ラディカルにつくれ
2019年3月にリリースしたissuesがシリーズAの資金調達を実施。エンジェルラウンド、シードラウンドに続き3回目。
シリーズAはPMFを達成していることが一つの目安になる。前回のシードラウンドは一定使われているくらいでビジネスモデルは立ち上がっていなかったが、今回はビジネスモデルの確立と、売れるトラクション得られたので、投資を受けることができた。
自分はファイナンス周りはしておらず、プロダクトやビジネスモデル設計を顧客ニーズに基づいてやるところにフォーカスしていた。
以下学びがあったところ。
漸進的な改善と、急進的な改善
PMF前、ビジネスとして立ち上がっていない時は、顧客に使われるプロダクトをつくるために漸進的な改善に注力していた。
この記事に詳しくは書いてある。コアバリューといってるところ。
コアバリューが合ってることが検証されていれば、そのハードルを削れば使われるプロダクトになる、という記事を書いた。これはまあそうだった。これをやった結果、リテンションが一定の評価になるシードラウンドの調達はできたので。でもその時点では「使われるプロダクトができた」というだけだった。
ラディカルな改善を行うための問い
シードラウンド調達後、1年ほどは暗黒期と呼ばれる期間。スケールしないことをしようのごとく、顧客と話してインパクトのあるところを開発していく。でも、ビジネスとしては立ち上がらない。調達から1年ほど経って、小さいビジネスモデルは立ち上がったけど、リテンションをした後じゃないと課金できないモデル。即売れるモデルをつくらないと売上はつくれない。
さすがにやばいとなり、CEOの廣田さんがtoB、僕がtoP(議員)で立ち上がった方に注力しようとなった。結果、ここで2ヶ月ほどをかけてリサーチした内容に基づくtoPのビジネスモデルがワークして今回のラウンドの資金調達につながった。(念の為、toBは見込みないというより取り組む時期の問題が大きい)
ここで変えたのが、顧客への質問だった。
これまではPMFの常套の質問である「このプロダクトがなくなったらどう思いますか?」を聞いていた。これで一定のニーズは炙り出せていたし漸進的な改善はできていた。
この質問をたしか廣田さんのアイディアで「3万円/月払うサービスになるには?」というものに変えた。これによって出てくるニーズの球が大きいものになった。
あとは大量に顧客と話し、構造化して一番ニーズがあるところに向けてビジネス・サービスモデルを設計する。リリースして自分が売るのはそんなに得意じゃなかったところは、CTOの山本さんがいい売り方を作ってくれて伸びた。
今思えば既存のプロダクトがなくなったらという狭い問いに縛られていたと思う。プロダクトの接点ではなく、顧客の生活全体からニーズを捉えるのは当たり前なのに…と。
事業立ち上げ時には生活全体を見ていくのは当たり前だけど、走りながらも同じということがわかっていなかった。
ラディカルな改善にbetする
今回の改善のため、リサーチに2ヶ月以上はかけたと思う。そのあとにプロトタイプを作り立ち上げていくのも合わせると3-4ヶ月。
もっと短縮できるとよいし(実際に、今は別のリサーチ手法を考えたので日々の顧客サポートのなかで今回と近いインサイト抽出が行われるようにしている)、この改善をするまではまとまったリサーチというよりは、定時サポートをしながら得たインサイトを、思いつく順にリストに入れていき、それぞれのカードのインパクトを試算して、大きいものから取り組むという形だった。そう、完全にボトムアップである。
3万円/月の問いは資本市場からの逆算だった。この結果得られるインサイトが顧客の生活全体にとって大粒なものだけに絞られた。
ストレッチした問いでいく
よくリサーチ本では「魔法が使えたら」などというサービスの枠を外す問いは見たことが当然あり、たぶん発明できてない時期に問いかけたことはあるんだけど、そこまでワークしていなかった。3万円というのがリアリティがあって絶妙だったと思う。
ここからの学びは、資本市場から逆算することをラディカルな改善に活かすということ。よく「まず使われるサービスにするために売上は重視しなくていいのでは?」みたいな問いも投げられるが、売上をあげるという目的ももちろんあるが、ストレッチした問いを投げることでアイディア自体の質が劇的に変わることに資本市場から逆算の意味があると思う。
またこの改善やインサイトは、ラディカルな改善につながるかどうかを問い続ける必要があると思う。
おわりに
ちゃんと書こうとするともっとリサーチの過程や、プロトタイピングのプロセスなどいろいろかかるが、無駄に時間がかかりハードルがあがり、先延ばしにしちゃうのでざーっと書いた。
ここまでのプロセスをやった時はけっこう自信ついたな、インターネットサービスなんでも作れるな、という感覚が得られた。再現性があるプロセスを自分のなかに蓄えられた感覚がある。でも、書いてある内容は冷静に見たら普通だ。今までの視野が狭かったことを思い知らされる。今も他のメンバーと話していたりすると、狭いと思う。
issuesでは上記のような過程もあり、顧客の最も深いニーズをとらえ、インパクトのある打ち手を考える文化になっていると思うので、このような環境で一緒に働けるPdM・デザイナー・エンジニアの方がいたらぜひ連絡ください。
このブログでは書いていませんが社会的な課題を解決するインフラになることを目指している、公共性が高いサービスです。政治・政策ドメインというところで、日々知らないことを知れておもしろい。
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