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大学生がプロになるまで(実体験を踏まえて)

こんにちは。
J2ブラウブリッツ秋田の稲葉修土です。

今回は、大学生がプロに内定するまでの経緯。
また僕が大卒で海外(シンガポール)に行き、そこからJリーグに加入した経緯をお伝えしたいと思います。

・この記事を書こうと思ったきっかけ


2021年度の大学サッカー連盟の登録者数は、18,596人で大学4年生は4,649人。
Jリーグ内定者数が127名なのでプロになれる確率は3%以下です。


天皇杯でJリーグのチームを毎年撃破できるような実力があるにも関わらず、その中でもほんの一握りしかJリーグには進めないのです。


現在、僕はプロ生活を開始してから7年目です。
『どうやって海外に行ったんですか?』
『どうやったらまたJリーグに戻ってこれますか?』
こんな相談をプロになって以来、大学生からたくさん受けてきました。


・大学生がプロからのオファーを獲得する経緯


有望な選手や、著しい活躍を見せている選手は2・3年生の頃からJリーグの強化担当の方々に注目をしてもらい練習や試合後一緒に話をしたり、強化指定(在学中にプロの試合に出られる権利)に登録されます。

他にも、全日本大学選抜に選ばれていると定期的に練習や試合があるためそこに訪れている強化担当の方達にプレーを見てもらえる機会が増えます。

自分自身は、一度も全日本選抜に選出された実績はありませんでした。
それでも九州選抜としてデンソーチャレンジカップ(各地域の選抜チームが集まる大会)で準優勝し、大会のベストイレブンにも選んで頂きました。

しかし、その時点(3年生の3月)でこれといった話はなく、悔しいながらも就職活動することを決意しました。

僕の周りにも、プロを志望する選手が多く九州選抜に入って活躍していた選手もいましたがJリーグからのオファーは届きませんでした。


・海外でのチームが決まるまで


就活をしていましたが、やっぱりプロにいきたい!と思い、サッカーを続ける選択をしたのが4年生の11月頃。
もうすでにJリーグに内定している選手もいましたし、就職の内定もほとんどの同級生がもらっていました。

僕はそれから色々なチームに練習参加しましたが、オファーには至らず、、、
そのまま最後の大会の全日本選手権も終了してしまったので、本当にどうしようかと考えていました。
いっそのこと、もう一年就活浪人しようかな とかも思ってました。

しかし事態は急展開を迎えます。
12月末、夜に福岡大学サッカー部乾監督からの電話が鳴り翌朝監督室にきて欲しいとのことでした。
どこかJリーグのチームがオファーを出してくれたのかなと思い期待に胸を膨らましながら伺うと、


シンガポールはどうだ?


いきなりすぎて、思考が停止しました。

どういうことですか?』 と聞き返したのを覚えています。
サッカーのことを話しているのかすらも分からなかったので 笑


詳しく聞くと、アルビレックス新潟シンガポール(以下新潟S)の是永大輔社長が是非欲しいと言ってくださっているとのこと。
実は、福岡大学で他の選手のことを気にしていたらしく(当時僕は就活をしていた)そのときに僕のことも見ていてくださっていたみたいです。

もう年末。
年が明けてから再び色々なチームに練習参加をお願いするという選択肢もありましたが、今必要としてくれるチームがある。
海外には興味があったし、僕はすぐに『行きたいです。』と返事をしました。

・シンガポールでの生活


ここでは、現地での待遇や生活などをできる限りお伝えします。

オファーを頂いた、10日後くらいにはもう出発だったのでシンガポールに向かいました。

シンガポールリーグのシーズンは、2月中旬から始まり11月の末まで。
Jリーグとほぼ同じですね!

給与も日本と同じで毎月シンガポールドルで振り込まれます。
最初は決して十分な額ではなかったので、勝利時のボーナスをもらうために毎試合必死でした 笑
シンガポールは日本食のレストランや大手チェーン店もたくさんあるのでうすが、物価が高く日本食は日本の2倍ほど。

逆に、現地の市場で食べられるローカルフード(現地の食事)は500円程度です。

なので市場で食べると金銭的には困ることなく生きていけます。

スーパーも至る所にありますし、街もとても綺麗なのでシンガポールに住めなかったらどこにも行けないんじゃないかと思います 笑


シンガポールは常夏のため体力を考えて基本的に練習は午前のみ。
午後からは、ケアをしたり筋トレをしたり好きなことに時間を使ったりです。
海外でプレーするメリットはここが一番大きいかと思います。

日本とはまた違った景色を現地で直接感じることができ、毎日が刺激的でした。

東南アジアでは母国語+英語を話せる人の割合が日本よりも高く、現地の友達を作ると英語を学ぶことができます。
多国籍国家なので、外国から来た人にも優しく接してくれますし、シンガポール人もネイティブではないので下手でもちゃんと聞いてくれます。
東南アジアに行くと、『間違ったらどうしよう』という心理的な壁が低いので英語を学ぶにも良い環境でした。

また、シンガポールには日本の大手企業が支社をもっているため、普段なかなか会うことができない人たちとも繋がることができ、とてもありがたいご縁や経験を得られました。
僕は、島根の高校に通っていたのですが現地の島根県人会にお呼びいただきました。
とても嬉しかったです。

とにかく、充実した2年間を過ごすことができました。

シンガポール時代の家


・海外に残るかJリーグか

シンガポールでプレーして2年が経ち、『来年は移籍をしよう』と決めていました。
国内のタイトルを全て獲得できましたし、自分の実力を他のチームでも試してみたかったので。
ここで出てきたのが2つの選択肢です。
メリットを○、デメリットを×として挙げると


・日本に戻る

○憧れだったJリーグでプレーできる可能性がある。
○より高いレベルにチャレンジできる
○支えてもらった人達により良い恩返しができる。

・東南アジアに残る

○年俸が3〜5倍になる。
○知見をさらに広げられる。

×いつ契約満了になるかわからない。
×日本でプレーできるチャンスがほぼ無くなる。

条件面でいうと、東南アジアでプレーする方が良かったです。
当時は、シンガポール国内で2チームとインドネシアのチームが1チームオファーを出してくれました。
インドネシアのチームに限っては、家と車もついており年俸もかなり高かったです。

ただ、東南アジアでは契約書があってないようなもので仮に1年の契約を結んでいても結果を出せなかったり、チームの財政状況が悪化してしまうと数ヶ月・半年で契約を打ち切られるケースもよくあります。
チームによっては、残存分のサラリーを払ってくれることもあるのですがそうでない場合が多いです。
そして、そっちの道に移籍するとJリーグでプレーできることはほぼなくなってしまうと思いました。

Jリーグのチームにもいくつか練習参加をさせて頂いたのですが、以前から繋がりもあった、カターレ富山の黒部前強化部長からお話をいただき契約に至りました。

・なかなかチームが決まらないあなたへ


大学4年生になると、ほとんどの人が就職活動をし、プロに進みたい選手は本当にチームが決まるのかという不安に襲われます。
特に、先にJリーグに内定している選手が周りにいると余計に心配になります。

正直、みなさんが望んだ進路にいけるかどうかは分かりません。
しかし道は1つではないと僕の経験を通じて言えます。

海外に行く選択肢も大いにあります。
これから進路を決める学生の皆さんが満足した道に進めることを願っています!

現役でプレーしているうちに、経験を伝えられればとおもうので、もし何か他に聞きたいことがあればTwitter (https://twitter.com/sinaba0629)かInstagramhttps://www.instagram.com/shutoinaba0629/)でメッセージをください!

稲葉 修土



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