「中村さん、テレビに出ませんか?」 と昨年の秋ごろにNHKのディレクターMさんより連絡があった。 「いいですよ」と自分は特に迷わず了承した。 ――― 以前よりMさんとはメールやZoomなどでやりとりをしていた。 Mさんは「ひきこもり」に関心があるそうで、これまでひきこもりをテーマにした番組をいくつも手掛ていた。 Mさんと知り合ったキッカケも東京に住むひきこもり当事者からの紹介からであった。 ひきこもり当事者たちが作る『ひきポス』にスポットライトを当てた番組が作られる
ひきこもりは家にこもる。 ひきこもりは家で平穏に過ごしたい。 ただそれだけが望みなのだ。 その生活が脅かされると恐怖でしかない。 なので、ひきこもりの恐怖の対象といえば、まずあがるのは「訪問者」である。 彼らはひきこもりの意思を無視して不意に家にやってくる。 家のチャイムを鳴らし、これでもかとまくしたてる。 宅配便、郵便配達、保険のセールス、巡回カードを持った地域の警察官、etc.. 正直にいうと、自己否定が強かった時代、チャイムが鳴っても出なかったことが何度も