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脳が引き起こす犯罪―反社会的行動の裏にある脳の秘密
反社会的行動を引き起こす原因として、脳にはどのような異常があるのでしょうか。
特に反社会性パーソナリティ障害(ASPD)と診断された人々の脳では、特定領域の異常が見られることが知られています。
これらの脳機能の異常が、どのように犯罪行動と結びついているのか、最新の脳科学の視点から探ります。
前頭前野の異常が引き起こす行動制御の破綻
前頭前野は、意思決定や衝動の抑制を司る脳の領域で、私たちの「行動を制御するブレーキ」として機能します。
しかし、この部分に異常が生じると、衝動的な行動やリスクを無視した判断をしやすくなります。
反社会性パーソナリティ障害(ASPD)を持つ人々には、前頭前野の機能低下が見られることが多いのです。
*前頭前野は、脳の前部に位置し、社会的判断や計画、感情のコントロールに関与する領域です。
この部分が損傷すると、倫理的な判断や衝動の抑制が困難になることがあります。
ある研究によると、凶悪犯罪者の約70%に前頭前野の機能低下が確認されています。
【出典: Raine, A. et al. (2000). The biology of violence: Neuroscientific insights into the causes of aggression. Nature Reviews Neuroscience】
この領域が正常に機能しないと、衝動を抑えられず犯罪行動に至ることがあるのです。
ただし、前頭前野の機能異常だけで犯罪行動を完全に説明することはできず、他の要因との複合的な影響が考えられます。
扁桃体の異常が引き起こす共感の欠如
感情の処理を司る扁桃体は、他者に対する共感や恐怖を感じる際に重要な役割を果たします。
しかし、ASPDの患者では、扁桃体の機能が低下していることが多く、これが犯罪行動に結びついていると考えられています。
*扁桃体は、脳の深部に位置し、感情の処理や記憶の形成、特に恐怖や怒りの感情をコントロールする部分です。この領域が正常に働かない場合、感情的な反応が鈍くなることがあります。
Blair (2005) の研究によれば、ASPD患者は扁桃体の機能低下により感情的な反応が鈍く、共感や恐怖心が欠如することが確認されています。
【出典: Blair, R.J.R. (2005). Applying a cognitive neuroscience perspective to the disorder of psychopathy. Development and Psychopathology】
この異常により、他者の痛みや感情を理解することができず、冷酷な行動をとりやすくなるのです。
幼少期の虐待が脳に与える深い影響
幼少期に受けた虐待やネグレクト(育児放棄)は、脳の発達に重大な影響を与え、成人後の行動にも影響を及ぼします。
特に前頭前野や扁桃体の発達が阻害されることで、反社会的行動が引き起こされやすくなります。
*幼少期は脳が急速に発達する時期であり、この時期に受けた外的なストレスや虐待は、脳の構造と機能に長期的な影響を与えることが知られています。
2023年の犯罪統計では、多くの犯罪者が幼少期に虐待や放置を経験しており、その影響が成人後に脳機能の異常として表れるケースが多いことが確認されています。
また不同意性交等の性的暴行が増加している点からも、幼少期のトラウマが犯罪行動に与える影響の大きさが示唆されています 。
衝動制御障害と脳の関連性
犯罪行動に関与するもう一つの重要な要因が衝動制御障害です。
この障害は、前頭前野の一部である眼窩前頭皮質(がんかぜんとうひしつ)と密接に関連しています。
この領域は、意思決定やリスク評価を司り、セロトニンなどの神経伝達物質と強い関わりがあります。
セロトニンの不足は、衝動的で攻撃的な行動を引き起こしやすいことが知られています。
【出典: Linnoila, M., et al. (1989). Impulsivity and serotonergic functioning: Implications for the risk of alcohol-related aggression. Alcohol Health and Research World】
*セロトニンは脳内の神経伝達物質で、感情の安定や衝動の制御に関与しています。セロトニンの分泌が不足すると、感情のコントロールが難しくなり、攻撃的な行動に走る可能性が高まります。
前頭前野とセロトニンの相互作用が正常に働かない場合、衝動を抑えることが難しくなり、反社会的行動を引き起こしやすくなります。
脳スキャンは法廷での決定材料となるか?
技術の進歩により、fMRIやPETスキャンなどの脳画像技術を使用して、犯罪者の脳機能を詳細に解析できるようになっています。
これにより、反社会性パーソナリティ障害(ASPD)患者の前頭前野や扁桃体の異常が、再犯リスクの評価において有用な情報となっています。
*fMRI(機能的磁気共鳴画像法)は、脳内の活動をリアルタイムで可視化できる技術です。PET(ポジトロン断層撮影)は、脳内の代謝活動を調べる技術で、どの部分が活発に働いているかを判断できます。
ただし、脳機能の異常がすべての犯罪行動を説明できるわけではありません。
脳スキャンの結果は補助的な証拠として使用されるべきであり、責任能力の有無を判断する際には、社会的・環境的な要因も慎重に考慮する必要があります。
まとめ
反社会性パーソナリティ障害(ASPD)は、脳の前頭前野や扁桃体の異常が大きく影響し、衝動的な行動や共感の欠如につながっています。
さらに、幼少期の虐待やトラウマが脳の発達に深刻な影響を与え、成人後に反社会的行動が引き起こされるリスクを高めることが明らかになっています。
しかし、脳機能の異常だけが犯罪行動の原因となるわけではなく、環境や社会的要因も大きな役割を果たしています。
これらを総合的に理解し、犯罪の予防と再犯防止に向けた取り組みを進めていくことが重要です。
以下のことは今後できるかもしれないことへの仮説です。
1. 脳機能検査の導入
幼少期に虐待やトラウマを受けた子供に対して、脳機能検査を行い、早期にリスクを特定し、適切な支援を提供すべきです。
2. 教育支援の強化
ASPDのリスクを抱える子供たちに対して、学校や地域社会でのメンタルヘルス教育を強化し、犯罪抑止のための啓発活動を推進すべきです。
3. 再犯防止プログラムの充実
犯罪者に対して、脳機能に基づいた再犯防止プログラムを提供し、社会復帰を支援するためのリハビリテーションを強化することが重要です。
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