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優しくって少し ばか
2025/01/30 たぶん晴れ
外の天気すら知ることが出来ない程、忙しく過ごしていた。積読の山が、都市開発の煽りを受け、物の見事にさら地と化している。しょうがないので、墓地のような本棚を、墓荒らしよろしく漁っていく。
漁っていると、「読書を好きにさせてくれた本」を見つける。その本との出会いは、中学生の頃に通っていた学習塾。授業を待つ間手持無沙汰になり、本棚をボーッと眺めていた時、ある本の背表紙に目が行った。
「優しくって少し ばか」
内容は、どこにでも転がっている日常の一幕。発熱で寝込んでいる男女が、一つのベッドで横になっている昼下がりに、男が女に対して抱いているアレやコレについてつらつらと書かれている。
それまでドラマで見た恋愛では、相手の凛々しさや美しさに惹かれているものばかりだったけれど、この本で男は、
汗ばんで少し臭う彼女の髪を愛おしく思っていたり、彼女の「がさつさ」に心の中で不満を漏らしていたり、相手には言えない嫉妬をしていたり、、、
当時、まだ恋愛を「見た」ことしかなかったにも関わらず、恋愛を実際の経験として味わったような不思議な体験をした。
まさに、お手本のような読書体験。
過ちに対して寛容であることは、素敵なことだ。
時が経っても、自分の感性があまり変わっていないことを実感する。
明日は久しぶりに外に出て、ささやかなご褒美として、自分を本屋に連れて行ってあげようと思う。