テレビ問題。
僕は特撮ヒーローが好きだ。特に仮面ライダーが好きだ。夏ごろに最新作がいつも発表されるのだが、どんなテーマなのか、主演はどんな俳優さんなのか、色々と考えながら毎年その時を待っている。元号が変わったので今秋からは令和ライダー第一作目が放送されることだろう。どんなヒーローが生まれるのか楽しみで仕方ない。
だが、高校生から僕は仮面ライダーを観なくなった。恥ずかしかったから。親に「その年になっても…」と言われるのが嫌だったから。だから日曜日の朝、両親がいない時という中々整わない条件下でしか見ることが出来なかった。
家族といると自分が見たいテレビ番組が見られない。これがテレビ問題である。そしてそれと同じような問題が、テレビ以外のことにおいても発生していた。つまり、家族と一緒に生活する故に出来ないことやしづらいことがあったのだ。
というわけで、一人暮らしを始めました。
いやあ、もう快適。好きなテレビ番組を見られますから。仮面ライダーは毎週録画するよう設定しました。ついでに好きなアニメも録画して見ています。CDもかけ放題。ラジオも聴き放題。楽しいですね!一人暮らし!
本来の理由はこんなことじゃありません、当然ね。ここまで書いたことも本当なんだけどね。
一人暮らしをしようと思った一番の理由は「生活力」をつけなければならないと考えたからだ。
20数年間、ずっと親にご飯を作ってもらい、自分の服を洗濯してもらい、部屋の掃除をしてもらっていた。さすがにまずいと思った。親にケアしてもらいながら好きなことをやるのはいよいよ卒業しなければならない。会社員になって一年経ったら家を出ようと決めた。
今年の1月には部屋の契約をして、そこから徐々に実家から物を運び、4月から本格的に一人暮らしをスタートさせた。そして今、1か月と数日が経過した。
良かった。一人暮らしをして。本当に。
生活力は着実についてきていると思う。まず、料理をよくするようになった。晩御飯は出来る限り自分で作っている。好きなものを作るから栄養が偏りがちだが、外食よりはましだろう。
洗濯もなるべく毎日するし、掃除もする。休日は丸一日遊ばずに家事をする時間を設けるようにしている。当たり前じゃん、と思うだろうが僕にとってはものすごい進歩だ。
ふと、「ちゃんと生きてるな」と感じることがある。
親と暮らしている時は本当に何もしていなかった。すべてを親にしてもらっていた。その環境は当時の自分にとって大変快適なもの、なはずだった。
実は誰かにすべてを任せて自分だけ何もしないことは非常に不健康だった。家にいても心は休まらなかった。会社から帰ったあと、家にいるのに仕事のことを考えずにはいられなかった。気になってしまっていたという方が正確か。スイッチを切りたくてもそのスイッチが壊れてしまっているような感覚。24時間ストレスを抱えていた。この感覚が続いた去年は生きている感じがあまりしなかった。
一人で生活し始めてそれがなくなっていくことにすぐ気が付いた。理由はいわゆる家事をするようになったからだということにも。
仕事が上手くいってようとなかろうとご飯は作らなきゃいけないし洗濯もしなきゃいけない。自分の生活を守るためのことはやらねばならない。
それが僕にとってのスイッチになった。オン/オフ機能が復活したというよりは仕事スイッチと生活スイッチの2つが搭載されたような感覚。僕にとって家事をすることが仕事を忘れさせる良いトリガーになった。そして、この2つのモードの切り替えが出来ることが僕を心ある人間に保っている気がする。生きている実感が今はある。大げさかな。とにかく、一人暮らしを始めて本当に良かった。
最後に、お母さんお父さん、これまでありがとうございます。家のことはしっかりやっております。いつか僕が料理を振舞いますのでその時をお楽しみに。