近未来思索小説『2045/65』
これは現在執筆中の長編小説のタイトルです。
この作品をどんな形で公表するかはまだ決めていません(自作の価値は分かっているので無料公開はしません)。既に第一稿は全体の約3分の1を書き終えています。9月中には完成するのではないかと予想しています。
この作品では、今の日本社会の矛盾が極限まで行ってしまった社会の状態がかなりリアルに描かれます。
教育制度の矛盾、学歴社会、能力主義の「専制」、メディアの劣化、政治の劣化などが背景にありますが、具体的な組織や個人の批判は一切行いません。分かる人には連想で分かるといった程度です。
以下、簡単に構成と登場人物を紹介します。
構成
第一部(2045~46年)
1. お洒落な出会い
2. スパルタン・クラブ
3. マッチしない未来
4. トキメキ・タウン
5. 反能力主義者たち
6. 崇高な使命
第二部(2065~66年?)
1.イベントに行こう
2.エリートの不可解なココロ
3.ありふれた終末
4.力が物を言う時代
5.金もまだ物を言う
6.暴動
エピローグ
主な登場人物
シシジマカズト、獅子島数人(29、49)・・・・プログラマー。汎用AIの開発を進める大企業の社員。アッパーミドル層になれて結婚までできたことは幸運と努力の結果だと考えている。
イルマレイ、入間零(26、46)・・・・数人の妻。知性はあるがどこか天然ボケしている。政府系マッチングアプリ〈みらい〉で数人と出会い、結婚後は専業主婦として政府系スマートシティ〈トキメキ・タウン〉に住む。
モエ、萌(26、46)・・・零の高校時代からの親友。一流大学卒の零に対してコンプレックスを感じている。彼女の結婚や〈トキメキ・タウン〉への引っ越しという「成功」を見て〈みらい〉を使い始める。
トキオ、渡辺時夫(27、47)・・・萌の幼馴染。高校3年の時に起業家の父親が病死するまでは実家が裕福で、萌と同じアッパーミドルの家庭環境だった。母親の持病もあることから、高校卒業後は大学進学を諦めて就職するが、その会社が5年で倒産、無職に。自宅のガレージを改造して家電中心のリサイクルショップを細々と営んでいる。
コジマユキオ、小島由紀夫(44、64)・・・若いころは環境問題やエネルギー、格差拡大に対する問題意識が高かったゼロ世代の理想主義的活動家だったが、どの問題も悪化させる政府の欺瞞や民衆の愚鈍さに愛想をつかした。奨学金という名の借金を背負わされながら通った大学を卒業後、大松栄史の講演会に行き、彼に心酔する。その後、大松が〈反能力主義研究会〉を立ち上げるとそれに参加、運動に身を投じた。無料会員制スポーツクラブ「スパルタン・クラブ」も主宰。
ハクスリタロウ、拍数理太郎(27、47)・・・SF作家。20代半ばでデビューした当時は〈ポスト・アポカリプス文学〉の旗手だった。〈トキメキ・タウン〉に妻と共に移住。のちにユートピアSFに転向した。
オオマツエイジ、大松栄史(55、75)・・・〈反能力主義研究会〉の創立者。東北の比較的裕福な実業家の家に生まれる。東京の超有名大学に進学するが、在学中に東日本大震災で両親を亡くし、亡父の負債を背負って中退。アメリカで生まれた反能力主義思想に共鳴し、独自のエコロジー的・平等主義的な思想を構築して〈研究会〉を創立、善意の指導者となっている。
ハヤト、隼人(19)・・・・2046年生まれ。数人と零の長男。第二部で登場。
ノボル、昇(19)・・・・アフリカ系移民の血が混じっている。高校1年の時、〈ポスト・アポカリプス〉イベントで隼人と出会って友人となった。第二部で登場。
ジョセフ・コールバーグ(45)・・・『22世紀のソーニャ』で言及されたユダヤ系アメリカ人学者。休暇で「安い」日本を訪れるついでに、以前から気になっていた『能力主義からの解放』の著者、大松と面会することを思い立つ。第二部で登場。