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【note創作大賞2024 応募作品】「ずっと君の隣で…」第1話 出会い

ある悲しい過去を持つ男子高校生、七瀬 海斗。

そんな彼は、名門の女子校から転校してきた転校生で財閥のお嬢様、桜葉 美雨と出会う。

海斗と美雨、この二人の出会いが何をもたらすのか…。

これは、普通の男子高校生と名門の女子校から普通の高校に転校してきた財閥のお嬢様の物語

ずっと君の隣で… あらすじ

 

 とある大きなマンションの一部屋。 一人の青年、七瀬 海斗ななせ かいとが、鬱陶しくなる目覚まし時計を止めベッドから起き上がる。 制服のズボンとワイシャツに着替えTVを付け食卓に座りニュースを聞きながら朝ご飯を食べる。今日の朝ご飯は、食パンと目玉焼きとサラダだった。

「やばい…! 遅刻する‼︎ 」
 TVの時刻表を見た海斗は、急いで牛乳を飲み歯を磨き身支度を済ませ今日の授業で使うノートやら教科書やらをカバンに入れて玄関で靴を履きドアに鍵をかけて家を出た。

 海斗は、16歳で都立桜ヶ丘高校とりつさくらがおかこうこうの2年生。 ルックスはそれなりで運動も人並みにできる普通の高校生。桜ヶ丘高校は、勉強と部活、学校行事に力を入れている市内で有名な学校だ。


海斗はいつものように学校に着き玄関で靴を履き替え教室に向かう。教室に入ると友人の鳴瀬 春人なるせ はると達が何やらワイワイしている。気になった海斗は、そのグループの中に入ってみた。

「おはよう、何話してんの? 」

「おはよう、海斗 」

 春人は、海斗の友達で中学の頃からの付き合いでバスケ部に入っておりバスケが上手く頭が良く勉強もできる海斗の友人だ。17歳でバスケ部の時期エース候補でかっこよく女子から人気がある。

「そういえばさ、ウチのクラスに転校生来るの今日って知ってた? 」

「そうだっけ? 」
先週、担任の先生が言っていたことを海斗はすっかり忘れていた。

「この前、先生が言ってたじゃんw もし女子だったらどうする? 」

「別にどうもしない。恋愛なんてする気ないから」

「お前、つまんないなぁ。高校生活なんて一度きりだぞ? 人生損してるよ」
海斗の言葉に呆れた春人は、海斗の肩に腕をのせて得意げに語った。

 二人が会話しているとキーンコーンカーンコーン…とチャイムが鳴り担任の先生が入ってくる。それを見たクラスメートたちは、皆、席に着きHRが始まった。

「えーと前から言っていたが今日から新しい生徒がうちのクラスに来る」

 担任の先生がそう言った途端、クラスがざわつく。一部の生徒から「誰だろう? 」等の声が聞こえた。

「入って」

「失礼します」

 綺麗で可愛らしい声が聞こえ一部のクラスメートから「女子だ」という声が聞こえた。教室にゆっくりと一人の女子が入る。

 教室に入って来たのは、ピカピカの桜ヶ丘高校ウチの制服を身にまとった女子だった。

 海斗は正直、一瞬惹かれた。なんて可愛い子だろうと思った。なぜなら今までこんなに可愛い子を見たことがなかったからだ。

 透き通るような白い肌。ぱっちりとしたまつ毛の下で色素の薄い茶色の瞳は伏し目がちに床を見つめている。

 その子は、教壇の前に立ち黒板に自分の名前を書いた。

『桜葉 美雨』

「簡単に自己紹介をお願いします」
 担任の先生の指示で自己紹介をした。

桜葉 美雨さくらば みうと言います。小学校まではこっちの学校で高校は千葉にある姫ヶ丘女子高校にいましたが両親の都合で転校してこの学校に来ました。 よろしくお願いします」

 頰を赤く染めながら紅い小ぶりな唇を動かして恥ずかしそうに自己紹介をする健気な姿。
 女子校から来た女の子だから、可愛いんだと海斗は自然に納得した。

「では、桜葉さん。七瀬君の隣の席が空いてるのでそこに座ってください」

 それからHRが終わった後、 海斗の隣にいる美雨は女子から質問攻めにあった。

 隣からは
「女子校って可愛い子いる? 」
「彼氏とかいるのー? 」
 など彼女に質問する声が耳に入る。

 そんな俺に一人の落ち着いた感じの綺麗なショートカットの女の子が声をかけた。海斗の幼馴染のあすかだ。17歳で海斗の幼馴染でおてんばできゃぴきゃぴした性格をしており女子バレー部に所属している。海斗とは幼稚園からの腐れ縁だ。

「私は、学級委員の佐倉さくらあすか。で隣に座っているのが、私の幼馴染の七瀬 海斗」
 あすかは、美雨の隣にいる海斗を指差す。

  「よろしく」

 「よろしくお願いします」
 海斗が言うとペコリと美雨も優しく可愛らしく頭を下げる。これが彼、海斗と彼女、美雨との出会いだった。


—続く


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