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2024東京ヴェルディ選手雑感① 【戦士たちは挑み続け、感動を超えていった】

18.93位。
これは開幕前の順位予想でのヴェルディの平均予想順位だ。

つまりヴェルディはJ2降格の筆頭候補というのが多くの人の予想だったということだ。
もちろん贔屓のチームを低く見られていい気はしないけれど、この予想に怒ったり嫌な感情を抱いたりすることは特に無かった。
なぜならプレーオフを経て昇格を決めたことによる必然的な選手編成の遅れ、J1最低クラスと言われる強化費、J1で実績のある選手の少なさ、プレーオフを勝ち上がったチームが1年で降格する割合の多さ・・・降格圏と予想する理由はいくらでも挙げられるからだ。
自分自身も今季は残留争いに巻き込まれることを覚悟してたし、15位くらいに入れれば満点だと思っていた。

そんなチームが周囲の予想を遥かに上回る6位という結果を掴み取った。
残留争いをするどころか、ACLもあわよくば狙える順位を終盤まで争う素晴らしい戦いを見せてくれた。

知名度もJ1での実績も無い選手たちが開幕から堂々とした戦いを見せ、足りなかった部分も試合を重ねるごとにどんどん成長していき、終盤はどこが相手でも堂々と戦えるチームとなり・・・
「挑み続け、感動を超えろ」というスローガンを有言実行するようなサッカーを貫き通した1年だったし、その姿勢に引き寄せられるようにシーズン中もどんどんサポーターが増えていった。
それなりに長くサッカーを見ているけど、ここまでチームの戦いに気持ちが揺さぶられ続けた年は無かった。
本当に今年のチームには感謝しかありません。

ということで、ここ最近毎年やっているシーズンを終えての選手雑感を。
(元々は有名なtkqさんのnoteに影響受けて始めたもの。クオリティは全然及びませんが)
今回の記事では後ろの方の選手を主に。


GK

マテウス

ヴェルディの外国人選手史上最長のシーズン5年目となった今年も正GKとして君臨し、全試合フル出場を達成した。好きなお菓子はアルフォート。
強めのシュートも弾かず止め切る、ハイボールにしっかり飛び出せる、1対1の場面でジリジリ寄せてセーブに持ち込む駆け引き上手と、総合的にハイレベルな実力者。
序盤はJ1初挑戦ということもあってか(後に膝を痛めていたともコメント)ファインプレーが鳴りを潜めていたが、夏頃からは守護神モード全開に。
鹿島戦でのシュートブロック直後のシュートを足1本でクリアしたのは凄すぎて意味不明だったが、本人すら分かってなかったらしい。
繋ぐ面ではかなりセーフティー志向でリスタートは近くの味方に繋ぐことが大半だが、アシストの付いた柏戦のようにパントキックは結構上手く、後半終盤に嫌がらせのように飛ばすこともあった。
今季の躍進にマテウスの貢献はとても大きいが、名古屋が興味を示しているという報道もあった。
これだけ活躍すれば当然目をつけられるだろうけど、これからも緑の守護神として君臨してください。

長沢祐弥

シーズンを通してセカンドキーパーの座を守り続けた。リーグ戦は出られなかったがルヴァン杯と天皇杯では先発し、セーブも足下も安定感のあるプレーを披露しており、2番手の座は固かった。

佐藤久弥

ソシエダ戦でかなり久しぶりにプレーを見ること出来たが公式戦では見られず。そして契約満了が発表された。最終戦で対峙した太田岳志のように他のチームで出場機会を掴んだかつてのサブGKもいるし、今後のキャリアに幸あれ。

中村圭佑

ヴェルディが久々に高校から獲得したルーキー。こちらも公式戦に出られなかったので見てない。U-19代表には継続して選ばれている。今は先輩達から学びながら鍛錬の時か。

