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リベラルアーツって別に大学だけで学べるもんじゃないぜ?という話

この数年間は「リベラルアーツ」という言葉を雑誌やネットでよく目にした時期だな、という印象があります。AIやプログラミングの重要性がビジネススキルとしても台頭してきた現在、そういった新しい分野も理解しながら、他分野も理解している人材こそが社会で活躍できる、という論調です。それを、ざっくりと「リベラルアーツ」とメディアでは呼んでいる...気がする。

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▲週刊ダイヤモンドでも特集されてます

でも、それってちょっといわゆる「教養」っていう翻訳された日本語に引っ張られていると思っていて。実際、「リベラルアーツ=パンキョー(一般教養)」って思っている人も多いでしょう。

リベラルアーツの本質というものは「教養」科目で様々な分野を学ぶことで得られる知識のことではないんですよ。という世の中の誤解を解きたい心からの叫びを今日はお届けします。

リベラルアーツとは、知識だけのことではない!

「リベラルアーツ」は確かに明確な定義はありません。となると原義にしっかり立ち返ってみたいと思います。

そもそもリベラルアーツ(Liberal Arts)は直訳すると「自由な技術」。そもそも古代ギリシャで提唱された概念です。当時は自由民と非自由民(要は、奴隷)に分けられていた時代背景での「自由民として自由に学ぶ技術」のことでした。プラトンは自由七科(文法、修辞学、論理学、算数、幾何、天文、音楽)を定義しました。これは、よき哲学者、よき統治者となるための必須の学問ととらえたわけです。(以下の画像はリベラルアーツの自由七科を示した図です。)

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これらの根幹には、よき統治を行い、よき社会を創るために教育が必要、という思想が垣間見えます。(とはいえ私は哲学の専門家でないので、解釈を誤っていたら教えてください!)

現代的な解釈をすれば、社会をさらによくする優れたリーダーになるための教育といえるでしょう。そして何より、「新しい知識を得ることで、その人自身が成長すること」までがリベラルアーツの本質なんです。

アインシュタイン曰く、様々な物事について自ら考えようとする心を養うことでもある

その「成長」を紐解くと、まさに得た知識をベースにして、様々な物事について自ら考えることになります。

ここについては、国際基督教大学ことICUのウェブサイトにおける、「リベラルアーツ」の解説が凄まじい本質を突いていると共に、アインシュタインの引用も脱帽するほどシンプルに書いてくれています。

"The value of an education in a liberal arts college is not the learning of many facts, but the training of the mind to think something that cannot be learned from textbooks."
「リベラルアーツ教育の価値は、教科書に書かれている事実をただ学ぶのではなく、様々な物事について自ら考えようとする心を養うことにある」
ー アルベルト・アインシュタイン

これって、まじで大学だけじゃなく、社会に出て社会人(若手のときは特に)になってからも重要なマインドセットじゃないでしょうか?(さらに、アインシュタインほどの知の巨人がこういう名言を残してるの興味深いことです。)

こういったことは、大学で講義を受けて学んだり本を読んで学んだりするだけでなく、日常会話からも得られますよね!他者の経験を見たり聞いたりした際に、鵜呑みにせず自分の知識と紐付けて反芻してみることもそれにあたりそうです。すると、どこかで自分の知識と新たに得た視点が噛み合って、Steve Jobsの言うConnecting Dotsの境地に至る。これ、前回のポストでの身近な他者との対話の重要性にもつながる話ですよね。

ちなみに、このような背景を受けて、うち(HLAB)で提唱するリベラルアーツは以下のように定義づけています。

HLABの提唱する「リベラル・アーツ教育」のあり方とは、「多様な他者との出会いの中で、個々が自身と向き合い、自由な生き方を追求するための教育環境」のことです。
そのために、私たちは「リベラル・アーツ教育」には、 人が身近なロールモデル=「ピア」からお互い刺激を受け、学び合う「ピア・メンターシップ」が非常に重要であると考えています。

多様な専門分野や背景を持つ他者との交流から学び合い成長していくことこそ、リベラルアーツである、ということなんです!

ですから、本質的には、リベラルアーツは大学で提供される場や環境というわけではなく、身の回りにそのチャンスはあふれているんです。

リベラルアーツを体験できる、下北沢で共に住み学びましょう!

今回はこの記事で少しは「リベラルアーツ=パンキョー(一般教養)」という日本的公式への誤解を解けたはず(笑)

(※以下、2020年9月に追記です)

リベラル・アーツの一端を体験できるそのようなプログラムを引っさげ、HLABは2020年、新しい挑戦をしています!

2011年に高校生向けのサマースクールを立ち上げて以来、レジデンシャル・エデュケーションの可能性を模索し、さまざまな取り組みをしてきました。3月末に公式に発表したとおり、現在その集大成として、小田急電鉄さん、UDSさんとともに、「下北沢レジデンシャル・カレッジ(居住型教育施設)」の開発を進めています。

2020年9月現在、先行入学するプログラムパートナー(通称:0期生)の募集を始めます。興味を持っていただいた方により詳しく情報をお伝えし、イメージを膨らませていただくために、説明会、オープンカレッジ、下北沢キャンパスツアー、個別相談会を企画しています。ご応募をお考えの方はぜひご参加ください。また、入居募集もすでに開始していますので、ご覧ください!

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