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Shutter Vol.1 山本あゆみさん③ ~楽健寺酵母とつくる世界~
私が切り取るあなたを綴る Shutter お一人目は
神戸市須磨区で楽健寺酵母とともにパン教室「ひなたぱん」を主宰する
山本あゆみさん。
1話目から読む方はこちらから
第3話は、私が体験した
あゆみさんと一緒に、楽健寺酵母で作るパンについて。
”天然酵母のパン”と聞くと
美味しくて、体に優しくて
それが自分で作れたなら
母としても主婦としても女性としても
「なんだか、すてき。」
そんなイメージを抱く一方で
瓶を煮沸して、とか、雑菌は禁物、とか・・・・
「天然酵母は手間がかかるし扱いきれない気がする」
そんなイメージも持っていた私でしたが
第2話の「ひなたぱんこねない会」で
あゆみさんがイキイキと目をキラキラさせて語る
おおらかで、時にユニークな
「楽に、楽しく」つくる天然酵母パンの話をきいて
(何せ彼女は、扱う酵母のことを「楽ちゃん」と呼び
彼ら菌には、人格ならぬ菌格があるのだというのです!
そして、彼らとの日々が、
様々な世界を教えてくれ、楽しくて仕方ないのだと)
もしかしたら
私でも「天然酵母のある暮らし」ができるかも、と
その世界を、覗きたくなってしまいました。
そんな時にちょうどタイミングよく開催が決まったのが
はじめてさんの天然酵母と仲良くなる 1dayぱん教室
@東京
これまで、自己流でインスタントドライイーストで作るパンは
幾度となく作ってきて
でも、時間が経つと、少しイースト臭さが出てしまうことに
むーん、と思いながらも
「致し方なし」と思っていた一方
どこかで
「天然酵母でパンを焼けたらいいな」と思っていた私にとって
この1day教室は、
天然酵母に対するハードルをぐんと下げてくれるきっかけになりました。
なにせ、レッスンの一番最初のお話は
酵母の話より前に
「ひなたぱんの菌と仲良くなる7ヶ条」
①朗らかであること
②五感を磨こう。
③軽やかであること
④チャレンジを楽しもう
⑤自分のことを丁寧に扱おう
⑥3Dブス言葉を封印
⑦菌をまき散らそう
と、ぱんを作るための7ヶ条というよりも
日々をゆたかに生きるための7ヶ条のお話。
菌をまこう、とか、ちょっとおもしろい。(笑)
朗らかに、軽やかに
自分を丁寧に扱いながら
楽しく酵母とのパン作りの
トライアンドエラーを楽しもうね。
それを、自分だけのものにしないで
誰かとシェアできたら、もっと楽しくなるよ♪
大丈夫、この子(=酵母)たちは、そんなに、やわじゃないから。
楽ちゃん(=楽健寺酵母)と一緒に過ごしていけば
パンづくりも、あなたの毎日も
相互作用で
なんだか、とっても、楽しくなっていくと思うの
そう話すあゆみさんは
本当に楽しそうで
つないできた「楽健寺酵母」たちの存在と
酵母とともにひなたぱんを育ててきたご自身を
信頼しきっているように私には映って。
この子がいれば、美味しいパンは
頑張りすぎなくても作れますよ
そんなメッセージを、全身で伝えてくださっていました。
ひなたぱんと出会って初めて耳にした「楽健寺酵母」
これは、
長芋とにんじん、リンゴとお米で起こす酵母で
とっても気立てのいいおおらか酵母なのだとか。
煮沸や消毒しなくても、大丈夫。
几帳面にならなくても、大丈夫。
パンを焼きたいと思った前日に
スターターから酵母を起こし、
翌日焼くことが出来る手軽さ
スターターは冷蔵庫なら2か月は持ち
その間いつでも酵母を起こすことが出来るし
一般的なパン焼きで重要視される「発酵のピーク」も長い。
多少の時間なら待つことも可能で
焼き手の事情を包み込んでくれるおおらかささえ感じる。
時間や分量に
几帳面に完璧になろうとする必要がない
そんな緩やさと穏やかさを兼ね添えた酵母
この酵母と付き合ううえで大事なのは
「ちゃんとすること」よりも
「酵母をよく観察して、コミュニケートして
仲良く付き合いながら、楽しくパンをつくること」
一般的に料理や製菓で大事とされる
分量や温度、時間。
もちろん、教科書に載るそれらも大事だけれど
何より大事なのは
そうした数字より何より
目の前の酵母と
その酵母であなたが作った生地の様子。
固かったらお水を足してあげよう
寒そうなら、少しお部屋を暖めてもいいね
暑すぎるなら、換気を
生地の具合は、どう?
これは、レシピには載らない部分
机上の数字や理論だけで測ることなく
あなたの目で、耳で肌で、感じながら
パンを焼くという過程を
あなたなりの感性とともに
楽しみ、育んでみてください
その間にたとえうまく焼けない時があったとしても
それは
あなたを
「パンが焼けないダメな人」という烙印を押すための失敗ではなく
酵母ともっと仲良くなるための
次はどうしたらいいのかを教えてくれる「サインのひとつ」だから。
どこかでずっと
パン作りは
分量と手順、温度を守れば大丈夫
それこそが大事
そう、ルーティーンのようにとらえ、
「パンは焼きたいけど
そんなにしょっちゅう毎日のように焼きたいわけではない
自分のタイミングで酵母も使えたら嬉しい」
そう思っていた私にとって
このお話は
楽健寺酵母という存在と私の
楽しいお付き合いの始まりであり
私の暮らしのペースで付き合っている
「パン作りのある暮らし」を作っていけばいいんだと
とても気楽な気持ちにさせてくれました。
お話しながら、みんなで笑いながら作ったこの日のパンは
とってもとっても、素晴らしい焼き上がりで、美味しくて!
↑
まるぱん。
↑
まるパンでつくる、グラタンパンやピザ。
この日の1dayレッスンで私が受け取ったものは
楽健寺酵母という、新たなるパン作りの相棒と
美味しいパンの作り方
そして
正しさばかりを追うことなく
気負わず、もっともっと
つくること、生み出すこと
生きることを
素直に、正直に
気楽に楽しんでいいんだよ
そうしたら、今よりもっと
楽しくてステキな何かが生まれるし
世界が広がっていくよ
そんな、大切な事だった気がします。
「パンの作り方」を教えてくれる教室は
きっとたくさんあるだろうけれど
パン作りを通して
生きることの楽しさや素晴らしさを
押し付けることなく、こんなにも感じさせてくれる先生って
実はそんなにいないんじゃないかな。
パンの先生だけど、それだけじゃない
もっととっても大きくてあったかくて
優しい何かを伝えてくれる
あゆみさんは、そんな先生なのかもしれない。
天然酵母と楽しく付き合いたい方も
パン作りをもっと気楽に気負わず楽しみたい方も
そして
自分らしく生きることを、楽しみたい方も
ひなたぱんに出会ったらいいなぁ。
そんなことを感じた、1dayレッスンでした。
次号では、ひなたぱんを育ててきた
山本あゆみさんとはどんな人でどんな世界を進もうとしているのか
そんなことを。