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学生時代に創業した株式会社cocoが9期目を迎えたので、これまでの振り返りとこれからの意気込みを書きました

この記事公開の1/25日の2日前になってしまいますが、2021年1月23日をもって、株式会社cocoは無事に8期目を終え、9期目を迎えることができました。

「後2年で10年になるのか!」という単純な驚きと、「よくここまで続けてこれたもんだなー」という自画自賛の気持ちと、「8年もかかってようやくこれか」という軽い自己嫌悪の気持ちと、様々な感情がこみ上げてきて一言では何とも言えないのが9期目を迎えた今の正直な感想です。

ただとにもかくにも、いつもお世話になっている皆様の存在や、未だに挑戦が許されていることに、感謝の気持ちでいっぱいです。いつも本当にありがとうございます。(気持ちだけでなく早く具体的な何かで示さなければと、年々焦りが強くなるばかりで何も出来ず申し訳ないです。。)

今回ですが、節目の良い機会なので、最近初めてお世話になった方への自己紹介と、普段お世話になりながらもあまり詳細を話せていない方への近況や今後の会社の方向性のご報告のため、今までの振り返りと会社の今後のことを書いていこうと思います。

創業前、起業のきっかけとか

創業自体は大学4年目の後半になるのですが、起業を意識し始めたのは大学3年目の2011年ころで、更にそのきっかけを深ぼると話は大学入学直後の所属サークル選びまで遡ります。

実は大学入学前までは物理学の研究者を目指していたのであまりビジネスやIT起業に興味はなかったのですが、同時に「田舎育ちの何も知らない自分の興味」を基準に進路を決めることに違和感も感じていました。

そこで、自分の知識や経験の幅を広げるために、とりあえずでそれまで触れたことのなかった”海外の何か”に関われそうな学生団体に所属したのですが、結果としてその団体での体験が起業への意欲に大きな影響を及ぼすことになりました。

具体的な流れとしては、

1. その学生団体の活動を通して「自分で新しいことを考えて実践する」ことが自分は好きなんだなと気づく

2. 丁度その頃がスマホの流行り始めの年で、自分でスマホアプリを作りたくなってプログラミングの勉強を始めたところ、それが楽しくて続いてしまう

3. 結果としてそのままプロダクトっぽいものが出来上がり、それに全力で取り組みたくなる

というのが起業の流れでした。当時は考えてそうしたというよりもノリと勢いが大半でしたが、結局どんなに辛くても大変でも今も会社を続けられているので、この判断は正解だったなと強く確信しています。

何もできなかった1~3期

そんなこんなで、気付いたらベンチャー起業プログラムに応募したり、会社を登記していたのですが、実は大学を飛び出してまで作った最初のアプリは、まともにローンチすらできませんでした。

ビジネス以前の問題がたくさんあったし、無残な失敗というよりも、何もできなかった、というのが正直なところです。

更に当時、近況報告がてらそのことをブログに書いてFacebookに投稿したところ、びっくりするくらい拡散されて、瞬く間にプチ炎上状態になってしまいました。

今となっては懐かしい思い出ですが、当時は一時的に完全に自信を失いました。さすがにいきなり起業とか無理だったな、、なんて思ったり、人生初の、挫折の感覚を味わいました。

修行の4~5期目

勿論今も修行中みたいなものだし、1~3期目も、その前も今思えば修行だったのですが、特にこの頃はようやく自分のダメさを素直に認められて、意識的に修行と割り切って物事に取り組んだ時期でした。

自分のやりたいことではなく、自分が他者に貢献・提供できることは何か、足りないこととか変えないといけないことは何か、ということに、出来ることの小ささと至らなさの大きさに絶望しながらも、正面から向き合うことが出来始めました。

意識的に「これは修行だ」と自分に言い聞かせて、できることは全部やってました。もちろんその中でも様々な素敵な方との出会いや色々教えてくれる人もいて、それはそれで楽しく充実していた時間でもありました。ダメな自分に向き合う辛さと、新たな挑戦の楽しさの両方を味わいながら何とか進み、今の自分の物事の考え方とかが確立されていきました。

