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柏原、アサーティブ硫酸

ボンジュール、カイバラさん


おお、これはこれはこんばんは
今夜はとてもおいしいフランス料理ありがとうございました

あなたがここのレストランのオーナーさんですか

実に見事な料理でした
私は今日、フランスの文化を堪能できたと思います

できれば、このソースについて、もう少し詳しく教えてくれませんか?

ほほうなるほど、鴨の血をですか。

この奥深い深みのある味は、まさにフランスの伝統の味なのでしょう。
いやぁーあっぱれです。

私はフランス料理は世界的に見ても美食家たちを魅了する料理の一つと考えていますが
それ以上に他国の文化をより知りたい、理解したいという気持ちも強いんですよ。

そこでどうでしょう?
せっかくオーナーが日本に来ているのですから
私の戯れに付き合ってはくれませんか?

いえいえ、日本とフランス、両国のちょっとした友好を深めるための「いたずら」ですよ。
そんなに身構えないでください。

ふむ、いやさすがオーナー、懐が深い。
それではしばしばお付き合いください。


恐れ入ります中川さん、例のワサビと醤油を持って来てくれませんか?
ああ、中川さんありがとうございます。いつも本当に助かります。

さぁ、オーナーも店長もどうぞご覧ください。
ここに持って来させたのはわさびと醤油です。

私も日本では有数の美食家と言われる男です。
ぜひオーナーと店長に私がお勧めする鴨肉の食べ方を味わってほしいと思いました。

フランスの鴨肉と日本のワサビ醤油がどんなイリュージョンを引き起こすか
試してみてください。

ははは、オーナーはワサビは初めてでしたかな?
失礼しました、そうとは知らずにイタズラが過ぎてしまいました。

でもどうか?
濃厚で深みのあるフランスの鴨肉料理が、ソースを日本のワサビ醤油に変えるだけで
あっさりとした爽やか風味になったと思いませんか?

そうでしょうそうでしょう、私はフランスと日本の相性の良さを例えたく
こんなイタズラを思いつきました。

オーナー、そして店長、ぜひ日本にいるうちに私たちの美食倶楽部にお越しください。
今度は日本の刺身にフランスでもよく使われるマヨネーズをつけて食べていただきたい。

文化や伝統は尊重し敬うべきですが、
他国の文化を取り入れて新たな文化を作るのもまた楽しいとは思いませんか?

笑わせるな!

ん?!なっ!!
き、君は史郎ではないですか!

雄山、キサマは自分のやってる事が失礼だと思はないのか!
フランスレストランでワサビと醤油を持ち込むなんて
ファミリーレストランでも許されないことだぞ

いえお客様お言葉ですが海原雄山さんは事前に店長の私に許可を取っていました。

えっ?!う!だとしてもだ!
お前は外交官にでもなったつもりか!
何が国同士の友好だ!

ああ、お客様恐れ入りますがオーナーは
料理を愛する者同士の交流という意味で理解してますが、
国同士の友好はあくまで比喩として海原雄山さんはその言葉を使われただけと思いますが。

ぐぐぐ!帰るぞ!栗田くん!富井副部長!

ま、ま、まってください!史郎!
父として一つ言わせてください!

どうか!どうか我が家に帰って来てくれませんか!
この通りお願いです

なんてことを!海原雄山さん土下座なんておやめください
ええーい、中川さんは黙っていてください!
これは親の問題なんです!

史郎、君がいなくなってから私は、、、父はとてもとても寂しい毎日を過ごしています。
君が出て行く時に壊した私の作品の数々は数千万円を優に超えるモノでした。

でも、君のあの行動のおかげで私は目が覚めました。
だから時価総額で数千万円なんて勉強代と思えば安い物でした。

それよりも私の本当の宝は君なんです!
どうか、どうかこれまでのことはこの通り頭を下げて謝ります。
だから帰ってきてくれませんか?

オーナーすみません、これはちょっとプライベートな内容過ぎて
倫理的に通訳すべきではないです、ご勘弁ください。

ふん!知るか!

ああ、史郎ー!

旦那様!
ああ、中川さん、すみません。少し手を貸してください。ちょっと足が震えて一人で立てません。

お父様!私が手を貸しますわ!

ああ、君は東西新聞の栗田くんだね。
ありがとう、情けないけど手を借りないと立てそうにないです。
お願いします。

はて?そういえば今私をお父様と呼びましたか?

あ、はいすみません。
私、山岡さんのことがどうも好きなのようで、、、

ははは、そうでしたか。では今私の目の前にいらっしゃるのは将来の私の娘というわけですね。

そ、そんな、恥ずかしいですはお父様。

栗田さん、私は父親失格の人間です。
しかし、どうか史郎は一人で孤独な人生とならぬよう、支えていただけませんか?

は〜、でも私はたぶん片思いですから。

おや、栗田さんはそう思うのですね?
しかし私は違いますよ。私は彼の父親ですからよくわかります。
だってずっと陰で彼のことは見てきましたからね。
この料理長の中川さんだって小さい頃から史郎を見てきた男です。

ねぇ、中川さん、中川さんも史郎が誰が好きかはお分かりですよね?
ええ、栗田さん旦那様と私がお墨付きを押しますよ、史郎坊ちゃんは間違いなく栗田さんの事が好きですよ。

海原雄山さん、もうだいじょうぶですか?
うちのオーナーがとても心配しております



ありがとうございます。まずこの遊びを鮫肌のおろしで申します。そしてこれは最高級醤油でございます。ここにわさびを入れ、じゃあこの鴨肉誠に恐れ入りますが、この柳さんの遊び場で

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