![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/168407623/rectangle_large_type_2_2de43321394101c1855a008358600b95.png?width=1200)
海原雄山アサーティブ 横浜中華街 (旅好きOLトラベルトラブル番外編)
|短編コメディ小説|
メイたん テイ子 ナン-旅好きOL-トラベル・トラブル
|概要|
やたら殺人事件に遭遇する小学生が現存する一方、北海道札幌市にオフィスをかまえる地元旅行誌『powaro』でOLをしている3人娘が行く先々で殺人事件に遭遇して、偶然居合わせた探偵とかに事件を解決してもらうストーリーを以前、執筆しました。(https://note.com/shyr/n/n9b3c1c663935)
これはその番外編です。
![](https://assets.st-note.com/img/1731222288-sDGtjlITikxcYoeywV5bZRKM.png)
↑ こちらのリンクから聞くこともできます
では、本編すた~~と~~~
![](https://assets.st-note.com/img/1731215180-LnZg80o5D2PlwYCauh1yNBvj.png?width=1200)
北海道は札幌市にオフィスを構える地元紙『powaro』編集部。
そこには、老獪で優秀な編集長の他に、若い3人組の仲良しOLがいた。
他の男性編集者は、中途採用ので脂の乗った世代が多い。
それに対して仲良し3人組は二十代とまだ若い。
「酸いも甘いも噛み分ける」と、自負する編集者でさえもタジタジだった。
今回も、「末っ子メイたん」と、オフィスで愛のある陰口を言われている宮迷メイが、編集者に何か直談判している。
![](https://assets.st-note.com/img/1731215396-l7C6HuyBz8ETsR14IpJWtcfe.jpg)
メイ「編集者! 横浜ですよ! ヨ コ ハ マ!」
どうやら横浜中華街の取材の交渉のようである。
どこからもともなく、「末っ子のおねだりがはじまった」と、聞こえた。
メイ「おねだりじゃないですよ! ちゃんと仕事の相談です。 聞こえてますからね!!」
もうお局さんじゃんと心で思う男性編集者たちを尻目に、メイたんは話を続ける。
![](https://assets.st-note.com/img/1731215639-HAZ5YmaP1xtFyE4okeJhwNRr.jpg)
彼女の話を要約するとこうだ。
札幌には老舗の中華料理店「クラブチャイナ」がある。 前回のシリーズ企画「温泉3本勝負」が好評だったpowaroの次の企画として、札幌の老舗レストランと、日本中の有名レストランや名物料理の対決を、メイたんは提案している。
ただし、これは単に経費で旅行に行きたいだけの、彼女なりの下心があるのが常だ。 まぁしかし、彼女が女子高生のときはポケベル世代であり、流行に敏感な彼女の企画は軒並み評判なのは確かだった。
あとは、単純にメイたんはかわいいのである。 初老の40代以上なら確実に目に入れても痛くない、孫のような存在だ。
![](https://assets.st-note.com/img/1731197547-htmCNQMJxRKLvgnljYiWkF8w.png?width=1200)
そして、OL3人組の横浜旅行は、半分だけを経費で落とすことで交渉成立。メイたん、テイ子、ナンの3人は横浜中華街の地に今、足を踏み入れた。
結論から言おう。
この横浜中華街で旅好きOLの3人は、今回、どんな事件にも巻き込まれることはない。 ただし、海原雄山が『やたらとゆく先々で、息子の山岡士郎に偶然出会う』くらいの頻度で、彼女たちも海原雄山に遭遇する。
![](https://assets.st-note.com/img/1731215985-7fmcZCskby18SI9uYGna5Urx.png)
バブル崩壊で、世の中が一気に不景気となった1990年代後期の世紀末。 海原雄山の美食倶楽部は、あっという間に潰れた。
失業者にあふれ、氷河期世代はどこにも就職できず、フリーターという言葉が生まれる程に、日本の経済は衰退するばかりだった。
![](https://assets.st-note.com/img/1731197059-XIP3AWtUEVRNOyqJjd0aKHcL.png?width=1200)