↑2年前にこの頃を詳細に振り返ったブログ記事もあるので、もしよろしければ御覧ください。

今のcocoを始めた6期目~

当時2017年となったこの頃から、様々な受託開発などのお仕事などを通じて、改めて自信がついてきた感覚がありました。この年の中盤で、現在の店舗向けSaaSである「coco」を着想し、プロトタイプの開発を開始しました。

そのアイディア自体は、Code Republic という投資プログラムに採択いただいたことをきっかけに、投資家の方のアドバイスを基に考えました。

↑立ち上げ当初特にお世話になったCode Republicのバタラさんとのインタビュー記事で、バタラさんがメンターとしての印象をお話してくれています。

「この事業がとにかくやりたい!」というよりも、「何でもいいから大きな挑戦ができそうな事業をやりたい!」という、手段と目的が逆転したような流れで着想しましたが、「自分が応援したい人に向けた事業にする」「数ヶ月でマネタイズ出来る」だけを最低限の軸としてあらゆる事業機会を検討した結果、「Googleマップの口コミ集めサービス」からのスタートになりました。

あとは、コレは今改めて振り返ると繋がっていたのかもな、というくらいのものですが、日銭稼ぎでAirBnBを運営していたときに、口コミのインパクトを身を以て体験していました。だからこそ、Googleマップの口コミもまた集客インパクトがあることを直感的に理解できたのかもしれません。

結果として、今は市場の規模もあり、自分の個人的な価値観とも非常によくマッチしたとてもやりがいのある事業になっているので、なかなか良い判断軸だったなーなんて思っています。

最初は実績を作るために、行きつけの整体師さんや美容室に強引に頼み込んで無料でツールを使ってもらい、あらゆるサポートを行いどうにかこうにか実績を積み上げていきました。

立ち上げ当時は渋谷の飛び込めそうなお店には目につく限り飛び込んでみたり、電話をかけまくって怒られたり、自分でやっていても本当にこれで大丈夫なのかな?と不安になったりもしていました。

もともとのつながりが合ったわけでもない、初めての商売だけのつながりとなるお客様ができたのが着想の3ヶ月後だったのでした。そのお客様から最初の1万円をお支払いいただけたときの感動は、今でも忘れることができません。

約3000店舗の登録を獲得

最初は1人で作り1人で売っていたcocoでしたが、今となっては何人もの心強い仲間にも恵まれ、事業の方もサービス登録数だけで言ってしまえば累計3000店舗近くにもなっています。上場企業のお客様や、地域でダントツの実力を誇る有名店、ユニークなサービスを売る個人店など様々な魅力をもったお客様に囲まれ、難しいながらも充実した挑戦の日々を過ごさせてもらっています。

勿論まだまだとても小さい存在ですが、立ち上げ当初と比べてみると随分と名前を知ってもらっていたり、飛び込み営業を辞められるくらいには商品を売りやすくなってきました。(それでもまだまだめちゃくちゃ大変ですが!笑)

立ち上げ当初は店舗サービス市場のことも、SaaSの事も全然わからず、本当に何もかも手探りでしたが、あらゆる試行錯誤を繰り返す中でわかってきたことも幾つかあり、年々、事業に対する自信や確信が強くなってきています。

今後について

ようやくここから、会社やサービス、市場の未来の話に移ります。

あらゆるサービスが顧客体験を中心に再設計される未来

これはcocoが対象とする店舗サービス業に限った話ではないですが、これからあらゆる事業・サービスが顧客体験を中心に再設計されていく、と考えています。

より正確には、現実には「企業が組織的に顧客体験を追求していくことが難しい」という課題が存在し、その課題がテクノロジーによって解決されていく、という意味合いになります。

例えば、具体的で少し極端な例になってしまいますが、自動車の修理店などでは、修理のミスや、説明に不十分があると、すぐにGoogleマップの口コミで晒されることになります。(勿論誰にでもミスはあり、多くの人はそれも理解してくれますが、やっぱり悪い体験としての印象は残ってしまいます)

今までであればそれらの悪い体験は多少は放置し、その改善の労力を広告などに割いたほうが企業の利益が(少なくとも短期的には)高まっていた可能性もありますが、テクノロジーの発達で年々それが難しくなっています。

更に、逆に優れた顧客体験もまたGoogleマップを通じて直接伝えられ、その口コミは集客に好影響を及ぼすため、企業としても顧客体験に向き合うことがようやく合理的な判断と見做されるようになってきました。

