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iPod nanoの回顧録

20年近く愛用してきた音楽プレイヤー、iPod nano。
iPhoneや他のiPodシリーズとは全く縁がなく、AppleといえばiPod nanoだけを使い続けてきた。




iPod nano 第1世代
(イラストはイメージです)

1、第1世代
思えば最初にiPodを手にしたきっかけは、単なるラッキーだった。
初代nano発売は2005年だからその頃の事だろう、懸賞で当たったのだった。何かの会員登録で自動的に応募完了になっていたらしい。荷物を受け取ったとき、心当たりがなく困惑した。
当選記念写真くらい撮っておけばよかった。写真も現物も残っていないなら、自分で描くしか。

届いたカラーは白だった。ホイールを指先でなぞるとカリカリカリと音がした。付属のイヤホンは装着感が好みでなく、別のメーカーのを使った。

iPodと出会う以前は国内メーカーのMDプレイヤーを使っていたと記憶している。その頃は電車移動の多い街にいた。退屈な移動時間の暇つぶしと、周囲の騒音をかき消すために、好きな音楽を持ち歩いた。

はじめてのiPodは薄く、軽くて、ディスクを入れ替える手間がいらないのが衝撃だった。
当時はJ-popを聴いていた。雑音を遮断するには、賑やかな歌が都合が良かった。




ipod nano 第6世代
(イラストはイメージです)

2、第6世代
第1世代とのお別れは、2011年「第1世代の無償交換プログラム」。バッテリーに不具合が出る可能性があるとかなんとか。友人に教えてもらってすぐに交換の手続きをした。第6世代が届いた。銀色だった。

手の中に収まる小さな正方形になり、カリカリホイールがなくなった。裏にクリップが付いていて、服や鞄に装着できた。本体の表面積に対して画面の比率が大きくなったので、画面保護フィルムを貼った。
こちらも写真、現物ともに無い。記憶は曖昧、ネット画像を参考に。色も塗れば良かったな。

クラシックをよく聴くようになった。オーケストラ曲は音量調節が難しく、外出先で聴くにはあまり向いてないと思う。




iPod  nano 第7世代
100均のソフトカバーとメーカー不明のイヤホン

3、第7世代
2017年春頃、第6が充電できなくなった。このときはじめて自ら選んでiPod nanoを買い求めた。赤にした。できれば末長く愛用したいと思い、ソフトカバーを付けた。せっかく赤を買ったのに、カバーは黄緑色。初代の時から使っているお気に入りのイヤホンは、メーカーのロゴも消えた年代物。
この第7を使い始めた後、ほどなくiPod nanoは販売終了になったと聞いた。


いつのまにか新しい音楽を求めなくなった。
昔の曲を聴きたくなくなった。音と共に蘇る過去が煩わしい。
持ち歩く機会が減った。鞄に入れて出掛けても、取り出すことなく帰宅。
家で作業中に聴いていたが、その習慣もやがてなくなった。無音のほうが集中できる事に気付いた。いまさら。
iPodで音楽を聴くのは就寝前だけになった。それも月1、2回程度。リラックスタイムに選ぶ曲はいつも同じ、クラシックのピアノ曲。

そういえば一度、バスに乗って隣の街へ、展覧会を観に行った。
展覧会の余韻とともに、帰途、夕日眩しく差し込む静かな車内で半ば微睡みつつ聴いた英雄ポロネーズ。この上なく満ち足りた気分だった。
まともに音楽を持ち歩いて楽しんだ記憶は、あれが最後だった。


2017年に第6とお別れしたときには、音楽プレイヤーがない生活なんて想像もしなかった。当たり前のように第7を買った、のに。
充電切れのiPodを見て、最近使ってないから手放そうかと、思った自分に一瞬引いた。

しかし音楽への興味がなくなったのではない。
「持ち歩かなくなった」のと「日々聴く習慣がなくなった」。

CDを持っている曲はPCでも聴ける。
新しい曲に興味がわいたらネットの動画で見る。

iPodは充電切れで放置していても、音楽はまだ聴いている。


「ポータブル音楽プレイヤー」が不要になっただけ。




iPodを初期化した。

イヤホンは、別の機器で使おうとしたらR側の音が出なくなっていた。初期化前に動作確認したときまでは使えていたのに。
常にiPodとセットで使ってきた年代物。偶然にも同時に役目を終えたのだった。


寝室でクラシックのCDを聴けるようにCDプレイヤーが欲しい。時代と逆行する? ディスクを選んでセットする手間が、寧ろクラシック音楽の気分にはふさわしい気がする。

生活スタイルや好みが変われば、必要なモノも自ずと変わる。
使わないまま置いておくより、今必要なモノと入れ替えたい。


公式ストアでは買えなくなったiPod nano、まだ必要としている誰かのもとに届けば良い。






ここまで書き上げたあと、しばらく記事を公開するタイミングを逸していた。
その間にiPod nanoのお譲り先が決まった。
「大事に使いたい」という方に無事に届ける事ができた。
バッテリーが消耗する前に、早めに手放す決断をして良かったと思った。

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