美食やら飽食やら、そんな消費や贅沢よりも、人としての優しさや真心が、心の中心でしっかり根を張った人が求められる時代となりつつあった。
海原雄山も、審美眼のある芸術家。 己のおごりに気づき、「人は優しくあるべき」と気づくのに時間は掛からなかった。
『 海原・アサーティブ・雄山 』
美食倶楽部を畳んだ今の彼は、そんなミドルネームが相応しい人物へとなっていた。
✅️豆知識:アサーティブ
アサーティブなコミュニケーションとは、自分の意見も主張するが相手の意見も尊重する自他 尊重のコミュニケーションである。本研究では、行動と心理的側面の2つの側面からアサーショ ンを捉え、家族関係と家族環境がアサーティブなコミュニケーションに影響を与える要因である と仮説を立て検討を行った。
『追手門学院大学心理学部紀要 第13巻』
アサーティブなコミュニケーションの要因についての研究|古谷有佳理
ここで場面は横浜中華街に戻る。 メイたん、テイ子、ナンの3人は、今日訪れる予定の目的の場所への向かっていた。
![](https://assets.st-note.com/img/1731216211-wJS6GI4VZ380CQ2md5bcNa9y.png)
テイ子「メイたん、今回はなんで横浜にしたの?」
メイ「ふふーん♪ 東京の東西新聞のイベントで、『究極の冷やし中華』の試食会を、この横浜中華街のお店でやるんだなー」
ナン「でた〜(笑) メイたんはミーハーですもんね! 未だにティーン雑誌買って読んだり、流行のアンテナ、張ってる張ってる〜(笑)」
メイ「ナン、あなたは私のパシリ役なのに最近の口調、なんか軽くない? まぁ、いいわ! 私は寛大な3人組のリーダーだから! さあ、着いたわよ! ここがイベント会場の大王飯店でーす! 2人とも早く! いい席とるよー」
![](https://assets.st-note.com/img/1731217901-Jead3lhjLS0tPBb1qxy5YfoE.png)
テイ子「メイたん、待ちなさい! 取材記者は、受け付けで名前を書くようよ!」
メイ「あ、あの席が良い! テイ子が代表で書いてよ! 私、先にテーブル確保しておく!」
テイ子「もう、メイたんめ!」
ナン「すみません、弊社の一人がはしゃいじゃって。 ・・・え? あ、記者の席って指定なんですか? テイ子さん、ってことみたいです。」
テイ子「まったく! 私が、雑誌社名と担当者の名前を書いておくから、ナンはメイを私たちの指定席に連れてって。 そういうわけですみません。powaroの席は、どこですか?」
メイたんと同い年の学年下、テイ子が「ヤレヤレ」といった面持ちで、東西新聞の受付担当から、自分たち取材記者のテーブルの場所を訪ねた。
![](https://assets.st-note.com/img/1731216727-51fcEesvr9aCTIY7ghwiqXSO.png)
テイ子「はい、ええ・・・。 あ、テーブルに社名があるところですね? わかりました。 ナン、あそこみたいよ。 よろしくね。」
ナン「テイ子さん、私、メイたんとこ行きたくないんですけど・・・。 黒スーツの・・、柄の悪い人に・・、めっちゃあの人怒られてる(苦笑)」
![](https://assets.st-note.com/img/1731217046-aHLs0mPFlygxMieAQVwv5YKX.png)
山岡「おいおい、勝手に席に座らないでくれ。 取材する雑誌社には指定の席があるんだよ。 それに、今日は一般のお客さんも来て普通に営業してるんだ。 まったく、困った記者だな。 どこから来たの? 札幌? なんだ北海道の田舎娘か。 確か、あんたらは俺たち東西新聞の席の隣のテーブルだよ。 あっちあっち。 とっとと移動してくれ。」
メイ「怒られた。。。」 トボトボと移動するメイたんはpowaroのプレートが置かれているテーブルを見つけた。
![](https://assets.st-note.com/img/1731218094-anqg1hrfLVNDpeCi8zYX0dMR.png)
メイ「あ、『powaro』って書いてある。 このテーブルか。 あんな言い方しなくていいじゃん。 東京人なんて、はっかくさ。」
ナン「メイたん、大丈夫でした?」
メイ「ナーン! 怒られたよー! 見てたでしょ? あんな言い方ないよね! はっかくさい! 私、究極のメニューって東西新聞の特集を読んでたから知ってるけど、あの人が山岡士郎記者だよ。 あんな人だと思わなかった! 繊細な味覚の持ち主だから、勝手に人柄も繊細だと思ってたー! ムカつくー!」
