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【2024年10月第2週】強い米経済とインフレ、外貨準備高で見るドル高円安の行方

先週はマーケットにとってポジティブなニュースが多かったですね。特に注目されたのは、ISMサービス業景況指数が54.9と予想を上回る数値を記録したことや、非農業部門雇用者数が前月比+25.4万人と大幅に増加した点です。また、失業率も0.1%低下して4.1%となり、アメリカ経済の底力が改めて示されました。これらのデータは短期的には米国株の上昇やドル高円安の流れを促進する要因となり、米国株を買っている投資家にとっては朗報となっています。

個人的には雇用者数が後々下方修正されないことを期待しています。さて、10月第2週もマーケットにとって大事な指標やデータが発表されます。特に注目すべきは、米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨外貨準備高の動向、そして消費者物価指数(CPI)の発表です。


時間がない人向け

🇺🇸 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨:インフレと金利政策に対するFRB内部の見解が焦点となります。
🇯🇵 外貨準備高:円安や為替介入の動向を背景に、外貨準備高の動向が注目されます。
🇺🇸 消費者物価指数 (CPI):インフレ率の動向が今後の金融政策に影響を与える重要な指標です。

要人発言

🇺🇸 10/9 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨

FOMC議事要旨では、FRBが0.5%の利下げを行った背景や、インフレに対するFRB内部の見解が詳しく述べられる予定です。特に注目されるのは、FRB内でのインフレに対する見解の違いです。一部の理事 (ボウマン理事)はインフレが再燃する可能性があると懸念しており、他の理事 (ウォラー理事など) はインフレが沈静化したと見ています。今回の議事要旨の発表により、今後の金融政策の方向性が明確になると思います。

経済指標

🇯🇵 10/8 外貨準備高

次に、10月8日に発表される日本の外貨準備高についてです。昨年から円安が進行し、為替介入の可能性が取り沙汰される中で、外貨準備高の動向は非常に重要な指標となっています。米経済の雇用統計が強く、CPIも高止まりしている状況では、景気後退の懸念が薄れ、ドル高・円安の流れが再び強まる可能性があります。この際、外貨準備高が十分に確保されているかどうかが重要なポイントとなります。

外貨準備高が豊富であれば、為替市場の変動に対して安定的な対応が可能となり、急激な円安進行を抑制する力となります。また、金利と債券価格には逆相関の関係があるため、米国の利下げ継続は既存債券の評価額を上昇させ、外貨準備高に影響を与える可能性があります。これは日本経済にとってプラス材料となりますが、一方で円安がどこまで進行するかについては引き続き注意が必要です。特に、急激な円安は輸入物価の上昇や企業の競争力に影響を与えるため、政府や中央銀行の対応が注目されます。

🇺🇸 10/10 消費者物価指数 (CPI)

CPIは、いわゆるインフレ率を示す重要な経済指標であり、今回の発表はFRBが利下げを実施してから初めてのものとなります。CPIの動向は、インフレ圧力の現状を把握し、今後の金融政策の判断材料となります。

CPIには、ヘッドラインインフレ率コアインフレ率の2つの指標があります。ヘッドラインインフレ率は、食品やエネルギーなど価格変動が激しい項目を含む総合的なインフレ率を示します。一方、コアインフレ率は、これらの価格変動の激しい項目を除いたインフレ率であり、より持続的なインフレ動向を示します。

足元のデータを見ると、7月の2.92%、8月の2.59%と、全体としては下落傾向にあります。しかし、最新のPCE(個人消費支出)データでは、ヘッドラインインフレ率が2.1%と低下している一方、コアインフレ率は2.7%と依然として高止まりしています。

PCEとCPIの違いについて説明すると、PCEは消費者の実際の支出を基に計算されるため、消費行動の変化をより反映しやすいという特徴があります。一方、CPIは都市部の消費者が購入する商品やサービスの価格変動を追跡するもので、消費者の購買力の変動を直接反映します。このため、PCEはより広範な経済活動をカバーし、CPIは消費者の生活費に直接影響を与える指標と位置付けられています。

ヘッドラインインフレの低下はエネルギー価格の下落など短期的なインフレ圧力の緩和を示唆しますが、コアインフレが高水準にあるため、長期的なインフレリスクは依然として存在します。このため、FRB内でのインフレに対する見解の違いが、今後の金融政策に大きな影響を与えることが予想されます。


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