DF

深澤大輝

3年間主力として活躍したが今年は非常に苦しいシーズンとなった。
序盤は昨年同様に左SBで出ていたが怪我で離脱。更にこの頃にチームが3バックに移行したことで出番を失ってしまった。6月以降は8月の鹿島戦でラスト1分出たのみというのは悔しい結果だろう。練習試合では左WBでも使われているらしい。
明らかにJ1の強度に適応してきていたし、実力のある選手だと思うが、これだけ出られないと移籍という選択もあるのかもしれない。

谷口栄斗

ユース生え抜きの副主将は今季もDFリーダーとして君臨した。システム変更後は不慣れな3バックの左CBとして奮闘。
優れているのはコンドゥクシオンに積極的なところである。(この言葉を言ってみたかっただけ。2年連続)
足下の技術を活かしたビルドアップや縦パス、サイドチェンジが上手く、後方からのゲームの組み立てに欠かせない選手だった。守備面では鹿島戦での体を張ったシュートブロックが印象深いが、実際ブロック数はチームトップ。あとは1対1の対人がさらに伸びれば代表も行けるか。
セットプレーではオフサイドラインや相手と駆け引きしながら入り込むのが上手いが、川崎戦でのセットプレー3発でハットトリックはあまりに衝撃的過ぎて現地観戦で笑ってしまった。
5月ごろに復帰後すぐ離脱していたが、どうも右膝に古傷があるらしく今後も付き合っていく必要がある模様。
現代サッカーで求められる力を持っているだけに様々なチームから注目されていると思われるが、これからも長く緑のDFリーダーとして君臨してほしい。

林尚輝

電車で広告を見てSnowMan渡辺翔太に似ていると話題にする人が多数のCB。鹿島からのレンタル延長でCBの中心メンバーと一人としてプレーしていたが、9月以降スタメン落ちし、最終戦の京都戦にスタメンで出るまで出番を失ってしまった。
前半戦は相手への寄せが甘く失点に繋がる場面がいくつかあるなど少しサポのヘイトを貯めがちだったが、これはCBの宿命か。
DF陣トップの勝利数を誇る空中戦などフィジカルの強さが武器で、中央や右CBで試合に出続けていたが、ビルドアップがそんなに得意ではなく、夏以降の綱島の台頭で天秤にかけられてしまいベンチが主となってしまったのだろう。レンタル2年目だがこの状況を踏まえて来年はどうなるのか。
なおスマホケースに入れるくらいリヴェルンが好き。

千田海人

J3からキャリアをスタートさせ8年目で辿り着いた初めてのJ1で結果を残した。
ルヴァン杯鹿児島戦でアピールし、直後にリーグ戦初先発した川崎戦でシャットアウトの結果を残すとそのままスタメンに定着。一時のスタメン落ちの時期を経て夏以降は3CBの中央に定着した。
対人守備と空中戦の強さが抜群のザCBというタイプで、シュートブロックやクロス対応で千田がいると本当に安心感があった。
去年は割と不安定だった足下も成長著しく、ロングフィードを積極的に蹴るように。強みの発揮と弱みの克服でキャリアを掴み取った1年だった。
見た目はいかつい体育会な印象だがキャンプや絵など色々やっていて結構多趣味。絵はアカウントまで作ってデザイナー活動もやってる模様。

山田裕翔

対人の強さが売りのルーキーCB。鹿島戦ではスタメン起用も相手にスコーンと入れ替わられて失点し、試合終了後には涙を流すというプロの試練も味わった。
以降出場はルヴァン杯のみで、3バックになっても上記の選手達の壁は厚かった。次の時代を担うCBなので来季以降に期待。

袴田裕太郎

読みは「はかまた」。貴重なレフティのDF。
春先には前向きのプレッシャーの強さでSBで使われた。だがサイドのスピード勝負で結構不安があり、ガンバ戦で山下諒也に散々やられてインアウトの屈辱を味わって以降は天皇杯1試合のみの出場となった。その天皇杯長野戦では2ゴールを決めている。
3バックでも谷口などの牙城を崩せずベンチにも入れなかった。
過去に磐田を半年で移籍したこともあり出場機会にはシビアな印象もあるが、来年はどうなるか。