ナン「よしよし、メイたんは悪くない悪くない。 これ、一応お仕事だから、とりあえず気持ち切り替えましょう。 本来、3人来る必要ないのに無理言って3人で来ているんだから、そこはちゃんと仕事しましょう。」
テイ子「そうよ、メイたん。 私はカメラ担当、あなたはしっかり取材とメモ取りしなさいね。」
メイたんは、とんだ主催者からの洗礼に意気消沈した。
![](https://assets.st-note.com/img/1731197648-LxQv73kb0GUwrAg1TZiphD4l.jpg)
究極の冷やし中華試食会には、実はゲストで『 中国人よりも中華料理に詳しい日本』の、柏原先生が来ることになっていた。
なにを隠そう、それこそが海原雄山であった。
オファーをしたのは、東西新聞の女性記者の星村だったが、銀座の中華料理屋の主人を通しての間接的な依頼であった。 そのため、中国なまりの発音で彼女は「海原」を「柏原」と聞き間違えていた。
星村「山岡さん、海原先生が来ましたよ。 一緒にお出迎えをお願いします。」
![](https://assets.st-note.com/img/1731218309-3yzR0naMBOKfxPvYGUA5DEj4.png)
山岡「ああ、わかった。 いま行く。 さぁ栗田くん、行くよ。」
大王飯店の扉が開き、和服姿の恰幅の良い男性が、連れの中川とともに入店した。
![](https://assets.st-note.com/img/1731215985-7fmcZCskby18SI9uYGna5Urx.png)
海原雄山「士郎さん。ああ、またお会いしましたね!」
山岡「くっ! 海原雄山! また貴様か! なぜ貴様がここに!」
海原雄山「はい、実はあなたに会いたくて、銀座の中華料理屋の主人に一芝居打ってもらい、『柏原』と名前を誤解させる策を取らせていただきました。 そうしないと、あなたに会えないと思ったから。。。」
山岡「なぜそこまでして俺に構う!」
海原雄山「だって、お父さんだもん。 息子に構うし、心配もします。 それに、” 究極の冷やし中華” と聞いては、黙っていられません。 私は、中華料理として認めていませんからね、冷やし中華を。」
山岡「それはずいぶんな権威主義だな。 バブル崩壊で丸くなったと聞いていたが、やっぱりお前は、ロクでもない傲慢なちんちくりんだ!」
海原雄山「私もそう思います。 士郎さん、あなたに私の時価総額にして数億円の美術作品を壊されたあの日から、私は自分の愚かさに気づきました。 そのことに気づかせてくれた私の息子が、究極の冷やし中華をというのであれば、また私に何か新たな発見があると期待したのです。 だから、どうしても今日は参加したく、オファーをくれた星村さんに、名前を誤解されるようなことまでしてアポを取ったのです。」
![](https://assets.st-note.com/img/1731218491-0QTBWcwtduhKSRLgFxn6H1lO.png?width=1200)
テイ子「え? 何あれ? 一般のお客さんもいるのにあの山岡って人、やばくない? なんであんなにキレててるの、メイたん?」
メイ「テイ子は、パソコン持ってるのに調べたことないの? 東西新聞の山岡士郎と、芸術家の海原雄山は親子なのよ。 あの2人は、やたらと行く先々で鉢合わせすることが多いことでも有名なの。 でも、まさか私がその場面に出くわすとは思わなかったわ。」
![](https://assets.st-note.com/img/1731218580-ZTDwOPJCh6RIto4iU7uvqk8B.png?width=1200)
山岡「くっ! 勝手にしろ! 席に戻るぞ栗田くん!」
こうしてイベントは幕を開け、究極の冷やし中華は、各テーブルに並んだ。
山岡「さぁ皆さん、召し上がって下さい。 これが東西新聞社が過去に手掛けた『究極のメニューづくり』で培った経験を元に考案した、本物思考の冷やし中華です。 一般のお客様にも、先着50食限定でご用意してます。 今日しか食べられない特別メニューです。」
![](https://assets.st-note.com/img/1731218731-Kte9WkGND6C2fFBy7PnHcxZo.jpg?width=1200)
皆、口々に「うまい」「おいしい」という中、お付きの中川に促され、海原雄山も究極の冷やし中華を口にする、まずはその麺を一口。
