『Blender Python完全ガイド』より 第1回 ~はじめに~
Blender内でPythonを活用し、3Dモデリングやアニメーション制作などの3DCGプロジェクトを効率化するための環境設定や、Pythonの基礎知識、アドオン開発、公開・ライセンス管理などの応用的なトピックについて詳しく解説する『Blender Python完全ガイド』から書籍内容を抜粋してご紹介。第1回は「はじめに」著者 ぬっち氏からのメッセージです。
はじめに
本書では、Blender内でPythonを活用し、3D モデリングやアニメーション制作などの3DCGプロジェクトを効率化する方法を解説します。PythonをBlender に組み込むことで、ワークフローを自動化するツールやアドオンを開発できます。これにより制作者の負担を軽減し、より創造的な仕事に専念できます。
著者は、2013 年からBlender上でアドオンの開発を続けています。当時のBlender は知名度が低く、日本語のBlender Python 情報はほぼ存在しませんでした。そのため、Pythonを手探りで学んでプログラムを書く必要がありました。そこで、BlenderのPythonを学ぶ人が同じような苦労をしてほしくないと考え、本書を執筆するきっかけとなったWebサイト『はじめてのBlenderアドオン開発』を公開しました。Blenderの知名度が高まった現在では、より多くの情報をWeb 上で入手できますが、Python未経験者にとってBlender Python の学習はまだハードルが高いという声もあります。このため、Blender上でPython の基礎からアドオン開発までを1冊で学べる本を執筆しました。
本書は、著者のWebサイトで公開中の『はじめてのBlenderアドオン開発』から重要な部分を掘り下げつつ、Python未経験者向けの基本的な内容も解説します。Python初学者でも、最終的には自分でBlender向けのPythonプログラムを作成できるように構成されています。Pythonの基礎知識はもちろん、アドオン開発などの応用的なトピックについても本書で詳しく解説します。
本書は5つの章から構成されています。第1 章では、BlenderとPythonに関する一般的な内容を説明し、Blender上でPythonプログラムを実行するための準備をします。第2 章では、Blender上でPythonプログラムを実行しながら、Pythonに関する基本的な言語仕様を学びます。第3章では、Blender が提供するPythonAPIについて詳しく説明し、Blender向けのPythonプログラムを作成するために必要なことを学びます。第4 章では、Blenderのアドオン開発に挑戦します。アドオン開発はやや難易度が高いトピックですが、この知識を習得することでより高度なタスクをBlenderで実現できます。第5 章では、Blender上でPythonプログラムを作成する際の注意点や情報収集の方法など、Blender Pythonをより深く理解するための情報を紹介します。
最後に、本書は多くの皆様によるご協力なしには実現しませんでした。企画から出版まで、秀和システムの皆様がご尽力いただきましたことに、心から感謝申し上げます。日ごろからお世話になっているBlenderコミュニティの方々にも、あらためて感謝します。本書を読んだ方がBlender でPythonを効果的に活用できるようになり、微力ながら創造的かつ効率的な制作活動に貢献できれば幸いです。そして、Blenderのコミュニティがさらに発展していくことを願っています。
書籍目次
Chapter1 BlenderではじめるPython
1-1 BlenderとPython
1-2 準備
Chapter2 Python基礎
2-1 変数と演算子
2-2 制御文
2-3 関数
2-4 クラス
2-5 モジュールとパッケージ
Chapter3 Blender Python
3-1 Blender Python APIの構成
3-2 Blenderのデータ構造
3-3 Blenderのオペレータ
Chapter4 Blender アドオン開発
4-1 アドオンの基礎
4-2 アドオン開発の基礎
4-3 カスタムオペレータの作成
4-4 カスタムUIの構築
4-5 イベント
4-6 描画
Chapter5 Blender Pythonをより深く理解するために
5-1 Blender Pythonの情報源
5-2 多言語対応
5-3 ライセンス
5-4 Visual Studio Code連携
5-5 プログラムの公開
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