先生と僕らをつないだ『ラデツキー行進曲』
『ラデツキー行進曲』
ヨハン・シュトラウス 作曲
きっとクラシック音楽に興味が全くない人でも、一度は耳にしたことがあるはず。クラシック音楽には珍しく、手拍子で観客も一緒に楽しめるのが魅力であり、有名たる所以なんじゃないかなと思っています。
僕がこの曲を初めて聴いたのは小学校2年生の時。担任のかきぬま先生が、みんなに聴かせたいものがあると言って、唐突に聴かせてくれたのを15年たった今でもはっきり覚えています。
そして、動画を見て貰えばわかるように、実際にコンサートでする手拍子を教えてくれました。そして週に一回は、この曲がかかるたび、僕たちのクラスは手拍子をして楽しんでいた気がします。
上の動画にあるような雰囲気を、コンサートホールよりも小さいあの教室でつくり出していたのです。
先生は指揮者、僕らは観客です。
僕らのクラスはラデツキー行進曲でひとつになったのです。
当時は、「なんでこのクラスだけ変なことをやっているんだろう?」と思っていましたが、今ならその理由がなんとなくわかります。
かきぬま先生は、当時50くらいのおじさん先生でした。
ひげはいつも剃ってから2日目みたいな感じで、髪は無造作。
紫のブルゾンをいつも着ていました。
そして、まともな授業をしていた記憶がありません。ずっと関係ない話をし、気づけば先生の一発ギャグ大会になっていたり。ちゃんと教わったものは”九九”と漢字くらいです。(たぶん他のこともちゃんと教わっているんだろうけど、先生がふざけていた記憶しかない。まじで。)
しまいには”帰りの会”が始まる時間に教室に現れず、20〜30分くらい待たされることもありました。他クラスはもうとっくに帰っているのに僕らのクラスだけ帰れない、なんてことも。
いま思えば、先生が生徒ほったらかしてて遅れるなんて大問題ですね笑。
でも、めちゃくちゃ楽しくてずっと笑っていた記憶があります。
「ラデツキー行進曲」をふと耳にするたび、
ぼくはあのクラスのことを、かきぬま先生のことを思い出すのです。