【連作詩・Butterfly】 オーガズム
Butterfly をキーワードに詩を連作しました。
今回はその1作目です。
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「オーガズム ———— Your Butterfly」
一夏を 光線の十指に触れさせなかった肌
雪片の翅の六枚で 降っておいでよ
陽に灼けた 褐色の凹凸に
あたっている 凸
うけとめている 凹
こすれあって 凸凹
滴るのは 樹液
てのひらの 凹
まっていた 凸
堅く結んで 凸凹
眸まで 樹液
ふたりの色で 蝶結び
ひかがみまで陽に灼けた ぼくの脚
スプリンターだった 二本の鋼
折りたたんでみれば
蝶の翅
底なしのきみに向って 羽搏いていく
齧りつくきみに向って 千切れている
日輪の蕚に触れさせなかった あの夏の きみ
昨日の言葉に疲れたその眼を あげて 雲の先
探している
まだ逢っていない ( )を 未来に
雲に飛び込みたくてレーンを蹴る あの夏の ぼく
重心かしげるカーブ ぼくと影との鋭角交差
知っている
影はぼくを 羽交い絞めしてくれない
まっていた 凹
さがしていた 凸
よくしなる 凸
恐いものなし 凹
ふたりもつれて 蝶結び
きみの背中の雪原を 罠に嵌め
羽搏くのは スプリンターの脚だった蝶
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2作目はこちら
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