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①分析編 | 未経験エンジニアが9ヶ月かけてソロ開発し、Product Huntの5,000プロダクトを分析して2位になった話

多くの方は初めまして!現在Novalisという会社で代表をしている高見澤です (X: @shutakamizawa)。私は新卒でBlackRockという金融系の会社に就職しましたが、現在はLambdaという個人投資家の資産運用をサポートする生成AIのツールを開発しています。創業の背景はぜひ自己紹介noteをご覧ください。

今日は題名の通りですが、12/26のProduct Huntでデイリーランキング2位になることができました🎉

Product Huntは数百万人が月間で閲覧するとも言われ、毎日世界中から新たなプロダクトが投稿されるコミュニティサイトです。投稿されたサービスはユーザーのUpvote (いいね)の数などによって1日ごとの順位が決まる仕組みになっており、その日のランキング上位を狙うことで多くの人から注目される機会を得ることができます。過去にはNotion、Figma、Canva、ChatGPTもこのサイトのランキングで上位に入っています。

このnoteではProduct Huntの投稿に向けて私が事前準備として分析した直近5,000プロダクト(2024/10-2024/11)の傾向や、実際にしてきた対策、当日の動き、成果について書こうと思います。少し長くなるので分析編と対策編に分けています。

今後Product Huntに挑戦し、自分のプロダクトを海外市場に向けて発信していきたい人の助けになれば幸いです。質問などあれば気軽にXのDMで連絡ください☺️

個人アカウント: @shutakamizawa
Lambdaアカウント: @lambda_finance


🧑‍💻 分析に使用したPythonスクリプト

こちらに、私が実際に5,000プロダクトを分析する際に使用したPythonスクリプトを公開します。オープンソースにしておくので、ぜひみなさんでもっと分析機能を良くして、Product Huntをハック (攻略) していきましょう
クローンされる際はレポにstarと、noteにいいねをポチッと押していただけると励みになります!Xにポストしてもらえるともっと喜びます笑

‼️ 大事なポイント

色々とありますが、すべての行動で意識すべき重要なポイントは「いかに注目されるコンテンツを作るか」という一点に尽きます。

特に運営が公言しているわけではないのですが、Product Huntは票数だけでランキングは決まりません。これまでにも「自分の方が票を得ているのにランキングに載らない」といったケースはいくつも見てきました。それは運営側からこのプロダクトは良さそうだと「Feature(注目)」されていないことにあります。

Product Huntを調べると、「不公平だ」といった意見がちらほら出てくるのはこの点が原因だと思います。ですが、これも私の個人的な意見ですが、例えば友達から「へへ、いい感じの民泊まとめサイト作ってやったぜ。最高にクールなUIだろ」と意気込んで紹介されても、それAirbnbで良くね、あまり注目されなさそうだなと判断する感覚に近いのではないかなと思います。公式のドキュメントにもUseful (有用性)、Novel (革新性)、High Craft (高品質)、Creative (創造性)の4つのポイントで評価すると書いてあります。

とはいえ、せっかくnoteを見ていただいた方も「なんだ選ばれるかどうかの運ゲーじゃん」と思ってしまって挑戦を諦めては欲しくないので、どうすればFeatureされる確率を上げられるか、私が分析してきたことをまとめます。

🌏 Product Huntでの公開タイミング

まず、いつ出せば良いんだって話ですが、Product Huntに公開する日付については、曜日ごとの特性と目的 (Featureを狙うのか、競合を避けるのか、ユーザー認知を最大化するのか)に沿って決めると良いと思います。下のグラフは曜日ごとに平均何個のプロダクトがローンチされたのか、その内何%がFeaturedかをまとめたものになります。

曜日別のローンチされた平均プロダクト数と、Featured率

この結果から目的別に選んだ方が良い曜日は
1. Featured率を重視したい場合
→ 火曜 (Featured率 11.94%)
2. 競合を少しでも減らしつつFeatureされたい場合
→ 日曜 (平均101プロダクトと競合が最も少ない+Featured率高めの9.25%)
3. できるだけ多くのユーザーに認知してもらいたい場合
→ 平日の 月曜・木曜・金曜
4. 避けたい曜日
→ 水曜 (競合が多い+Featured率低め)、土曜 (Featured率が最も低い)

平日は競争が激しい分、多くのユーザーに見てもらえる可能性が高く、Featureされれば大きなトラフィックを集めることができます。週末は競合が少なくランキング上位を狙いやすい反面、見ているユーザー数が少ないというデメリットもあるので、自社プロダクトに合ったベストな選択を検討してみてください。