つまり、テクノロジーの力によって「企業が組織的に顧客体験を追求していくことが合理的な状態」が実現されています。(勿論口コミに関しても様々な課題がありますが、Googleはそれもまた着実にテクノロジーの力で解決してきています)

Googleマップはそのテクノロジーの一例でしかなく、他にもサブスクやスマホアプリなど様々なものがありますが、当たり前のようで当たり前にできていなかった「顧客体験を中心としたサービス・ビジネスモデル設計」が、テクノロジーの力でようやく可能となりつつあります。

そうなれば当然消費者は顧客体験が良いサービスを選ぶため、それらのサービスが、そうではないサービスを駆逐していくことになることは自明だと考えられます。

圧倒的な顧客体験が求められる店舗サービス

以前、こんな記事を書きました。ざっくり説明すると「店舗は最高の体験を提供する場としての役割が年々強くなっている」という内容になります。

顧客体験の重要な指標の一つとなるNPSを図ると、実は店舗型サービスのNPSはその平均値が異常に高いことがわかります。

オンラインサービスや非対面の保険や消費財などを見ると、基本的にはマイナスであることが一般的なのがNPSで、実際にその数値に向き合ってサービス提供している人は「-10でも悪くない」ということは感覚的にも理解できると思います。

そんな中で、店舗でサービスを受けた顧客にNPSをとると、30~50を当たり前に記録します。最初この数値を見たときは、ツールを提供する私自身もかなり驚きました。

しかし、よく考えてみると、店舗は顧客一人一人にカスタマイズした対応を、接客のプロである店員が丁寧に、専用の空間と専用の機器を活用してサービスを提供します。そのため、必然的に体験の質もめちゃくちゃ高まります。

もともと店舗向けのサービスを提供しているくらいには店舗が好きで、ウェブも好きだけどリアルもいいよな〜と思ってはいましたが、これらのデータを見て、「最高の体験を提供する」店舗の役割やその存在意義の考えが、想像から確信に変わりました。

店舗はどんなにテクノロジーが発達した未来でも「最高の体験を追求する場」としてその役割と存在感を大きくし続ける、と今では心のそこから信じています。(より正確には、体験の役割を捨てた"倉庫"のような物流拠点としての店舗を対局の存在として、2極化すると考えています)

実際、例えばカフェや遊具を併設したカーディーラーなど、体験のリッチさを更に追求するような事例が数多く生まれてきています。店舗はこれからも発達をとげ、ドローンや自動運転、AIが普及した未来にも数多く残ります。

店舗が抱える矛盾とその難しさ

消費者はより優れた体験を求め、テクノロジーの発達によって企業もまたその要望に応える合理性が強くなりました。さらに、店舗サービスはその体験の質を最大限まで高めるポテンシャルをもっています。

しかし実は多くの店舗はまだそのポテンシャルを最大限まで発揮できていません。なぜかというと、その体験を向上するに当たり、店舗独特の難しさが現実には存在するからです。

例えば、顧客体験を追求する場なのに、実際のところは短期の利益に気を取られすぎて押し売りになってしまう、といった事例は店舗では頻発する事象です。

他にも接客は提供側の心理的・体力的負担が大きく従業員が疲弊しがちだったり、人手によるサービスなので当然ミスや誤解も発生します。今話題のDXをしようにも、柔軟すぎて日々の業務のデジタル化が難しい、という側面もあります。

顧客体験を重視する店舗運営のためのテクノロジーの不在

それらの問題は、決して店舗側の意識が低いからとかそういうことではなく、元凶は実は顧客体験を重視する店舗運営のためのテクノロジーの不在にあります。

例えば店舗では接客店員のモチベーションを高く保つことが非常に重要なのですが、計測可能な店員の評価指標が直近の売上くらいしかないため、インセンティブの設計が売上ベースになります。するとどうしてもあらゆる行動が短期の売上に最適化されてしまいます。

しかしもし、顧客体験の質やリピート意欲がテクノロジーによって正確に計測できれば、店員の評価指標に顧客体験を加えることができるようになるため、店員の行動を顧客体験に最適化することができるようになります。

