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コーチの社会分析 Note【キャリア・ブレークスルーⅠ(間違いだらけのキャリア教育を解説するシリーズ⑧)】

ここまではアンラーンの3つの段階の二つ。アンラーンとリラーンを解説してきました。いよいよ最終段階のブレークスルーになります。
 
が、ここはのっけから、期待のひっくり返しといきましょう。

☆ブレークスルーはあとからわかる

バリー・オライリーはこう明記しています。

ブレークスルーに挑戦する際は「誰かが」ブレークスルーを達成したやり方を真似るのではない。

前例集や事例集に予算を投入し、学者の皆さんに作らせたそれを後生大事にしている日本の行政組織では、ブレークスルーが起こらないのは必然とすら言えるでしょう。
 
実際かなり前のことですが、長野県における「定住率の低さ」という知事からのお題に対し「つながりの力」による実証を県内の地域おこし協力隊をモデルに試みる。その合意を県としたことがあり、期間も半年前倒しになったので、本来予定していた次年度を加えた1年半を予定していました。が、半年後に年度が替わると、なぜか連絡もなく外されて自然消滅(民間なら契約、コンプライアンスとして問題だと思いますが)した経験があります。
 
どこかしら伝え聞くところによると、当時の事例集で流行りものだった起業型やら課題解決型やらに転換し、しかも担当する後任人選もあまり適材ではなかったとか。現場にいる協力隊達から評価されるようなケース、結果は少なかったようですね(事実、うちに個別で相談に来ているわけだから)。
 
僕の暮らす伊那エリアでは当時、協力隊が100%定住していた日本でも他にないエリアでした。他の地域との違いとなった主要因が、移住者と地元市民における関係性の「質」の違いにあり、そこからの組み立てをしていたわけですが・・。もし、そんなエビデンス✕一次情報によるブレークスルーへの試みよりも、流行の事例集やテーマが優先され、無為に時間を喪失してしまった・ということであれば、まあ残念なこととしか言えません。
  
そして最近。件の長野県サイドでは、なぜか「やはり、つながりだ!」と地域おこし協力隊への方針を転換しているような話も聞きます(「つながり」というワードが国や大学等の資料から出てきていたり、前記の課題解決型の失敗ケースが表面化してきたからとは思いますが・)。紆余曲折、よりよくなる方向へ期待したいところです。
 
が、感情としては、なんかタメ息がでちゃいますね・・。国レベルでもそうなんですが、このアンラーンにもっとも抵抗を示す行政という文化。そこに税という国を支える投資財源があるということ。道のりは遠いが、一歩づつ行くしかありません。
 
実際、ファクトとして人は誰かたった一人でも応援してくれる人がいれば力を出せる生き物ですし、誰かが積み重ねている努力を、結果へと結びつくように支援出来ることは支援する側にも価値のあることです。
 
ただ、このような二次情報の後追いを続けていては、いつまでもブレークスルー出来ない。時間という貴重な機会を逸失しつづける・という学びはまた不可欠です。バリー・オライリーは「本質的なブレークスルーを遂げるのは、アンラーンのサイクルが何にでも適用できるシステムだと気づいたとき」とも明記しています。

ブレークスルーは次のブレークスルー、その次のブレークスルーへとつながっていく。つまり、ブレークスルーもまた目的ではなくプロセスで、アンラーンのサイクルを習慣化し、身に着けていく(当たり前になる)ことがその本質とも言えるでしょうか。失敗そのものが避難されるわけではなく、失敗したというファクトを受容し(痛みを中に受け入れる)、学びへと変えていけるのならば、中長期的視点でのアンラーンとなる成長機会を得た、活かした・となっていきます。
 
なので、いわゆるアンラーンの基本の考え方、出発点が守られなければ、ブレークスルーに至ることはありません。先の例であれば、学びがなく、いつまでも数年前という過去の事例集を頼りにしているうちは、ブレークスルーは、いつまでも起こらないということです。

☆キャリア教育に問われる「破壊」

この数十年。日本では学歴=キャリア=年収=地位というイメージにもなり「大学で人生が決まる」かのような風潮にすらなっていました。加えて、経済成長がずっと停滞してきたことから教育にお金をかえられる世帯とそうではない世帯に格差が生まれ、政治家、官僚、医師、法曹関係等の多くのカテゴリーが世襲型になってきています。
 
その結果、受験戦争でAランク大学に入れなかった。その一瞬で人生負け組になったと自らレッテルを貼ってしまった大人達が毎年量産され、その大人たちの後悔という感情がその子供達にぶつけられている。そんな現在地の一面もあります。

*実際は、東京大学卒でリンクのランキングに入っているのは卒業一人、中退一人、海外経由一人という感じで、この頃の東京大学が起業や経営者を育むのに傑出していた・とはいえません。キャリア公務員などから受ける既得権イメージがTVメディア等により肥大化していったのでしょう。
 
ですので、こうした考え方にまで刺さっている根底を破壊する。それがキャリアにおけるアンラーンで、支援者の仕事でもあると僕は考えています。
 
それは決してこうしたエスカレーター式の守られたキャリアを全否定するものではありませんが、エスカレーターから降りてもエレベーターを作れたり、階段を仲間と一歩一歩上がっていくキャリアもあって、それが一つ一つ尊いということ受容し、共に築いていけるかということ。
 
何よりも、自分自身にとって「幸せであるか?」というモノサシによって選択されていること。そんな支援を覚悟と勇気をもって行えるかということだと思います。
 
 
ということで字数も重なってきました。次回へ向かいます!
では!

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