【第十一場…力の闘い】
《E氏→格闘シーンが夢にあふれていて、楽しい。子細に描いてある》
『カーン!』
試合開始の合図のゴングが鳴りました。ありがとう星人のおじさんは、わたしを持ったまま闘うようです。
『ドンドンドンドン!』
ゴリラテリアは、ゴリラのように胸をたたきました。オッパイまでが筋肉になっていて、左右別々にピクピク動かすとワーと大歓声が上がります。もうすごい緊張感で、わたしまで汗をかいてしまいそうです。わたしは植木鉢ごとおじさんの頭の上に載せられました。変な図ですが、最初は両手を組み合って力比べです。
「そらーっ!」
思いっきり力を込めて、ゴリラテリアは、ありがとう星人のおじさんの指を曲げてきます。でも、ありがとう星人のおじさんの指は、いくらでも曲がるので痛がりません。次にゴリラテリアは、ありがとう星人のおじさんの頭を抱えて投げようとしました。でも、ありがとう星人のおじさんのクビが伸びてしまって、ゴリラテリアはスッテンコロリン。
「クソー!」
起き上がったゴリラテリアは、パンチを振るってきました。ありがとう星人のおじさんは、それをギリギリでかわします。正面のパンチには顔に穴をあけて通してしまいました。そして、そのまま捕まえてしまいます。あわててゴリラテリアは、腕を抜こうとしますが、抜けません。
「んーー!」
思いっきり腕を抜こうとしていると、おじさんは、パッと放してしまいます。
「うわっ!」
『ドスン! ゴロゴロっ!』
ゴリラテリアは、しりもちをついて転がってしまいました。
「エイッ! エイッ! エイッ!」
次にゴリラテリアは、キックを使ってきました。回転力の速いキックなのですが、ありがとう星人のおじさんは、ニコニコ笑いながらかわしますので、ゴリラテリアは怒って顔が真っ赤っかです。そのうち、ゴリラテリアは目が回ってしまいました。それでもゴリラテリアはただの強者(つわもの)ではありません。ぐっと踏ん張って次の攻撃を仕掛けます。ゴリラテリアの攻撃とありがとう星人のおじさんのディフェンスが続きます。
『ゼイゼイ… ハーハー』
ゴリラテリアの息が荒くなってきました。闘いが始まって三十分がたっています。ゴリラテリアの勝利間違いなしと思っていた観客の人たちは、意外な展開に大喜びです。いつも一方的な試合ばかりで、あっと言う間に終わっていました。
ありがとう星人のおじさんは、肩で息をしているゴリラテリアの後ろに回りました。いよいよ、ありがとう星人のおじさんの攻撃です。まず左腕を伸ばして、ゴリラテリアの腕をしばってしまいました。ゴリラテリアは怪力ですので、おじさんの腕をぶち切ってしまおうとしますが、ゴムみたいにのびますし、何重にもぐるぐる巻くのでとうとう完全に縛られてしまいました。
次に右手の人指し指を伸ばして目隠しして、次に小指をひらべったくして口をふさぎました。膜みたいになった小指がゴリラテリアが息を吐くとふくらみ、吸うとひっこみます。一生懸命ゴリラテリアは、もがきますが、振りほどけません。
『スースー… ススー…』
もはや、ゴリラテリアは鼻でしか息ができませんでした。次に、ありがとう星人のおじさんは中指と薬指をつまようじのように細くしてゴリラテリアの鼻の穴に入れました。すると…
『ハックション! ハックション! ハックション!』
ゴリラテリアのくしゃみです。くしゃみのたびに、口をふさいだ小指が風船のようにふくらみます。もうくしゃみが止まりません。