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何もない日々よ、さようなら

9月は自分が受け持つ仕事が突然増え、休日もそのことで頭がいっぱいになり気持ちが落ち着かなかったので先月は記事が書けませんでした。今週いくつかの作業が一段落つきホッとしながら、今月こそは書かねばと思いこうしてパソコンを開いています。

さて、10月である。天候はどうも不安定だ。台風がやってきてわが国の公共交通機関をめちゃくちゃにしたかと思いきや、日中の気温が30度を超える日もやってきてクールビズが終了した我々を悩ませている。これを書いている日はというと、日中は暑く夜は涼しいというこれまた外で着る服に困る天候で、長袖に短パンという中途半端なコーデで外出したがこれが正解だったのか帰宅した今も分かっていない自分がいる。もう一度言うが10月である。

僕の10月は何もないことが多い。
これまでの人生の中で大切なイベントがあるのはいつも春、夏、そして冬。入学式と卒業式は春だし一番心に残っている高校の文化祭は夏、受験は冬。大学で部活をしていたときは9月から一番大きな大会が始まったがそれも10月上旬には終わり、月の半分以上はやはり何もない時間を過ごしていた。楽しくも悲しくもない、生きているのか死んでいるのか、10月はそんな時間を過ごしている。

今年もそうなってしまうのか。不安に駆られながらカレンダーを確認してみる。すぐに心が躍った。そうだ、今月は一大イベントがあるじゃないか!
いとこの結婚式である。こんな大事なことをなぜカレンダーを見る前にここに書けなかったのか。まったく、自分自身が嫌になる。
これまでの人生の中で結婚式に参加したことは一度もない。招待されたことはあるのだが部活の大会を理由に欠席した。今は部活を休んで行けばよかったと後悔している。金沢でおいしい料理と美味しいお酒を堪能できたはずなのに。時間があれば観光だって出来たかもしれないのに。ちなみに金沢に行ったのは一度だけ、しかも仕事で。
話が逸れたが、そんなわけで結婚式に出席するのは今回が初めてなのだ。そしていとこに会うのはおそらく10年ぶりくらい。久しぶりに見るのがその日限りの特別な姿だと考えるとなんだか緊張する。何を話せばいいだろう、そもそも主役と話す機会はあるのだろうか。あ、でも僕お色直し前の退場のときエスコートするらしいんだよな。その時しゃべれるかな、いや、きっと連れて行くので精一杯だな。あとで両親が撮った写真を見て「俺めちゃ顔ひきつってる!」なんて笑っている自分が容易に想像できる。でもそんな自分の情けない姿を見ることすら今から楽しみだ。

ポジティブな出来事があるとしばらくの間気持ちが前向きになってくれる。ネガティブな出来事があればしばらくの間気持ちは後ろ向きになる。僕の心はそういうメカニズムらしい。だから結婚式で受け取る感情も刹那的なものではないと思っている。次の日の朝、町の形は、人の顔は、きっと今までとは違う。願わくは今までよりも素敵なものに見えてほしいが。もしも無機質な景色がそこにあれば、いよいよ僕の心は死んでいるのと同じだ。そうならないように、もうすぐやってくる大切な時間を全身で受け止めてやる。
何もない日々を過ごすより、一日でも多く何かある日に出会いたい。その何かはきっと嬉しいことだけじゃない。胸が裂けるような日にだってこれから何度も出会う。太陽は絶えず僕を照らすほど優しくはない。でも、あの日の嵐が無かったら今の世界はここには無かった。怒りも悲しみも同じように人を美しくするはずだ。だから曇りの中で自分を失うなら、すすんでずぶ濡れになろう。僕はいつだって「ここで生きている」と感じたい。

そんな風に考えながら日曜日の空を見上げると鮮やかな青が広がっている。今年の10月は晴れの日が続きそうだ。

#エッセイ #10月 #秋 #日常 #結婚式