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結局は運?|昇進試験の受かる人と落ちる人の違いは?

昇進・昇格試験で受かる人と落ちる人の違いとは何か?

結果だけを見れば、合格者は基準に到達したのに対して、不合格者は到達しなかったという、単純な話です。

ただ、昇進・昇格試験では、受験者の解答に対して、機械的に〇✕が評価されるのでは学校の試験とは異なります。

本人の努力では、どうにもならない運の要素(ポジションに空きがない等)や、採点者側の意向で得点が変わる要素(面接試験、小論試験)があるのです。

合格者は、たまたま受験したタイミングがよかっただけというケースもあります。

だから、実力的にはAさんの方が圧倒的に上でも、能力的に劣るBさんの方が先に昇進するということが発生します。


選抜のしくみが、公平性や客観性を保てていないので、合格者は、周囲からやっかみを受け、不合格者は、納得できずに、組織に対して不信感を募らせてしまうのです。

今回は、昇進・昇格試験で受かる人と落ちる人の違いを、この運の要素も含めて解説します。


受験者の力でどうにかなる要素

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重要な要素は、以下の順になります。

  1. 人事評価

  2. 志望動機

  3. 試験対策(当日の試験結果)

仮に、配点が人事評価3割、面接・小論文7割とされていても、

最重要なのは人事評価です。


ハロー効果が働くから


例えば、人事評価が高い人は、志望動機や面接・小論で多少、本筋から離れたことを書いたり・発言したとしましょう。
採点者側には「さすが日ごろから優秀と評価されているAさんは、視野が広い」と前向きに解釈されます。

これがもし、人事評価の低いBさんが、本筋からズレた回答をすると、採点者側に「人事評価と同様、やっぱりBさんはイマイチだね」と後ろ向きに解釈されてしまうのです。

ハロー効果とは

ハロー効果とは、ある対象に対する評価が、その対象の目立つ特徴に影響されてしまう現象。
評価者が部下の一部分に引きずられて、全体的な能力や適性を正しく判断できなくなること。

1.人事評価(勤務評価)

最も重要なポイントです。
人事評価が、昇進・昇格試験で最重要視される理由はシンプルで、以下の2点を確認するためです。

  • 今の職位でしっかりと成果を出しているか?

  • 職位(等級)が上がって、環境や求められることが変わっても成果を出し続けられるか?


当然ながら、評価の高い人は、圧倒的に有利です。

繰り返しになりますが、人事評価の高い人は、人事評価分の持ち点が高いだけでなく、ハロー効果が働くので、副次的な効果として、小論や面接で少々まずい内容を返したとしても、好意的に解釈されます。

人事評価を高めるには、人格を高めて、スキルを磨き、周りと協力しながら成果を出せば自ずと高まります。

ちなみに、建前上は人事評価は、過去の評価に引っ張られず、今の取り組みを評価することになっていますが、評価者側の管理職は、ほぼ間違いなく、被評価者の過去の人事評価を確認し、その結果に引っ張られながら、評価を決定します。

理由は簡単で、評価者である管理職が、自分の評価に100%の自信を持っていないからです。

ですから、1度高い評価を得ることに成功すると、翌年度以降も高い評価が続くことになりますし、1度低い評価がつくと、そこから抜け出すのは至難の業ということになります。

評価を高めるための即効性のある手段は、評価者側に自分を正当に評価してもらえるよう、人事評価シートの目標を適切に設定し、自己評価を上司に伝わるように書くことが挙げられます。気になる方は是非、以下の記事を参考にしてください。

