステージにそのまま残って、この曲も全員で披露されます。この曲がなぁ、本当に胸にぐっときたなぁ。歌詞と合わせてこれまでのミーグリのことなんかも思い出して、感に堪えられなかったです。穏やかでなテンポで歌って踊る芽依さんはあんなに笑顔なのにさ。笑ったときに細くなる目とか、横に大きく開く口とか、口角が上がったときに右のほっぺに笑窪ができやすいこととか、そういった表情の一つ一つも、私がアイドル東村芽依を好きになった理由だったなぁと、いろいろ思い出して鼻の奥がズルズルになっていました。歌われているのはこんなにも幸せな歌なのにさ。

僕が話した意味を考えてみた
人間の感情はあやふやだけど
この瞬間 抱いている愛しさは
そうさ 間違いなく本物だ

日向坂46『君に話しておきたいこと』


 全員での披露曲を終えて、ここからはユニット曲パートへ。 『Cage』『ノックをするな!』『10秒天使』と、怒涛のセットリストが続きます。みんな大好き『Cage』は一足先に卒業した丹生明里さんが抜けて、金村美玖さん河田陽菜さん東村芽依さんの3人となったやんちゃるふぁみりーによる披露。先日の丹生ちゃんの卒セレでもやってくれていたので、『Cage』好きにはさみしくもありがたい期間を過ごさせていもらっていたなぁと。芽依さんの低めの歌声が心の臓まで鋭く突き刺さるような感じが大好きなんです。『ノックをするな!』はだいぶというか、かなり久しぶりの披露(調べてみたら2021年の「春の大ユニット祭り」ぶりらしい)。オリジナルメンバーは加藤史帆さん高瀬愛奈さん東村芽依さん富田鈴花さん渡邉美穂さんの5人(声に特徴のあるメンバー選抜)なのですが、先に卒業していったとしちゃんべみほの代わりにみくにん(高橋未来虹さん)たまちゃん(石塚瑶季さん)のダンスメンを加えたバキバキのナンバー。奇しくも、代わりに入った2人が最後の「日向ひ(日向坂46のひ)」の芽依さん卒業回のメンバーだったのはエモーショナルなめぐり合わせでした。振り付けが最高に格好良いんだよなぁ。クール系が2曲続いたあとに、キュート曲『10秒天使』。佐々木美玲さん東村芽依さん松田好花さん河田陽菜さんによるユニットなのですが、改めて、芽依さんが振れ幅広く様々なユニットに参加してたんだなぁ、と実感します(あとひなちゃんもね)。実は『10秒天使』もハピスマツアー(Happy Smile Tour2022)ぶりなんですよね(たしか)。東京公演を観に行って「うおおおおお…!」てなりながら振りコピしてたのを覚えています。また、ユニット曲パート後のMC振り返りで、「(芽依さんが)鳥かごから飛び立たれてしまうので…」「ノックをして出ていっちゃうので…」「天使になって飛び立っていっちゃうので…」と別れを寂しがっているのが面白かったです(最後まつこのちゃん、絶対決め打ちやったやろぉ?)。

 MCを終えて、5回めのひな誕祭で着ていたラブリーな紫衣装(Instagramにもアップしてて超お似合いだったやつ。メンバーごとに異なるチャームがついてんの)に着替えて、ここからは期別曲パートへ。四期生『見たことない魔物』三期生『この夏をジャムにしよう』二期生『世界にはThank you!が溢れている』にそれぞれ芽依さんが入ります。『見たことない魔物』はいっしょにやりたいって言われていたし、『この夏をジャムにしよう』は一緒にやりたいって言ってたもんなぁ(どちらもたしかラジオで)。『魔物』で、芽依さんと芽依さんを慕うかほりん(藤嶌果歩さん)がセンターで並んでいる光景はアツかったですし、『夏ジャム』で後輩四人に囲まれている様子は幸せいっぱいでした(それにしてもこの2曲ハードセトリだ)。後輩としては一番付き合いが長かった二期生との曲は『世界にはThank you!が溢れている』。卒セレまでの間ずっと「感謝」という言葉を様々なところ(インタビューだったりミーグリだったり)で話していた芽依さんにピッタリな曲選びじゃないか。そして「いつもだったら気づくことない 愛のその存在がいっぱい」という歌詞を二期生が「愛のその存在が めいっぱい!」と歌っていて、なんて粋なんだ…!と思いました。本当に、会場がめいっぱいに愛で満たされていました。
 そして一期生曲で披露されたのが『夏色のミュール』。これがね、もうね、すごいんすよ。すごかったんすよ本当に。この曲の経緯を知っていると余計にね。もともとは一期生の井口眞緒さん影山優佳さん高瀬愛奈さん東村芽依さんの4人によるユニット曲で、影山さんが休業中に番組(「ひらがな推し」)で3人では披露されていたものの、その後井口さんが卒業してついに4人での披露が叶わなかった幻の曲なんですよね。芽依さんも過去のブログでそのことを残念がっていました。で、影山さんも後に卒業しちゃって(影ちゃんの卒セレで3人での披露はありました)、オリジナルメンバーはまなふぃ(高瀬愛奈さん)との2人になってしまったわけです(ひなた坂ライブで四期生4人の披露はありましたが)。そんな曲を、くみちゃんみーぱんを加えた一期生4人で披露してくれたものですから。しかもオリジナル衣装に着替えて。今の日向坂では見ないタイプのブリブリのアイドル衣装で、本当に可愛かった。季節とか関係なくて、あの瞬間、完全に常夏でした(しかも後のMCで判明するのですが、オリジナル衣装でやりたいと東村Pが押し切ったとのこと。最後まで頼りになるなぁ)。また、くみちゃんのメッセで「まおちゃん(井口さん)の歌割りポジションだったから、まおちゃんリスペクトの歌い方をしました」と伝えてくれて、それもまた愛。

