霜花——漂泊と残紅 2
教室のドアを辷らせたら*、モーターのつくる暖房の匂いがどっと重く流れ出た。机に座って駄弁る*女子たちが僕をチラと見てすぐにまた話し始める。結露した白い窓の、指で書かれた「みな♡」を半目で見て、自分の指先の赤らんだのを互いの手でさすった。
冬の空気のせいで顔は蒼白く見えるが、しかし心は朝が最も丈夫だ。時間が過ぎてゆくにつれて他人が蓄積されていく。孤独や個性は色眼鏡で見られて、故にいろんな憶測が陰で生まれる。それが形となって知らない僕を造る——宅*に帰るころには僕の心は赤黒い