海原雄山「う〜ん、麺が良い。 ちゃんと小麦の風味が感じられるし、嫌な匂いもない。 麺自体の香りと味がはっきりしている。 出汁も良い。 鶏だけで作ったのでしょうか? どう思います、中川さん。」
中川「はい、そのようですね。 しかも、化学調味料も使ってないですね、これは。 天然のものを選んでなければ、ここまで軽やかな味にはならないでしょう。」
海原雄山「焼き豚も上出来ですね。 ちゃんと手間暇かけて育てられた黒豚を使っているし、農薬や除草剤も使っていないキュウリに、卵も日本の上質な鶏の卵だとわかりますね。」
山岡士郎は、笑みを浮かべる。
山岡「さぁ、海原雄山! 感想を聞かせてもらうか!」
![](https://assets.st-note.com/img/1731218872-DdEh3LSFxz7BQlHX1mYty9qI.png)
メイ「びっくりした! みんな『おいしい、おいしい』って食べるのに、あの人だけ殺気がすごいんですけど。」
テイ子「メイたん、見ちゃダメ。 あれは、あんまり関わっちゃいけない人の目。 取材に集中して。 それにすぐ隣だからこっちの声、聞こえる。」
楽しいイベントのはずだった『究極の冷やし中華試食会』は、一人の主催者のせいで時折、静まり返る。
そんな沈黙のあと、海原雄山は口を開いて山岡士郎に言った。
海原雄山「士郎さん、たいへんおいしゅうございました。 しかし、感想を述べる前に恐縮ですが、私からひとつ、質問をしてもよろしいでしょうか?」
山岡「なんだ!言ってみろ!負け惜しみでもなんでもな!!」
海原雄山「ありがとうございます。 私の質問は、この冷やし中華の『基本的な概念は何ですか?』と、いうものです。」
山岡「それは、本物であるかどうかだ! 本物の材料を使えば、冷やし中華も飛躍的に美味しくなる。 冷たい麺を冷たいスープで食べるのは、蒸し暑い日本においてはとても良い発想だ。」
海原雄山「なるほど、何から何まで本物の材料を使った。 だから、これだけの冷やし中華が完成した。 『本物』の冷やし中華が。 たしかに、日本で食べる冷やし中華としては、これが最善でしょう。 充分においしかったです。 私は、すっかり自分の権威主義を痛感しました。 ありがとうございます、こんな方法もあるのだと私に教えてくれて。」
海原雄山「しかし、一つだけ父として、人生の先輩として、あなたが許してくれるなら『苦言』をひとつ、伝えてもよろしいでしょうか? もちろん、言葉には十分に気をつけて、配慮ある伝え方をいたします。」
山岡「苦言・・・だと? この冷やし中華のどこに文句をつけようってんだ!」
海原雄山「いえいえ、文句などではありません。 ですが、『本物である』ことを基本的な概念とするなら、私はまだ100%これを本物の中華料理と認めるわけにはいきません。」
山岡「どういうことだ? 回りくどい言い方をしないで、単刀直入に言ってみろ!」
中川「海原先生、私もそれはアサーティブコミュニケーションというより、息子に遠慮しすぎて、回りくどくなっているお父さんに見えます。 アサーションの基本は、相手も自分も『対等に』『大切に』です。」
海原雄山「そうですね、中川さん。 私は、ダメダメですね。 うん、気を取り直して・・・。」
ふ~っと一息の深呼吸をして海原雄山は言った。
海原雄山「士郎さん、この冷やし中華を『本物の中華料理』にするなら、すべての材料と調味料を” 中国産 ” にしてみてはいかがでしょうか。 この冷やし中華が、さらに深みを増すのがわかるはずです。」
海原雄山にとってこの苦言は『愛』である。 自身の経験や知識、その経験則から導き出されるアイディア。それらを次の世代に伝え、より昇華させ、
未来へとつなげるための、父から子へ受け継がれる『学び』であった。
海原雄山「ですが、この日本で集められる物として、たしかにこれは最善で最適だという事はわかります。 ここまでの食材(もの)を集めるのにも、士郎さんや栗田さんの苦労は、さぞたいへんだったことと思います。 そんな苦労を顧みず、『材料が中国の物でないからダメだ』と、言ってしまうのは、敬意がない言葉と言えます。 ですが、士郎さんが『本物』を本当に求めるなら、私は、この” 苦言 ” を、伝えるべきと思いました。 ある意味これは、頭が固く、これまで冷やし中華を食べなかった私に、大きな気づきと可能性を教えてくれたあなたへの、我が息子への感謝の気持ちなのです。」
山岡士郎
「なっ!! ぐっ・・・!」
「しかし、なるほど・・・」
「日本の材料ではなく、中国の本物の材料を使う・・・。」
「くそ! どうしてそこに俺は気づかなかったんだ!」
「クソっ! クソっ! クソっ!」