他にも、適切に店舗運営の中にテクノロジーを挟み込むことでより優れた顧客体験を実現できるポイントは数多く存在しています。

cocoは短期利益志向の店舗運営から、長期利益志向へのシフトを支援

顧客体験を損なうことは、リピート率が下がるため、長期の利益を引き下げます。今までは長期の利益と短期の利益がトレードオフ状態にあり、その両者を追うことが難しい中でどうしてもまずは短期の利益を追わざるを得ないのが実情でした。

しかしもしテクノロジーの力によってその両者を追うことができるのであれば、100社中100社がそうすると思います。つまり、「店舗が長期の売上を追求するためのテクノロジー」へのニーズ(市場)はこれから大きくなり続けます。cocoは、そのニーズに応えるサービスを提供しています。

記事が長くなりすぎてしまうので今回は一部事例を紹介しますが、例えばcocoを導入した太陽自動車さんでは、デジタルアンケートを徹底することで顧客からのクレームを減少させることに成功しました。また、cocoでは同時に口コミ獲得もできるため、集まった口コミは着実に短期の利益増加を促します。

人の魅力を最大限に引き出すためのテクノロジー

なぜcocoを使えばクレームが減るのか。なぜ口コミが改善されるのか。

詳細は企業秘密ですが、ざっくりまとめると、僕たちは日々「人の魅力を最大限引き出すためのテクノロジー」磨き続けていて、その結果として上記のような仕組みを実現しています。

実は、店舗サービスの満足度と高い相関の有る要素はなにか、という調査で、こんなデータがあります。

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引用元:https://www.intage.co.jp/gallery/car-cssurvey/

こちらはカーディーラーの調査になりますが、この調査ではざっくり「顧客満足度向上のために最も重要な要素は接客店員」ということが示されています。

他の業種も含め、店舗の体験の良さを最も強く決定づけるのは、接客店員さんだと考えています。例えば歯医者さんの口コミを見ると、もちろん治療技術に関する口コミもあるのですが、それと同じくらい接客や受付スタッフさんに関する口コミも数多く存在します。

つまり、顧客体験重視の経営を行うために重要なのは接客力を高めることであり、そのためにcocoは人の魅力を引き出すテクノロジーを提供することが重要な役割になります。これは一般的なITサービスがむしろ人を不要にしていくことが多い中で、大きく他と異なっているポイントだと思います。

顧客志向を当たり前に

cocoのホームページでは「良いお店を増やす」「顧客志向を当たり前に」といったワードが、ビジョン・ミッションとして掲げられています。

この言葉は、2019年の後半に行った社内合宿で生まれた言葉なのですが、その当時はどちらかというと「僕らはそういうサービスを提供したいよね」といった提供側のエゴが強く反映された形で設定されていたのが実態でした。

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しかし、そのエゴに従いサービスを提供し、試行錯誤を積み重ねた結果、上述の通り実はそれはcocoを利用する顧客にも求められていた、大きな市場の存在するミッションであることがわかってきました。

最初はその深い意味も考えず、どちらかというと感覚的に「なんかしっくり来るよね」という感じで決めたこのキーワードですが、今となってはcocoの提供するサービスそのものを示す重要なキーワードとなっています。

cocoのミッションは、テクノロジーの力で顧客志向を当たり前にすることです。顧客志向とは「短期の利益を犠牲にせずに、顧客のリピート&リファラルによって長期の利益成長と短期の利益の両者を追求する店舗経営」のあり方のことで、そういった顧客志向の「良いお店」が増えれば、消費者としての我々も大きなメリットを享受することができると考えています。

おわりに

ということで、これから改めて「顧客志向を当たり前に」というミッションを追求し、事業の拡大に努めていきます。日々精一杯取り組んでいるとは言え、まだまだ至らないところばかりでミッションを実現できているかというと、YESと断言するには正直程遠い状態ですが、それでも日々そこに近づいている実感はあります。

店舗サービス業は新型コロナウィルスの影響をもろにうけやすい業界の一つではありますが、それでも緊急事態宣言のような強制力がなければ多くの店舗で(多少の減少等はあれど)客足が途絶えずサービスが続いています。それは、店舗サービスが不要不急な存在ではない何よりの証拠だと考えます。

多くの人がこの不安定な状況に悩みながらあれこれと工夫を積み重ねている中だと思いますが、第9期目もやるべきことをしっかりとこなし、多くの店舗様の発展に貢献できるようがんばります。皆様、引き続き、よろしくお願いいたします!

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