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水風呂と農業

 皆さんはサウナ、それから、その後の水風呂は好きですか。
自分はサウナと水風呂は体をリフレッシュさせるための修行のようなものだと思っていました。修行僧が悟りを求めて滝に打たれるようなイメージです。

 いつか農業をやろうと思いつつ、その一歩が踏み出せないで悩んでいた頃、空を見上げながら露天風呂に入ると考えが整理できるような気がして日帰り温泉によく行きました。そして、サウナの後の水風呂に入りながら、「農業も水風呂も同じかもしれない。入る時には勇気が必要だけど、入った方が心にも体にもいいはずだ。最初は冷たいけど、慣れてくると気持ち良くなってくるに違いない」と思ったものでした。
 
 でも、こういう考え方をしていると、水風呂も農業も苦行になってしまいます。あまりお勧めできません。
 先日、久しぶりに日帰り温泉に行って水風呂に入っていたら、子供たちが「わぁ、気持ちいい」と言って入ってきました。
 「そうか、水風呂も農業も慣れるまでは大変だと思っていたから苦労したんだ。冷たくて気持ちがいいと思えば、最初から楽しむことができたんだ。」子供たちの姿を見てそんなことを思いました。

 専業農家の長男である自分は、農業が好きだという気持ちを持ちながらも、「農業は大変な仕事だ」という概念を植え付けられています。「農業って難しいよね」という人の方が圧倒的に多いのも事実です。苦労は美徳という価値感の世代でもあり、農業は大変でなくてはいけないような気がしていて、わざわざ自分で山を作って苦労して登っている気がします。
「農業は楽しいし、難しい仕事でもない。そんなふうに考えた方がうまくいく」、最近はそう思います。


【記事の出典元について】

しあわせ野菜畑の代表の大角は、静岡県高等学校の農業教員でしたが、47歳の時に退職し2008年に農業を始めました。 教員生活は大変楽しく充実していましたが、農業経営者として自分自身が農業の可能性に賭けてみようと考えました。
起業して7年目の2014年4月から1年間、地元の静岡新聞に農業経営者の声「こだま」を毎月2回書かせていただく機会がありました。
「こだま」は農業者が交代で書くことになっており2015年3月で終了しましたが、その後、毎月1回農業欄のコラムとして「野菜が好きになる話」を書かせていただくこととなり、現在も続いています。
野菜宅配セットをお送りしているお客様にお届けしているニュースレター「しあわせ野菜新聞」、それからNoteの文章は、静岡新聞の農業欄「野菜が好きになる話」が元原稿になっています。

今回の記事は2014年に書いた「こだま」の原稿です。
当時とは、現状が変わっている部分も多いのですが、自分自身の原点としてそのまま記載しました。

今後、第2版として、「その後」の文章や写真を加えたりしたいと思いますが、まずは「農業で起業したころの想い」としてお読みください。

「水風呂と農業」
第1版 2024年8月21日発信
 
(出典元)静岡新聞2014年10月第3日曜日、農業欄「こだま」より

#しあわせ野菜畑
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