2.志望動機

意外に思うかもしれませんが、試験の得点以上に志望動機も重要です。理由はシンプルで、採点者側は、面接なり、小論文なりを評価する際に関らず志望動機を目にします。

志望動機が素晴らしければ、面接・小論にたいしても期待を持ちます。逆にもまた然りです。


つまり志望動機によって、評価者側にバイアスがかかるのです。

極端な例ですが、考えてみてください。

支離滅裂で、何が言いたいのかよく分からないような志望動機を提出してくるような人を、面接や評論で高く評価したいと思う人はいるでしょうか?
恐らくいないでしょう。

優れた志望動機の作成は、試験にパスするための絶対条件です。

志望動機の書き方はこちらの記事を参考にどうぞ。

3.当日試験の得点数

試験勉強しているから、本業がおろそかになるようでは話にならないし、上司はそういうところも見ています。

あくまで頑張るのは仕事であって、試験結果は2の次ということです。

そもそも昇進・昇格試験対策(小論文・面接など)とは、半年や1年も準備するような類のものではありません。日頃から文章作成を中心とした仕事をしている人であれば週10時間程度の勉強を1~2カ月継続すれば、充分に合格ラインに到達します。

問題は、合格までに何から準備を始めて、どこまでの水準にもっていけばいいのかが分からないから、無駄な回り道が増えるのです。

受験者の力でどうにもならない要素


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4.役員(組織幹部)とのつながりの有無

あれば有利です。武器になります。

なぜなら、役員に顔を覚えてもらっているということは、仕事ができると評価されます。

役員が直接関与するような大きなプロジェクト関わっていて、経験があり、成果を出してきているとみなされます。

特に、主任試験や係長試験と異なり、管理職への登用試験は、空いたポジションに誰を当てはめるのが一番最適かという視点が入ってきます。

昇進試験・昇格試験の合格基準の計算式

(人事評価の素点)+(試験成績)+(受験者と空いているポジションへの適性)

この3つの総和で、合否が決まる。

人事評価や試験の成績では、大きな差がつかないことも多々ありますし、ポジションへの適性の部分は、大いに役員の意向が入り込むことになります。

結果、顔が売れていること = 引っ張り上げてもらえる可能性がある

ということで、基本はプラスでしかありません。
なお、ぶっちぎりで優秀な人の場合は、その人を引き上げるためにポジションを空けることがあります。

5.受験者の年齢

一定規模の組織の場合、ポジションにはそれぞれ最適な年齢というものがあります。

つまり、組織が従業員を昇進させたいタイミングは、決まっています。

例えば、主任・係長という職位は、若手の社員が、一人前であること(主体的にプロジェクトに取り組めること)を示すポジションであり、管理職への入り口として位置づけられています。

組織によって異なりますが、最適な年齢はだいたい20代後半~30代ということになります。

こういった組織背景を踏まえると、例えば40代~50代の人が、係長の昇進試験を受けたとしても、通らないという結論になります。(温情で昇進させることはあり得ますが・・・)。

組織として、その人を昇進させる意味(うま味)がないからです。(55歳の係長が、組織として使いやすいか使いにくいか、考えてみれば一目瞭然です。)


少し脱線しますが、時々、自分からは昇進の希望を出さない人がいます。

恐らくその判断は、「全く昇進を希望していない」か、または「昇進するタイミングは、ある程度自分でコントロールできる」との考えから来ているのでしょう。

前者であれば問題ありませんが、後者の場合は、その認識は誤っています。

もう少し子供が大きくなってから、家庭が落ち着いてから等々理由はたくさんあるでしょうが、ポジションと年齢が合致しなくなると、たとえその人が優秀であっても、昇進する事は不可能になります。


ジェンダーによる差別は許されませんが、年齢による差別は平然と行われているのが日本社会であり、その縮図が会社や役所にもあります。

6.ポストの数

通常、昇進試験受験者の数に対してポストの数が圧倒的に不足します。

同様に昇格希望者数に対して、原資(人件費)が圧倒的に不足します。

昇進・昇格試験とは、少ないパイを奪い合うゲームであり、

これは受験者ではコントロールできない問題です。


ちなみに、私は、ギリ就職氷河期世代ですが、同期入社の人数は、今の新入社員の2割~3割くらいです。つまり、5倍~3倍厳しい選抜があったということ。

最も割を食っている世代と言われていますが、本人の努力ではどうしようのないことです。これと同じように、昇進・昇格試験の難易度は、ポストの空き具合や会社の業績によって左右されます。

