激動の1年、oViceの組織づくりを全公開。「個への依存体制」からの脱却とこれからの展望。
Intro
はじめまして! oVice 人事責任者の宮代です。
先日、8月30日のリリースの通り、シリーズBラウンドで45億円の資金調達を実施しました。資金調達に込めた想いや詳しい戦略は、CEOジョンがnoteに記載をしていますので、是非ご覧ください!
本ラウンドの調達を糧にし、今後oViceは以下4点に注力することで「バーチャルスペース市場における、グローバルNo.1プラットフォーマー」を目指します。
ハイブリッドワーク(オンライン/オフライン)対応
プロダクト体験の更なる強化
oViceをプラットフォームとした、エコシステム作り
国内市場の最適化、グローバルチームの拡張
本noteの執筆にあたって、シリーズA〜Bラウンドの間で実践してきたoViceの組織づくりについて振りかえってみました。
「急拡大フェーズの組織に必要なこと」「CXOレイヤーの採用のポイント」「今取り組んでいる挑戦」「人事責任者としての心境変化」をまとめています。組織づくりに関わる全てのビジネスパーソンの方にとって、自組織に活かせるものをお届けできたらと願っています。
激動の1年を全公開。組織規模50名→100名体制へ
oViceがシリーズAにて総額18億円のリリースを出したのは1年前。それから今回の調達までの間、主にHRが注力していたことは以下の3点です。
CXOレイヤーの採用と、再現性ある採用体制の構築
最短×持続可能な成長を実現する組織への転換
HRチームの組織化
oViceが挑むバーチャルオフィス市場の特性(時間的な制約/グローバルプレイヤーの存在)も相まり、上記を実行することは不可欠でした。ひとつずつ、当時の状況も踏まえながらお話したいと思います。
①CXOレイヤーの採用と、再現性ある採用体制の構築
1年前のoViceが抱えていた明確な課題。それは、シニアリティのあるCXOリーダー層の不在です。機能単位のリーダーシップ層も不足していたため、戦略の策定・意思決定の多くがジョンに依存しており、組織のスケーラビリティが望めない体制でした。
そこで昨年末から本格的にCXOレイヤー(HR、プロダクト、ファイナンス、COO)の採用に注力。これは、非常にハードな採用プロセスでした。グローバル展開を見据えて採用する必要があったので、自ずと要件ハードルは高くなります。
SaaSビジネスに精通しており、PLG/SLGのモデルを作ることができ
日本のマーケットに詳しく、エクスパンションの戦略を描くことができ、
日本語、英語をビジネスレベル以上で話すことができ
グローバルでのビジネス拡大経験がある、エグゼクティブレイヤー層
いわゆるパープルユニコーンです。
「いんのか、そんな人(笑)」。というのが、当時の私の偽らざる本音でした。
しかし、そうした人材を採用しなければ事業が伸びないことは明らかです。必死に突破口を探し続けました。
結果からいうと以下のメンバーを採用することができました。まだ完全な体制が整ったとは言えませんが、日本の事業を伸ばし、グローバル展開をする上で不可欠なポジションを埋めることはできたかと思います。
【COO】元Asana Japan代表取締役のJimさん(田村元)
【CHRO】元IBMグローバル人事責任者のミーガンさん(Megan Reed)
【JPN Revenue 責任者】元マネーフォワード ビジネスカンパニー執行役員の福原さん(福原岳史)
【JPN CX 責任者】元マネーフォワードビジネスカンパニー COO室 室長 高橋さん (高橋 陽一)
ミーガンさん、高橋さん以外は入社エントリーのリンクを貼っておいたのでご覧ください!
この採用プロセスが一定の成果を出せた要因は2つあります。
1つは、「妥協せずに探し続けたこと」です。当たり前に聞こえるかもしれませんが、何よりも重要なことだったと思います。いつまでに採用するという期限があると、どうしても妥協した意思決定をしてしまいそうになります。
しかし、今回のリクルーティングは「今後数年間のoViceの浮沈を決定づける採用」だと捉えていたので、どんなにギリギリになっても、責められても、見つけきる。と腹を括って取り組みました。
もう1つの成功要因は「経営陣を巻き込んだこと」です。これまで、部門長レイヤーやリーダークラスの採用はHRチーム内でなんとか対応していました。しかし、CXOレイヤーの採用を始めてすぐに「自分たちだけではできない」と気づきました。
そこで、CEOのジョンに対して、採用を優先順位トップに置いてもらうよう打診。採用要件を明確にしてJD(職務記述書)をつくりこみ、「こういう人が必要だ」と訴え続けました。最終的には完全フルコミットを引き出すことができました。経営陣と部門長を巻き込み、基準を一切下げずに取り組めたことが、この1年間の採用成果につながりました。
今回のリクルーティングプロセスを振り返ると「個の依存体制からの脱却」というテーマが思い浮かびます。自分だけではできないことをきちんと周囲に伝え、チームとして実現していくことで、「再現性のある採用体制を構築する」ことがスケーラブルな体制を構築する上で不可欠だったのです。
こう書くと、綺麗に聞こえますが、「自分だけでは無理だ」と認識し、CEOジョンに率直に「自分では、CXO採用をリードすることができないので、一緒にやってください」と伝えたのが転機でした。
②最短×持続可能な成長を実現する組織への転換
この「個の依存体制からの脱却」というテーマは、CXO採用のみならずoVice全体の組織戦略にも当てはまるものです。
これまでのoViceは、個人が猛烈に働くことによって事業を成長させてきました。しかし、コロナの影響がひと段落したという外部環境の変化、人数が増えたことによるコミュニケーションコストの増加などを背景に、持続可能な成長を実現するためには「チームでのスループットを高める」ことが求められるようになりました。
