無垢性の探求
「無垢」とは、僕たちの中にある未開の領域だ。白無垢が象徴する純粋性や清廉さは、その言葉の一端でしかない。本当に面白いのは、無垢が持つ二面性、矛盾、そしてそれを観る者とのギャップの中に生まれるズレだ。
動き続ける無垢、矛盾に満ちた無垢、そして黒無垢——それらはただ「綺麗」で終わらない。むしろ、不安定で、未完成で、その曖昧さが無垢の本質に迫る。
「無垢」を題材にした作品群を通じて、純粋性の可能性と限界、その背後に潜む遊び心を探求する。これは答えではなく、もっといい問いを見つけるための道具だ。
こちらが、無垢という概念を抽象的に表現した作品です。中心にある輝く球体が無垢の本質を象徴し、その周囲を漂う微細で儚いパターンが触れられず、汚れのない状態を表現しています。ミニマリズムを基調としながらも、光と空間の対比で静かな緊張感を作り出しました。
時間と無垢の関係を抽象的に描いた作品です。中心の淡い輝きが無垢を暗示しつつ、周囲の柔らかく流れるような形状が時間の曖昧さを象徴しています。全体的に控えめで解釈の余地を持たせることで、見る者がそれぞれの感覚で感じ取れるような表現を目指しました。
さらに抽象化した「無垢性と孤独」を表現した作品です。形状やシンボル性を極力排し、ほのかに感じられる光や質感の変化によって、孤独と調和の微妙なバランスを表現しています。ほとんど見えない中心の存在感が、静かな孤独を象徴するようにデザインされています。
こちらが、シンボリックな要素を極力排除し、無垢性の自己矛盾をさらに抽象的に表現した作品です。形状や構図は曖昧で、光と質感がわずかに変化することで、観る者に解釈の余地を与えるよう設計されています。全体的な静けさの中に微かな緊張感を込め、純粋性と矛盾の関係性を探求しました。
こちらが「黒無垢」をテーマにした作品です。無限に広がる黒の中に、微細な層やテクスチャを加えることで、黒そのものが無垢の本質を内包しているような表現を目指しました。静けさと緊張感が共存し、見る者に多様な解釈を促す空間となっています。
無垢は、固定された概念ではなく、見る者の認識や解釈の中で形を変えるフレームワークだ。それを純粋な白に限定してしまうのはもったいない。黒無垢のように矛盾を孕み、孤独や緊張感を内包する無垢は、その先にある未知の領域を示唆する。
大事なのは、「無垢とはこうだ」と定義することではなく、その余白に遊び、ズレに身を任せることだ。無垢が「綺麗なもの」から「問いかけるもの」へ変わる瞬間、世界はもっと楽しくなる。