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断食への愛 from 愛妻

 ファスティングも早4日目。やはり好調で、朝から心は軽いです。午前中にクラブのミーティングをすまし、お昼のジュース用に野菜か果物を買おうと思って道の駅まで出かけました。しかし、台風のせいか塩害のせいか、いいものがありません。不吉な予感がしましたが、ま、気にせずに昨日作ったスープをいただきました。

 てーと、塩害で落ちた落ち葉を掃くのが大変だと外でクレーマーが騒ぎます。いやいや、きのう掃いたのは私で、おとといはお義母さんだったはずです。賽の河原状態だとぬかしますが、やつが掃いたのは、たった1日なんです。

 勝てぬ戦いを私は選びませんでした。黙って道路沿いに生えている楠とフィジョアの木の剪定を始めます。大量の切り枝は、お風呂の薪にするために、家の裏まで運びましたが、ファスティング4日目の体にはこたえます。

 しかし、このクレームは、きっと私の体脂肪を落としてやろうという妻の思いやりなのだと解釈しました。だから、加勢もしないのだと思います。それに、私には心の支えがありました。だって今日は電気圧力鍋が届いたんですもの。これまでのスープと違って栄養たっぷりのはずです。新しもの好きの私の心はついつい弾みます。

 犬の散歩から帰ると、義母が庭で作業をしています。もち米に虫がついたので、取ってくれていました。ちなみに見つけたのは妻です。そういえば散歩に出るとき、台所から外にもち米を出していました。聞けば、今夜は栗ご飯なんだそうです。そう言えば、きのうと今日で、庭の栗の収穫がありました。

 私は家に上がり、冬瓜と豚の軟骨と空芯菜やゴボウやらで、うまいスープを作ろうと思いながら、届いた電気圧力鍋のフタや内ガマを洗っておりました。しかし、どこからか声がします。

「栗ご飯は、どうやって作るの?」

 もちろんレシピのことではありません。妻が尋ねているのは、電気圧力鍋の使い方のことです。いまの調理器は便利にできています。メニューを探すと、栗ご飯の項目がありました。なんと、その数150です。妻は、内ガマに6合ものもち米を入れました。この時、私は悟りました。『この女、電気圧力鍋を洗う気ないな』

 ファスティング中の者にとって、食卓は今日も豪勢に見えます。102歳の伯母は舌鼓を打ちながらも、私が食べないことを寂しがってくれていました。急遽アルミの鍋で作ったスープをすすりながら、家庭っていいなあと、しみじみ思いました。きっと明日の内臓脂肪は、減っているはずです。

 そう言えば、もうひとつ、断食の敵を見つけました。圧力鍋に付いていたレシピ集です。写真が上手だから、どの料理もうまそうに見えて、空腹感を誘います。ご注意ください。

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さいた春介 with ありがとう星人@ whatever happens
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