![](https://assets.st-note.com/img/1731219799-UIGQwl84zcqkxTWuyASi9d2p.png)
「キャッ! びっくりした! この人、イスを蹴飛ばした! もうこの席、イヤだ〜!」
「メイたん、大丈夫だった!」
「ちょっとさすがに頭おかし過ぎでしょ、東西新聞! テイ子さん、もう店を出ましょうよ! こんなの倍賞ものですよ! 私、ホテルに帰って編集長に電話します!」
ナンのこの発言は、さすがに海原雄山の耳にも聞こえた。
海原雄山「中川さん、申し訳ありませんが、いったん士郎さんをお願いしてもいいですか? 私はこの場の雰囲気をどうにかします。」
中川「その方がよろしいですね。」
中川「さぁ坊ちゃん、少し外で落ち着きましょう。」
海原雄山「(いつもすまないね、中川さん・・・)」
海原雄山「やぁお嬢さん方、こんにちは。 いやはや、お見苦しいところをお見せしてしまい、申し訳ありせんでした。 メディア関係者のようですが、どちらからお越しですか? ほう、北海道から取材でこちらに。 私は、利尻昆布が特に好きですよ。」
海原雄山のこの穏やかな口調と、豊富な知識、おもしろい体験談などで、すっかり大王飯店の雰囲気はよくなった。 そして海原雄山は、雑誌社『powaro』の独占取材を受けることを承諾し、冷やし中華について語る記事が掲載される事となった。
![](https://assets.st-note.com/img/1731220791-hKsd3Rvbxz08YDe7XFltaZwg.png)
「冷やし中華も、中華料理の新たな形として受け入れられる可能性がある。 しかし、ただの冷やし中華ではなく、本物の中華としての地位を確立するには、それ相応の努力と心遣いが必要だ。」
取材用のレコーダーから海原雄山が語る声が流れる。
それを聞きながら記事を書くのは札幌に戻ったテイ子だ。
「冷やし中華のように新しい料理も、作り方次第で立派な中華料理として認められるのです。」
記事の締めくくりとして、そう原稿に書いたところで、テイ子はペンを置き、イスに座ったまま大きく伸びをした。
テイ子「うーーーーーん! おわったー!」
![](https://assets.st-note.com/img/1731220972-TJBveW6KordfMaQkl8VXE1hx.png?width=1200)
テイ子「あとは昭和最後の料理対決『究極メニューVS 至高のメニュー』10年目の真実の記事ね!」
テイ子の言う『真実』とは、海原雄山が彼女たちだけに話した山岡士郎との秘密の話だった。
しかし、その記事を書く前に、彼女たち3人は、山岡士郎と海原雄山が鉢合わせとなる場に、またしても偶然、遭遇することになる。
![](https://assets.st-note.com/img/1731221034-PEgnXr0h7p5R1N2LzwoOsAvB.png)
続く!!!
![](https://assets.st-note.com/img/1731221309-W57tbFHPRhyZGjl0B6oUJOS1.png?width=1200)
♪ ぱらぱっぱ~
森本レオ「この物語に出てきた登場人物は・・・」
メイたん
テイ子
ナン
地元旅行雑誌『powaro』編集部編集長
powaro男性編集者
海原雄山
料理長 中川(なぞ多き男)
大王飯店 店主とその奥さん
山岡士郎
栗田くん
東西新聞家庭部 星村
東西新聞 受付アルバイト
大王飯店 一般客
![](https://assets.st-note.com/img/1731221535-Ih9EyXx3PtYpSVkinMol7CrB.png)
![](https://assets.st-note.com/img/1731221598-aBpGRFmDUTsj9yWA3fKqlVI4.png)
▼ 前回シリーズ一覧
![](https://assets.st-note.com/img/1731221639-n3S54qea7Wutyvfsgdo1OFrK.png?width=1200)
第1話 熱海編(本編)
第2話 福島県 前編(本編)
第3話 福島県 後編(本編)
最終話 熊本阿蘇編(本編)
番外編 海原雄山アサーティブ 横浜中華街
番外編 海原雄山アサーティブ 第2話 フランス料理
![](https://assets.st-note.com/img/1731221639-9i2aev0F3JkIfO7NE1oRMSCg.png?width=1200)