そこで、HR本部では以下を企画し、実装し始めています。
OKRの導入。明確な部署・個人の目標設定
Role&Responsibilityの明確化
情報伝達(MTG・レポート方法・Sync方法)の明確化
目標設計に準ずる、評価制度の導入
ミッション、バリュー、カルチャー浸透の強化
業務オペレーションの最適化
多様性のある人材の採用・リテンション実現のためのオンボーディングシステム作り
個別最適・部門最適な考え方から脱するためにミッションからOKRを設定し、各部署、各個人の目標を紐付けます。目標達成にコミットしやすいようバリュー・カルチャーといった土台を整え、さらに成果を出した人に報いることができる適切な評価制度を設計。最後に、日々の業務オペレーションにおける情報共有方法のモデルチェンジ。(ex. 全体最適を実現するため、Notionでのタスク管理をStopし、Asanaなどのコラボレーションツールの導入を進めています)
組織づくりに携わったことがある方なら、評価制度を入れることの難しさがわかると思います。評価をする側、される側のどちらからも「リソースを奪うこと」になります。全体の成果に結びつかなければただのコストになってしまう。
それでも評価制度を導入しようとしている理由は2つあります。
1つは、人は他人から評価されてはじめて、現在地やあるべき姿を捉えられると思うからです。他者との健全な比較によって、個人の強み・修正点を認識し、事業成長に繋げていってほしいと願っています。
もう1つは、「oViceで活躍できる=どこに行っても活躍できる」という状態を作るためです。自分がどのくらいの市場価値なのかを認識した上で、oVice内だけじゃなく、社会で通用する力を身につけられるといいなと思っています。そのため、評価項目自体を、市場に合わせた基準×ロールに合わせた自社基準で設計しようとしています。
今後どこかのタイミングでoVice社の評価制度についてもご紹介できればと思います。
③HRチームの組織化
上で話したような組織の変化に対応するため、HRチーム自体のミッションも変わっていきました。リクルーティングに90%のリソースを割いていたところから、より組織全体のクロスファンクショナルな動きを強化するため、今ある「Recruting 」部門に追加して、「Employee Experience」「HR OPS」部門の立ち上げをし始めています。
HRで向き合うべき大イシューが「いかに早く、自社に合う人を見つけ、活躍いただくか?」から「いかに既存メンバーのパフォーマンスを最大化させつつ、専門性を持った人材の採用ができるか?」へと変化しました。それで、業務オペレーションの改善を含めた組織化を進めているわけです。
また、新規メンバーの採用も止めるわけにはいきません。もっといえば、専門性を持った人材を採用していく必要があり、難易度は上がっています。
年間100人単位を採用するようになった際、問題となるのは「カルチャーの希薄化」です。創業期に入社したメンバーは、スタートアップのリスクも飲み込んで入社を選んだメンバーなので、自ずとカルチャーが強く保たれていました。
どのようにすれば「カルチャーの濃度を維持・強化しながら、専門性を持った人材を増やしていけるか」がこれからの課題です。採用の仕組み化の必要性をひしひしと感じます。
現在、各部門毎にリクルーターを配置しています。彼らが基準を保ちながら採用に向き合えるように、データドリブン・イシュードリブンで課題の抽出、打ち手の実施、振り返りができる仕組みを作ろうと思っています。
また、会社全体と部門ごとのカルチャー・バリューを高い解像度で取り扱える人を増やすため、一定のリクルーター教育も必要です。先日入社したミーガンさんが、まさにこの辺りを進めてくださいます。
自分が「個からの脱却」することが、組織変革のドライバーに
少々長くなってしまいましたが、この1年で私がHR責任者として向き合ってきたこと、現在進行で向き合っていることをまとめてみました。同じステージのスタートアップで働くみなさんにとって馴染みのある課題もあったかと思います。私たちの探求が何かしらの気づきや学びになっていたら嬉しいです。
最後に、この1年を通して起きた私自身の変化についても振り返りたいと思います。
先ほども少し書きましたが、CXOレイヤーの採用がなかなかうまくいかなかった際、何かを変えなければいけないと考えるようになりました。そして辿り着いたのは「自分でやりたい」という考えがボトルネックになっていたこと。これまでの成功体験が邪魔をしていたことに気づきました。
oViceで挑戦していることはひとりで担えるようなことじゃない。自分が成果をあげるかどうかなんてどうでもいいじゃないか。仲間と一緒に、ひとりではできないことを達成したほうがシンプルに嬉しいはずだ。
そう心から思えたとき、私の働き方は激変し、上手くいっていなかった採用は動き始めました。今では組織戦略の設計やストラクチャー作りにはコミットするものの、各プロジェクトの進行は他メンバーにお任せしています。そちらの方が全体のパフォーマンスが高いのは明らかです。
まずはHR責任者である自分が「個への依存から脱却」すること。それが、全体最適な考え方をもった組織に変化していくためのドライバーだったのです。
私たちoViceは、これからも高い目標を持って挑戦し続けます。自分たちだけで挑戦するのではなく、ミッションに共感してくださる多くの方々の力を借りながら、一緒に新しい働き方を作っていきたいです。oViceに興味を持ってくださった方は、ぜひお気軽にコンタクトをください。お話しできるのを楽しみにしています!
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