守りたい風景を守るとは、つまり、 狭山丘陵『トトロの森』
狭山丘陵には『トトロの森』という土地がある。
森は適度に整備され、雨上がりの深緑が目に眩しい。虫も元気で、どんぐりからは芽がでている。
となりのトトロがこの狭山丘陵近辺をモチーフにしたことは有名だが、この森を守るために、人々がお金を出し合い、ここの土地を購入していることは、意外に知られていないかも知れない(というか僕が知らなかった)。いわゆる「ナショナル・トラスト」運動のひとつだ。
『公益財団法人トトロのふるさと基金』は、この狭山丘陵が開発によって大きく森が削れていく事態を危惧して1990年から活動を始めたという。
ホームページをみると、トトロの森に番号が振られたマップが掲示されている。数えると、52番まである。そして、その土地を購入した金額をちゃんと明記されている。
2019年の時点で、949,971,481円が寄付され、その全てが、狭山の土地を購入するのに使われている。寄付金が目標まで達成し次第、土地を買い、それを52回続けてきたということだ。中には無償提供されたものもあるようだが、この地道な活動は、保存できる森を着実に増やしている。
最初、土地の購入金額をみて、おお、、と思ったけれど、しかし、寄付した人がそのお金がどう使われているのか、具体的にわかるよう配慮されている。というか、当たり前のことをちゃんと記載しているだけなのだ。その当たり前とは、森を守るには寄付が必要だ、ということだ。
購入された土地には、自由に散策できるようになっている。子どもたちがここを遊び場にできるようにと。
守りたい風景を守るとは、つまり具体的にこういうことなのだ。