 そしてMCを挟んでライブパートの最後の曲『ソンナコトナイヨ』。4thシングル表題曲で、日向坂46としては芽依さんが初めてフロントポジションに立った曲で、「推してるアイドルがフロントに立つことはこんなに嬉しいことなのか!」と教えてもらった曲です。そして、センターポジションに芽依さん。そうだよね、小坂さんが休業中に代理センターをずっと務めてましたもんね。なんというか、一人のアイドルを好きになることは、好きになってからの進んでいく歴史の中で、ポジション発表やリリース時、メディア出演などのその時々で、好きになったアイドルを通して自分もその時にどう感じたかをいっしょに思い出せるのも、卒セレという儀式の威力なんだなと思いました。表題の中でも(そりゃあその色眼鏡もあるんだろけれども)トップに好きな曲で、ダンサブルでキレキレな芽依さんをめいっぱいに浴びられるこの曲で締めくくられたのも、感慨深かったです。本当、めちゃくちゃ好きなんだよ。

どこにでもいるようなタイプなら
こんなに好きにはなれないよ
君だから
君だから
こんなに好きなんだ

日向坂46『ソンナコトナイヨ』



 一旦メンバーが捌けて、会場の鳴り止まない「めいめい!」コールの中、卒業セレモニー用の映像が流れ始めます。「泣き虫だった わたしへ」というタイトルで、芽依さんが自分へ向けた手紙を読み上げながら、自身の生い立ちからオーディションを受けて、アイドルになって、またグループもけやき坂から日向坂になって…とその変遷を振り返っていきます。これも本当に素晴らしい映像。だから愛としか言いようがないって。その振り返っていく歴史のどこかで、私も芽依さんを見つけることができたわけで(たしかひらがなから日向坂への改名らへん)、はじめから知っていたわけじゃないけれども、知らない時期だってもちろんあるんだけれども、それもひっくるめてこみあげてくるものがありました。
 あとこれは余談なのですが、1月上旬くらいに芽依さんがメッセージで幼少の頃の写真をたくさん送ってくる時期があって、東村ファンはみんな「これ卒セレ映像に使うやつやろなぁ」と思ったことでしょう。私ももちろんそう。案の定にもほどがあった。