特に、同じような部署で同じような仕事しか経験していない人は、転職でも不利ですが、組織内の昇進においてさえ、不利です。

つぶしが効かないからです。ポストが詰まっても横にスライド(別の部署で使う)することができないからです、結果、5年も10年も、ずっと同じポジションの人がたくさんいます。


今、上から言われてやっている仕事を、黙々と続けることも大切ですが、少しでも、自分の経験値が高まるように、積極的に毛色の違う仕事に手を挙げる勇気が必要です。
分野をずらしながら、色々な仕事を経験していくことが、将来に必ずつながります。

7.専門分野(所属部署)

自身が有している専門性(所属部署)によって、昇進・昇格試験に有利不利が生じます。
そして、有利な専門性、不利な専門性は時代によって、刻々と変わっていくため、受験者はコントロールできません。

例えば、会社がある事業を拡大させることを決定した時に、その分野の専門性を有していれば、昇進・昇格にプラスに働きます。
前述した通り、昇進・昇格試験とは、パイの奪い合いです。

組織にとって、有用である人材にパイが与えられる仕組みになっています。

そして、ミクロな目で見た場合、部署によって配分されるパイ(ポスト・人件費)は変動します。


但し、この流行り廃りに影響を受けない専門性(部門)もあります。人事や財務を所管する部署になります。

こういった部署に在籍している人は、昇進昇格試験において、ラッキーパンチもありませんが、突然の不運もありません。

8.他の受験者のレベル

体感では、なんとなく感じている方が多いと思いますが、採用年次によって粒ぞろいな世代と、そうでもない世代があります。

教師の例が非常に分かりやすいので引用します。下図をご覧ください。

小学校教員採用倍率が過去最低「2.7倍」の衝撃 「教職の魅力を理解してもらうことが大切」(1/2)〈AERA〉 | AERA dot. (アエラドット) (asahi.com)

採用倍率が、平成12年と令和2年では全く異なります。

平成12年に採用された教師と、令和2年に採用された教師が、同じ質を保っているとは考えられません。

余談ですが、教員は都道府県ごとに採用試験があります。過去に、採用倍率が低くなりすぎた大阪府が、よその県で採用説明会を実施して、その界隈では問題視されたことがありました。

見方によっては、ヒトの財布に手を突っ込むような行為なわけですが、それだけ大阪府が教師の質の担保に躍起になっていたことの裏返しでもあります。


「量より質でしょう」と反論する人がいるかもしれませんが、良い人材を採用できるかどうかは確率の問題で、量が確保できていれば、質も確保できるというのが現実です。


まとめ

今回は、昇進試験の受かる人と落ちる人の違いをテーマに、合否を左右する要素を紹介しました。

多分、今この記事を読んでいる方は、何らかの形で昇進試験・昇格試験に不満だったり、疑問を感じてる方がほとんどだと思います。

昇進・昇格試験は、公平性・透明性を担保することを標榜していますが、それも100%ではありません。人が人を選抜するとき、そこには感情であったり、不合理が、必ず入り込みます。

誰も認めないでしょうが、正直なところ、出来レース的な部分もあります。

ですが、制度に不満をいったところで、どうしようもないので、その中で、自分がどう立ち回るべきなのかを考えることが重要なのです。


まずは、人事評価を向上させることが、合格の最短距離です。

正直なところ、昇進試験自体は、準備や対策がとれます。極端な例ですが、小論にせよ面接にせよ、事前に模範解答を作成しておき、それを暗記しておけば、付焼刃的に対応することが可能です。


一方で、人事評価で悪い印象を持たれてしまうと、それを小論や面接で挽回することは、かなり難しいです。

昇進・昇格試験を控えている人は、まずは人事評価を高めることを考えてください。それが合格への最短距離になります。

最後に、この投稿を見てくださった方は、ぜひスキ(♥)をしていただけると嬉しいです。

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