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地方では「競争」よりも「協力」の方が経済成長も加速する?!のか?

前回の「『つながり』は『愛着』と『煩わしさ』を同時に生成する。」から引き続き、ソーシャルキャピタルの祖、パットナムさんの「孤独なボウリング」より。以下の記述があり、「おぉ!!」となったので書きます。

本書の第4部、第19章「経済的繁栄」のなかに以下の記述があるんです。

経済的アクター間の社会関係資本が全体的な経済成長を生み出しうるという実証的知見が集積されつつある。これは、ある条件下において、経済的アクター間の協力が、自由な市場における競争よりも、成長のためのより良いエンジンになりうるということ。

これってすごいことじゃないですか!
ある一定の条件下においては「競争」よりも「協力」の方が経済も発展するって!ずっと競争しなければと教えられてきたのに。。。

でも地方だと結構実感値としてはあるんですよね、これって。
小さい地域で争ってもしょうがないから一緒に協力して外からお客さん連れてこよう!みたいな。
(だし経済学的な流れで見れば、「新自由主義(ざっくり、政府は介入せぅに自由市場に任せよう!みたいな)」が行き過ぎた結果、いま、ESG投資とかSDGsへの貢献など、より戻しが起きているので、全くもって新しい考え方というわけではないが)

で、本書では具体的に3つの事例がありました。以下、本の内容を意訳してまとめたものです。

① ミシシッピ州トゥーペロ地区という国内最貧州の最貧郡の1つでの取り組み。「経済的発展はコミュニティの発展なしにはあり得ない」という考えのもと、地域内のビジネスリーダーを集め、酪農産業を起こした。階層度の低い社会秩序を作り出すため、既存の階級を作っていた商工会議所を解散し、万人に解放された「コミュニティ開発財団」を設立した。同じ目標を共有できる産業のみを街に参入させた。その後50年、トゥーペロはコミュニティ、経済発展の全国モデルとなった。1年あたり1000の職が増加し、何億ドルもの新規投資を集め、州最良の教育システムを作り出し、失業・貧困率は州平均を大きく下回った。
→成功の基礎にあるのは「市民の個人的利益は、皆が目標を集団的に追求しなければ達成し得ないという認識への、揺らぐことないコミットメントである。」
トゥーペロの住民は社会関係資本―協力と相互信頼のネットワークーに投資しており、具体的な経済的利益を上げている。

なるほど、相互の信頼のネットワークに投資をして協力し合う関係性を構築することで全国的なモデルになったのか。


② カリフォルニア州シリコンバレー。この地区の発展は、創業まもない企業の間で発達した、フォーマル、インフォーマルな協力の水平的ネットワークが多くを負っていた。人材移動の激しい産業においては、キープレイヤーが様々な状況で付き合いを繰り返すため、情報共有をした方が合理性が高い。

なるほど、情報をフラットに交換しあい、人間関係を構築できたことでシリコンバレーは生まれたのか。

③ ボストン郊外のルート128地区では企業間の社会関係資本は育たなかった。ここでは企業ヒエラルキー、秘密主義、自給自足、縄張り意識といった伝統的規範が維持された。
→「地域的ネットワークの上に築かれた産業システムは、実験や学習が個別の企業内に限られているシステムと比べた時よりフレキシブルで、技術的にダイナミックであるということである。」

で、シリコンバレーとほぼ同条件だったこの地区では、伝統的な規範が維持されたこの地区では経済的な発展もしなかったし、シリコンバレーのようにはならなかったと。


このシリコンバレーの話やトゥーペロの話は実は、
SECIモデルというイノベーションのモデルにもなっているものです。

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(出典:「実践ソーシャルイノベーション」より)

つまり暗黙知(経験してわかったこと)を対話し、話し合うことで、
形式知(みんなで共有して、教訓にする)にし、それを元にみんなで行って成果を出していく。というこのモデルを回したのだなぁと。

あとは、組織の成功循環モデル。成果を上げたいなら「関係性」に着目して、そこから改善すること。
などもかなり似通った理論なのだなぁと。

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(出典:ITmedia エグゼクティブ)

誰が何を考えているかわからないマネーゲームの世界ではなく、
地域の発展を少なからず考えている田舎の地域事業者同士だから、
「協力」し合うことで「みんなでハッピーになる」ということができるのかなと思いました。
あーこれは、嬉しい学びだな、希望を感じる。

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