【第三十六場E…はだかになれた王様3】
ドウダ・マイタカ王が、ゴキゲンなのにはワケがありました。このごろ、とてもよいことがあったのです。妃との結婚は十年をとうに過ぎておりましたが、なかなか跡継ぎが出来ないのが悩みでした。しかし、今年の春に元気な男の子を授かることができたのです。この知らせは、苦しんでいた国民たちをも明るくしました。しかし、マイタカ王はこう命じたのです。
「生まれたツテイ太郎王子のために、城を建設せよ。王子が六つの時に入城させるぞ」
城の建設のためには莫大なお金がかかります。国民たちの顔には以前にも増して暗いかげが見られました。
朝になり、詩人さんとキリット大統領が現れ、さっそく機織りの作業場を造りはじめましたが、それを見た人たちは、あっと驚きました。それもそのはずです。二人は宙に浮いて作業をしていたからです。その話は、当然王様の耳にも届きました。気が気でないマシテヤールカーナ女王は、王様にこう言いました。
「王様、あの二人に元気に働いてほしいので、私の方でご馳走を用意して、届けさせてもよろしいでしょうか」
「それはよい。あの二人にうまいものを食べさせてやってくれ」
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