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柳田國男少年もみた風景 神積寺『鬼追い』

福崎町東田原「神積寺」で行われた修正会「鬼追い」をみにいく。
神積寺は、福崎駅から歩いて50分くらいにある、薬師如来を本尊とする天台宗のお寺。開創は991年。

この「鬼追い」は仏教の正月行事「修正会(修正月会)」のひとつとして、鎌倉時代から行われている。源流は平安時代から行われていた「追儺(ついな)」と呼ばれる中国由来(道教?)の宮中行事が民間に伝わり、仏教と習合したものだとか。ちなみに、この追儺は「節分」の原型の一つとも言われている。

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神積寺はさらに「山の神」が出てくる。山岳信仰の習わしの通り醜女の風貌をしているが、一方でこの山の神は、薬師如来の化身でもあるという。それにお供する赤鬼は毘沙門天、青鬼は文殊菩薩…と、習合が色々過ぎるのだけど、とにかく、山の神たちは、この日に山から下りてくる。


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寺院の中で、山伏の螺貝とお坊さんの念仏が響くなか、山の神と鬼たちは四方を火で清める舞を踊る。
その後、たいまつを持ちながら、泣き叫び逃げ惑う子どもたちに松明の煤をつけたり撫でたりしていく。聞くに、夜泣きが治るご利益があるそうだ。


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境内には子ども連れの家族がたくさんいて、われ先にとわが子を鬼たちに差し出していた。地元の人たちに根差した行事なのが伝わってくる。

この神積寺の鬼追いを、幼年期の柳田國男もワクワクしながらみていたという記述が『故郷八十年』という著作に残っている。そして、ここは母方の祖先が、明治35年に北海道へ移住する前に暮らしていたところだ。

時代によって形を変えながら、この風景は地元のものになっている。

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