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『賢者の贈り物』はいいお話でしたが、

写真は、宮崎市内にあるフランス料理店の裏手からの写真です。屋根から木が突き抜けています。ずっと謎のおうちでした。

1年ぶりに再会できた息子を見送るために空港へ行く途中、人生初のフランス料理を家族でいただこうと思い予約しました。

すでにランチを食べたことのある娘が説明していた場所近辺をぐるぐる回りますが、らしいお店がありません。お店に電話して説明を聞いても何かが食い違います。

実際の場所は北に1キロも離れていて、娘が方向音痴の義母の遺伝子をしっかり受け継いでいることが、またも証明されました。

ようやくお店に着くと、外国の方に案内されました。シェフ直々のお出迎えとは粋なことをと思っておりましたが、ずっと給仕をしているので、尋ねてみましたら、雇われている60歳のスペイン人でした。

スペインと聞くと、以前一緒に遊んでいたスペイン人の女性は、待ち合わせに1時間遅れてきて、

「スペインでは5時間が普通よ」と言ってたのを思い出します。ずっと昼寝してろと思います。

料理はとてもおいしく、スペイン男性の気さくな給仕もいい時間を演出してくれました。

息子を空港で見送っての帰り道、M家の話になりました。

M家のSは、頭も口もキレっキレで、その才能を活かして画期的な農法を伝えています。

大学卒業のときに、博報堂とサントリーを蹴ったやつですから、並大抵の優秀さではございません。自分を試してみたいから受けたそうです。

彼は赤字経営の肥料屋さんを継いだものの、ただの肥料売りにはなりたくないといくことで、立ち上げた有機農業研究会からデータを収集して有効な方法論を導き出しました。

しかも、彼には人の心や動物の心や植物の心がわかるようです。そう本人が言っていました。

しかし、残念なことに、ひとの心の痛みだけは分からないそうで、指導はグサグサ行きます。本人も麻酔せずに歯を抜けるくらい強いやつです。

ただし、その指導法がはまれば、格段に品質のよいおいしい作物の収穫が得られます。

そうして、彼は実績をあげて指導料や講演料などをいただけるようになりました。

ある日、奥さんが帰ると、家に似合わないバカでかいテレビがあったそうです。

定年になった奥さんは、地道に実家の家業を継いで畑を守っています。しかし、Sは手伝おうとしません。正直、奥さんは、口では勝てないSを離れて、ひとりになれる時間を堪能しています。

また数日すると、二人の生活には不必要と思われるバカでかい冷蔵庫があったそうです。奥さんは、

「なんで相談してくれんと?」

とイライラしながら尋ねました。

するとSは、

「自分の金で買うんだから、いいじゃないか」

と言い返したそうで、それで夫婦喧嘩にまでなってしまったそうです。

浅はかなボクが推理しますに、Sは奥さんにほめてもらいたかっただけなんだと思います。

「お父さん、すごいね」って。

男なんてそんなもんです。

でも、ほめてもらうはずが、とんでもない方向に進んでしまったわけで、また素直に、

「ごめんなさい」って言えないところが、心の傷とか痛みがある証明なんですよね。

男と女にありがちなすれ違いで、自分も何度もすねてしまった経験があります。

しかし、賢い二人ですから、S夫婦はとっくに仲直りしていることでしょう。

そうなったら、ただののろけ話を聞かされたことになるわけで、おもしろくも何ともないので、それならいっそのこと奥さんには冷蔵庫に隠れてもらって、

「S、ありがとう!」

とシャンパンぶちまけながら出てきてほしいと思います。

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