 映像が終わって、再びステージに登壇した東村芽依さん。世界一きれいでした。リボンがたくさんついたふわふわスカートの淡いピンクのドレスを身に纏い、キラキラのティアラもつけて、私が見てきた東村芽依というアイドルのアイドル人生の中で、間違いなく一番きれいな姿でした。でも雰囲気はずっと芽依さんのままでさ。たった一人でステージに立ちスピーチをするシーンで、私の目頭はボロボロでした(ずっと前からそう)。スピーチの時に読むのが普通の便箋じゃなくて、ちっちゃいカードみたいだったのも芽依さんすぎる。読み間違えたりページがわからなくなったりした時にはにかむ感じも芽依さんすぎるのです。
 あたたかい空気の中でスピーチを終えて、一期生が芽依さんのものとに駆け寄ってきます。同期を見送るのが苦手でモジモジしちゃう一期生の姿をもう何度見たことでしょうか。そんな一期生が大好きなんです。
く「芽依のドレスの色、みんな予想できたかなぁ?」
め「絶対わかんなかったよなぁ?」
み「何色だと予想してたんだっけ?」
く「濃い青」
ま「私はレインボー」
 同期を送る卒業セレモニーだろうが、茶番を始める一期生が私は大好きなんです。 
 そんな大好きな一期生4人によって披露されるのが、芽依さんがずっと大好きだった『青空が違う』。イントロが始まった瞬間の会場のどよめきが凄まじかった。2017年のzeppツアーで、まだひらがなけやきとしての持ち曲が少なかった頃に欅坂さんのカバーで披露していた曲です(アルバム『走り出す瞬間』の特典BDに映像がちょっとだけ入ってる)。私はこの頃はリアルタイムで追っていたわけではないのですが、とっても可愛い曲で、「ハイハイ!」のコールも楽しいんすよね。しかも芽依さんの卒セレに合わせて4人がピンクのひまわりを持ちながらの披露だったのがとってもチャーミングでした(上京した彼氏のところに遠距離恋愛中の彼女がひまわりの種を持ってお見舞いにやってくる歌)。いやはや、すごいな芽依さん。『ノックをするな!』といい『夏色のミュール』といい、曲選びから気合が入っている。あとこれもまた余談なのですが、くみちゃんに「理佐さんのポジションやで」と、くみちゃんに永遠の推しと同じポジションを立たせてあげたという男前っぷり。メッセージだけにしとくにはもったいない裏話じゃないか。
 そしてもう一曲、『ひらがなけやき』が一期生で披露されます(途中から二期生も合流します)。なんてたって始まりの曲ですものね。アイドルになって初めて貰った曲ですものね。初めての東京ドーム公演(2022年)で、Overtureのあと一曲目に『ひらがなけやき』が披露されて、わけわからんくらい感動したのを覚えています。それももう3年前なわけで、改めて9年間という時間を実感しました。その東京ドームの時には一期生は9人いたのにさ、昨年4月の齊藤京子さんの卒業コンサートで『ひらがなけやき』が歌われた時には7人になっててさ、この卒業セレモニーでは4人になっているんだもの。それなのに、『ひらがなけやき』はいつだってじんわりとあったかくて綺麗なんだもの。
 メンバー全員が再びステージに集結し、最後の曲『JOYFUL LOVE』が披露されます。芽依さんはステージからスタンド席への階段を登り、トロッコに乗って虹色に彩られた会場をまわっていきます。本当にさ、でっかい感謝。でっかい愛。あとこれは私的な話なのですが、私の席が見切れ席でちょうど階段に昇っていくところの真横で、結果的にめちゃくちゃ近い席でした。FC先行オフィシャル先行で外れて年始めちゃくちゃ凹んでたのが嘘みたいに最高の席で見させていただきました。間奏に入ってもトロッコが一周しきれていない中、ずっと芽依さんに向けて愛の言葉が贈られ続けている光景はとても感動。愛でいっぱいの空間なんだもの。
 そして、ステージに戻ってきた芽依さんに、メンバー一人ひとりからピンクのお花が贈られていきます。芽依さんは「自分のことを話すのが苦手」だと色んな媒体で話されてきましたが、それはきっとその通りで芽依さんだけじゃなくて、自分のことってのは自分ではなかなかわからないのが人間なのでしょう。でも、カッコよくて可愛くてお茶目でふわふわで優しい姿を、きっとメンバーにもファンにも別け隔てなく見せてきたんだろうなってのを感じました。当人にとっては些細なことだったかもしれないけれど、注がれた愛情というのは、注がれた側はずっと覚えていて、それによって救われることがあって、同期や後輩から贈られる言葉の一つ一つからそれを感じました。
 メンバーからの言葉に感極まって涙を流すことはあったものの、それ以外のところではずっと笑顔で、ライブパートでもスピーチでもずっと笑顔でいてさ、ずるいんだもん。最後のミーグリやリアミではあんなにポロポロと涙をこぼしていたのにさ、卒セレに向けたインタビューやセレモニーのスピーチでは「笑顔で終わりたい」って答えていて、本当にその通りにしちゃうんですから。こっちはずっと目頭を真っ赤にしてんのにさ。でも、「ずっと泣き虫だった」と振り返ってもいたけれど、やっぱり芽依さんには笑顔が一番似合うから。
 そして最後。再びステージに一人残った芽依さんの、晴れやかな笑顔とともに「今日は一番幸せな日でしたありがとうございます」という感謝の言葉で卒業セレモニーが締めくくられました。

 幸せな卒業セレモニーでした。とびきり芽依さんらしくて、東村芽依というアイドルを見つけて、好きになって、ファンになって、心の底から良かったと感じた卒業セレモニーでした。寂しくないといったらそれは嘘になるかもしれないけれど、それでも、幸せな卒業セレモニーでした。そして、あなたのファンで、本当に幸せでした。
 東村芽依さん。ご卒業おめでとうございます。



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以下、おまけ。

過去衣装フラッグ
Cage衣装好きなんすよ。
ソンコト衣装もめちゃくちゃ好きなんすよ。
いちごを被ったねこちゃん、ちぇりちゃんだよ
(あやちゃん推しと。こういうご縁がたくさんあったのも芽依さんのおかげなのです)。
お花を贈りました。
卒セレ終わってホテルに戻っても眠れなくて2時間歩き回った末に海を見に行った。











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