見出し画像

図解ポケット 画像生成AIがよくわかる本(5)

5月20日発売の新刊『図解ポケット 画像生成AIがよくわかる本』より、一部引用してご紹介します。
第5回は『コラム オープンソースとイノベーション』です。

column オープンソースとイノベーション

オープンソースとは、ソフトウェアを構成するプログラムであるソースコードを、無償で一般公開することを意味します。そうすることで誰でもそのソフトウェアの改良や再配布が行えるようになります。Stability AIは、Stable Diffusionをオープンソース化しているため、世界中の有志のプログラマーによって継続的にStable Diffusionが改良されています。

Stability AIがオープンソース化によって「AIの民主化」を目指す背景には、大規模な技術開発企業が自分たちの技術を独占し、AI業界でブレークスルーやイノベーションが起きにくい構造になっていることへの批判があります。Googleを含むAI開発企業は、社会への影響が大きすぎるというリスクから、自社で開発した画像生成AIのオープンソース化をしていません。もちろん、こうしたリスクへの懸念は重要ですが、特定企業が自分たちの権利としてソースコードを非公開にした場合には、その企業の限られた数のエンジニアのみしか開発に携わることができず、イノベーションが起きにくくなってしまいます。

一方でオープンソースの場合には、世界中の有志のプログラマーが異なる意見をぶつけ合うことで思いもよらなかった新しいアイデアが生まれるため、イノベーションが生まれる可能性が高まります。つまり、オープンソースの真の価値とは、無料で利用できるからではなく、そこにコミュニティが生まれて認知的な多様性が高まることで、共創が生まれることにあるといえます。実際、Stable Diffusionは2万人以上の開発コミュニティを形成しているという情報もあり、Stable Diffusion Videos、DiffusersInterpret、Japanese Stable Diffusionなど、Stable Diffusionから派生した新しいプログラムが次々と生まれています。

「早く行きたければ一人で行け、遠くへ行きたければみんなで行け」(Ifyou want to go fast, go alone. If you want to go far, go together.)という諺があるように、オープンソースは、より長期的な視野でイノベーションを起こすための重要な戦略であるともいえます。

図解ポケット 画像生成AIがよくわかる本

目次

CHAPTER1 画像生成AIのキホン
 1-1 ジェネレーティブAIとは?.
 1-2 ジェネレーティブAIの活用
 1-3 画像生成AIとは?
 1-4 画像生成AIの歴史(1)
 1-5 画像生成AIの歴史(2)
 1-6 画像生成AIの歴史(3)
 1-7 画像生成AIとクリエイターエコノミー
 1-8 画像生成AIによる生産性の向上
 1-9 対話型AIチャットボットのChatGPT
 コラム 画像生成AIから考える創造性

CHAPTER2 画像生成AIサービスの仕組み
 2-1 画像生成AIの仕組み
 2-2 画像生成AIの仕組み
 2-3 日本語に特化した画像生成AI
 2-4 プロンプトエンジニアリング(1)
 2-5 プロンプトエンジニアリング(2)
 2-6 プロンプトエンジニアリング(3)
 2-7 プロンプトエンジニアリング(4)
 2-8 Image to Imageでの画像生成
 コラム 画像生成AIとGPU

CHAPTER3 画像生成AIと著作権
 3-1 著作権とフェアユース
 3-2 画像生成AIに関する著作権の問題(1)
 3-3 画像生成AIに関する著作権の問題(2)
 3-4 画像生成AIに関する著作権の問題(3)
 3-5 画像生成AIに関する著作権の問題(4)
 3-6 画像生成AIに関する著作権の問題(5)
 3-7 AIイラストメーカー「mimic」のサービス停止
 3-8 画像生成AIがもたらす倫理的な問題
 3-9 画像生成AIをめぐる問題への対応
 コラム オープンソースとイノベーション

CHAPTER4 画像生成AIの活用事例
 4-1 活用事例(1):コミック制作
 4-2 活用事例(2):映像制作
 4-3 活用事例(3):ゲーム開発
 4-4 活用事例(4):建築デザイン
 4-5 活用事例(5):インテリアデザイン
 4-6 活用事例(6):広告クリエイティブの作成
 4-7 活用事例(7):自動車のデザイン
 4-8 活用事例(8):医療画像の作成
 コラム 人間とAIが共存するには

CHAPTER5 代表的なサービスとその使い方
 5-1 Midjourney(1)
 5-2 Midjourney (2)
 5-3 にじジャーニー
 5-4 Stable Diffusion(DreamStudio)
 5-5 NovelAI
 5-6 お絵描きばりぐっどくん・AIピカソ
 5-7 TrinArt
 5-8 DALL・E 2(1)
 5-9 DALL・E 2(2)
 5-10 Dream by WOMBO
 5-11 Canva
 5-12 Adobe Firefly
 コラム 一般公開されていない画像生成AI

CHAPTER6 ジェネレーティブAIのこれから
 6-1 画像生成AIから動画生成AIへ(1)
 6-2 画像生成AIから動画生成AIへ(2)
 6-3 画像生成AIから動画生成AIへ(3)
 6-4 様々なジェネレーティブAIの登場
 6-5 視覚メディア生成
 6-6 文書生成
 6-7 音声・音響生成(1)
 6-8 音声・音響生成(2)
 6-9 コード・プログラム生成
 6-10 業界特化の生成AI (1)
 6-11 業界特化の生成AI (2)
 6-12 ジェネレーティブAIが社会にもたらす変化
 コラム ジェネレーティブAIを取り巻く問題

いいなと思ったら応援しよう!