綱島悠斗

デカくて上手いロマン溢れる守備者はJ1の舞台で一気に飛躍した。
パワーで抑え込める対人の強さに加え、足下を活かしたビルドアップも積極的でサイドチェンジのキックも上手い。ただスピード勝負ではやや分が悪く、手足の長さもあってかイエローカードも多い。
そのストロングとウィークの収支がプラスになりきれていないために、序盤は昨年と同様に前から後ろまで便利屋的にポジションをたらい回しにされていたが、夏の鹿島戦での右CBコンバートで一気にブレイクした。
J1にも慣れた頃に360度からプレッシャーの来るボランチから前方向に集中すればよいCBに移ったことでストロングポイントを全面に発揮出来るようになり、さらにその試合で持ち上がってのアシストも決めたことで精神的な自信を深め、以降はスーパーゴールを決めたりと目に見えて成長していく一方。
持ちすぎて奪われたり、川崎戦でスピード勝負でズタズタにされるなどまだ荒削りな部分もあるが、伸び代の裏返しといえるくらいのポテンシャルを見せており、日本代表待望論まで出てきた。これからも俺らの誇りとして躍動してほしい。

SB・WB

宮原和也

今季のメンバーでJ1の方が出場数が多かった唯一の選手。
開幕前に負傷離脱し、開幕後も復帰と離脱を繰り返す苦しい前半戦だった。前半戦は出た試合でもコンディションがあまり良くなさそうだったが、そのコンディションも夏には上がり、鹿島戦で起用されハマって以降は不動の右WBとして定着。
対人守備や危機察知能力に優れており、ガツっといきながらもクリーンなボール奪取や後ろからサッと奪っていくインターセプトはまさに職人芸。
更に足下の安定感もあり、上下動出来る運動量もあるので右サイドは宮原がいれば一安心だった。
一方で高い位置でクロスをなかなか上げないなど攻撃面ではもどかしさもあったが、そこまで求めるのは酷か。これからも緑の守備職人を見続けたい。

誰もが惚れるイケメン

翁長聖

町田からやってきた左右両サイドをこなせるユーティリティプレイヤー。個人的なシーズンMVPです。
運動量も技術もありとても器用な選手だが、その中でも最大のストロングポイントは左右両足で高精度のキックを蹴れることと、絶対にセルフジャッジで足を止めない所。個人的にはこんなに両足遜色なく蹴れる選手はヴェルディで見たことがなかった。
バテるまで走れ!守備時は5バック攻撃時は5トップをやれ!というのが(かなり乱暴に言えば)3-4-2-1システムで求められていたので、走りきれてかつキックで打開出来る翁長はWBとして重宝され外せない選手だった。
攻守両面で数多くのスーパープレーを見せたが、特に印象深いのは鳥栖戦でのポストにぶつかりながらのクリアと、名古屋戦での審判のアドバンテージを利用した抜け出しからのループシュート。

個人的にはヴェルディで一番サッカーが上手い選手だと感じる。
心配なのはここまで2〜3年で移籍を繰り返しているので、マンネリを感じたら移籍してしまうのではということ。居続けてもらうためにも常に刺激を与えられるチームでいてほしい。

なぜか試合前撮影ではいつも右を向く翁長

稲見哲行

昨年大活躍した中盤の刈り取り役も今季は苦労した。
開幕では対人守備を買われてSB起用。その後はボランチを経て3バック移行後はWBで主に起用されたが、夏頃からは出番を失いベンチにも入れない試合が多くなってしまった。
WBでは結構苦労していたし、個人的にもSBはまだしもWBは無茶めな起用だったと感じる。
中盤で試合に出られなかったのは、ボールを奪った後に縦パスをなかなか出せなかったところだろう。ボランチがプレッシャーの中でも前を向くことが求められる中で、要求になかなか応えられなかった。
稲見もそうだが足下よりはフィジカルという選手が出番を減らして行くのを見て、J1はフィジカルだけでなく足下の技術がないと厳しいということを実感させられた。
1年目も苦労していたので少し適応に時間がかかるタイプなのかもしれないが、来季の出場機会を考えるとどういう決断をするか。

②はまた次回!