🔥 Feature (注目)されるプロダクトの傾向

Product Huntに挑戦する際には、「カテゴリ」「画像の枚数」「動画の有無」などが気になるポイントとなります。そこで、まずは結論をお伝えします。

2024年12月現在でFeatureされやすいプロダクトは、「AI」「Chrome Extension」「Health & Fitness」のいずれかの分野で、4-6枚の画像と動画を添付しているプロダクトになります。

順番に見ていきます。そもそも毎日どれくらいの割合でFeatureされるのかというと、直近の5,000プロダクト中では8.92%の446個でした。私が公開した12/26のProduct Huntにおいても98プロダクト中Featuredが8個で8.16%だったので、この傾向は概ね合っていて毎日約9%前後のプロダクトが運営に選ばれているのかと思います。

カテゴリ別

まず、最近公開された投稿をカテゴリ別に分け、各カテゴリのうち何%がFeaturedかをグラフ化してみました。

投稿されたカテゴリTop10とFeatured割合についてのグラフ (投稿数の多い順)

すると、よく投稿されている上位3カテゴリは「Productivity(730件)」「Design Tools(327件)」「Android(305件)」でした。これらはいずれも開発者目線でのトレンドではあるものの、投稿数が多いからといって必ずしもFeatureされやすいわけではないようです。実際、投稿数が3番目に多い「Android」はFeatured率5.2%とTop 10の中では最も低い割合となっています。

この事からトレンドだけではなく、Featureされやすいカテゴリを狙うのが良さそうです。その観点で見ると、確率が高い上位3カテゴリは「AI(14.4%)」「Chrome Extensions(12.3%)」「Health & Fitness(10.0%)」です。これから投稿を考えている方は、このあたりのカテゴリを意識してみてもいいかもしれません。

画像の枚数別

画像添付枚数によるFeatured

次に、ローンチ時に添付する画像の枚数がFeatureされるかどうかに与える影響について調査しました。その結果、Featuredプロダクトは平均4.7枚(中央値4枚)の画像を添付している一方、Non-Featuredプロダクトは平均3.2枚(中央値3枚)となっていることがわかりました。また、1枚だけの画像を添付してFeatureされたプロダクトは存在しません

このデータから、画像枚数には統計的に有意な差 (T統計量: 10.5262, p値 < 0.05)があることが確認できました。投稿される際は、4〜6枚の画像を添付することで、視覚的なアピール力が高まり、Featureされる可能性が上がると考えられます。

動画の有無

最後に、ローンチ時に動画を添付することがプロダクトのFeaturedステータスに与える影響について分析しました。結論から言うと、動画を添付することは非常に効果的であり、動画ありのプロダクトは動画なしのプロダクトに比べてFeatureされる確率が約4倍高いことがわかりました。以下はクロス集計表になります。

この結果を視覚化すると、このようになります。動画ありのプロダクトでは全体の約66.6%がFeatureされている一方、動画なしでもFeatureされたのは33.4%です。また、動画をつけたにもかかわらずFeatureされなかったのは29.0%となります。

Featured vs Non-Featuredプロダクトでビデオ有無の割合

また、動画の有無によるFeatureされる確率を計算すると、動画なしの場合は4.4%、動画ありの場合は18.37%であり、動画をつけることでFeatureされるオッズが約4.1倍高くなることが分かります。

動画の有無によるFeatured確率

まとめ

Product Huntでのローンチで成功確率を上げるためには、運営から「Feature」されることが重要です。そこで今回は、直近5,000プロダクトの投稿から、「カテゴリ」「曜日」「画像の枚数」「動画の有無」がFeatureに与える影響について分析しました。

もっとも、運営が公式に明かしていない基準も多く、コミュニティへの貢献─ たとえばスレッドでの議論への参加、連続ログインの継続、他のプロダクトへの定期的なUpvote ── といった要素も無視できません。

もちろん、不公平に感じる点や結果に恵まれないケースもあるでしょう。しかし、それを含めたうえで自分が準備できることをしっかり行い、もし上手くいかなかったとしても次のチャンスに活かすというくらいの気持ちで臨むのが良いのではないかと思います。

次回は、この分析を踏まえたうえで私が実施した具体的な対策と、その後のローンチ結果 (ユーザー数やアクセス数の変化など) をまとめてご紹介します!

対策編はこちら👇

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