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Canned Craziness by Tommy Wonder<旧ブログより>

Andy Warhol’s hand-painted masterpiece,
“Big Campbell’s Soup Can with Can Opener (Vegetable)” (1962)

※本記事は2014年執筆の記事です

ものすごく久しぶりな更新です。

引き続き、マジックには触れているのですが、これは紹介せねば!というものに特に出会うわけでもなく、マジックを楽しむ生活を送っておりました。

そんなに読んでいる人がいない、かつ、この本は本当に素晴らしかったというような本に出会ったときは紹介しようかなぁと適当に思ってブログを作ったので、更新をさぼり続けていました。(ちなみに、最近読んだ本で本当に素晴らしかったのは、タマリッツのSONATAの邦訳「ホァン・タマリッツ カードマジック」です。未見の方はMUST HAVEです。)

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マジック界の過去の偉人達は山ほどいますが、その中でも特別僕が大好きなのは、Tommy Wonder氏です。僕が彼を知ったのは彼が亡くなったあとだったことは、いくら後悔しても後悔しきれません。一度は生で演技を拝見したかったものです。もう少し僕自身マジックを早く始めていれば…。。。

そんなTommy Wonder氏の演技やマジックへの考え方を知ることができる資料に、"The Books of Wonder"(Tommy Wonder & Stephan Minch著)があります。これとDVDの"Visions of Wonder"は必携でしょう。本の方は、一度読み通したのですが分厚いため頭に入っていない部分も多く、読み直したいなぁと思い続けてなかなか読めていない…。(本当に、記憶に残らない読み方をしている自分はダメだなぁとつくづく思います)

それと、彼といえばCups and Balls。名作中の名作で、2カップのルーティンはこれが答えなんじゃないかと思ってしまうくらいです(言い過ぎかw)

そんな彼のCups and Ballsの作品集があります。それが"Tommy Wonder Entertains"。3つの作品で"Canned Craziness"、"Cough Cough"、"Cups and Balls"が掲載されています。"Cough Cough"はDVD2巻でも演じられているCough Drop、Cups and Ballsは概ねDVDと同じです。"Canned Craziness"のみ、この作品集にしか掲載されていません。ということで気になっていたのですが、先日この作品集を手にすることができました。

ebayより拝借…

"Canned Craziness"は、いわゆるSolid Cupの現象です。日本人として嬉しいことに、だいたいこういった現象には高木先生のOne Cup Routineがクレジットされています。それと、Paul Harris氏のUncannyやAmmar氏のBeanie Weenieも。それより前に、Solid Coneという現象からカップに応用されたようなので、Laurence Steinmeyer氏も紹介されています。この方のこと、全然知らないのですが…。

(余談ですが、以前Magic Landでは高木先生のルーティン用の木製素敵ソリッドカップが販売されていたのですが、まだされているのかなぁ。木目が結構きれいで、持ってるだけの幸福感が素晴らしい。)

いくらGoogleで検索しても、これ以上の情報が出てこないので(全ての現象は書かないまでも)紹介したいなぁと思って今回の記事を書いています。

Canned Crazinessは名前からも分かる通り、缶を使ったカップ&ボールです。Ammar氏のBeanie Weenieのようなイメージでいいとは思うのですが、Wonder氏の作品は使うモノが「スープ缶」と「ミートボール」です。

…え!ミートボール!?

と、思いますよね(笑)

「スープ缶を開けるとミートボールしか入っていない…!?」という驚きからはじまる演技です。

しかし、さすがTommy Wonder、随所随所でのカップの扱い方、演技の仕方により、缶が空いているという事実に対する説得力の付け方が他の作品と一線を画している気がします。また、ボールの貫通フェーズでも、貫通途中を見せるシーンもあり、なかなかビジュアルです。カップ&ボールにつきもののロードも賢い。勉強になる部分がこの1作品でもたくさんある、素晴らしい作品でした。

Solid Cupのエンディングは、仮に真鍮などの通常のカップで行った場合は、なぞの金属のカタマリとなってしまうのでよくわからない現象だと思っていました。それに、大きなモノが出てきたあとの、追加のサプライズなので、やや冗長になってしまうのではないかと思っていました。ですが、缶詰を使うことで「フタが閉まる」という比較的わかりやすい現象までブレイクダウンし、ルーティン全体も全然長くない(たぶん、演じたら3分程度だと思います)ものにまとまっているので、これなら確かにウケるだろう、という印象です。実際にWonder氏が演じていたのですから、まぁ間違いないでしょうし!Beanie Weenieもそうですね。

しかし、スープ缶とミートボールの組み合わせに笑ってしまいました。

食べ物カップ&ボールシリーズだと、David Regal氏のCocoa(書籍 Approaching Magicにて解説)があったなぁ。マシュマロでやるカップ&ボールです(笑)

ちなみに、演技でスープや肉汁で手がべとべとになるわけではないので、そこはご安心を…。あ、そういえばキャンベルのスープ缶のウォーホルの絵、今六本木ヒルズの森美術館で観られますね。早く観に行きたいです。

読んで面白かったら、是非サポートしていただけると嬉しいです!大学生との食べ語り代にします笑