独自資源を強みと言うな!独自資源と強みは違うよ、という話を楽天モバイルのケースで考えてみよう
先日楽天グループの繰延税金資産について書いたので、今日のブログはその楽天、特に楽天モバイルを題材に書いていこうと思う。
あくまでも「題材」ね。楽天モバイルの業績について言及するのではないのでその点ご了承を。
今日のブログで書きたいことは、私が師事しているマーケティングの師匠、佐藤義典先生の戦略BASiCSの中のS(強み)とA(独自資源)について。
良く経営の本では強みを伸ばそう~とか、強みを作ろう~とかあるが、そもそも「強み」とは何だろうか?
自社の技術です!
優秀なスタッフです!
特許です!
なんて回答が出るだろうが…それ全て強みの説明ではないよ。佐藤先生の定義では。
佐藤先生の定義では強みとは
お客様が競合ではなく自社を選ぶ理由
とされいている。そもそも強みをしっかり定義しているものって少ないのだけどね。
こうなると先ほどの強みの例は
自社の技術です!→どんな技術?何がお客様に喜ばれている?
優秀なスタッフです!→どう優秀?何がお客様に喜ばれている?
特許です!→何がお客様に喜ばれている?
ということで、お客様に選ばれる理由になっていない。
でも、こうならどうだろう。
自社の技術です!→他社で断られたこともやってくれると評判です!
優秀なスタッフです!→話して癒されると来店理由が絶えません!
特許です!→お客様の喜ぶ○○は私の会社でしかできできません!
お客様の選ばれる理由になってくる。
つまり、技術や優秀なスタッフや特許は強みの源泉、他社が真似できない理由なのだ。佐藤先生はこれを独自資源(A)と言っている。これは明確に区別しないと何を考えているのか分からなくなる。
さて、前置きが長くなったが、楽天モバイルの話に移ろう。楽天モバイルの話になるとき、よく出てくるのが「完全仮想化技術」。まあ、別に「楽天モバイルの強みは完全仮想化技術です!」と言っているわけではないが、楽天モバイルの強みと調べると常に出てくる。
前に書いた通り、「完全仮想化技術」というのは独自資源。これが強みではない。「完全仮想化技術」からどんな強みが生み出されるの?というと、書いてあるのは「低コスト化による低価格」。
ん~、「低価格」がお客様が選ぶ理由ということなんだけど、楽天モバイルが出てきてから他社も低価格にしてしまった。なので、低価格が選ばれる理由になりにくくなってしまった。
そうなると「完全仮想化技術」は資源ではあるけど、強みを支える、他社が強みを真似できない理由というわけではないのではないだろうか。
もし「完全仮想化技術」で低価格以外の選ぶ理由ができるのならそちらをアピールした方がいいのではないかな?と思う。
もしくは楽天モバイルは「楽天経済圏」の中核を担う存在なのだろうから、「楽天経済圏」ではこんな良いことがありますよ!というアピールを強めた方がいいのでは?例えば震災があった時必要な物資を楽天がツケで確保しますよ!とか。今ならね。
強みと独自資源は近いけど違う概念。強みの話をしているのに独自資源と混同していたらいつまでたっても選ばれる理由(強み)ができない。
今回は楽天モバイルが「完全仮想化技術」というフレーズを多く聞いたので取り上げたが、別に混同している!と言っているわけではない。
でも、混同しやすいので注意しよう。皆さんの会社ではね。
最後まで読んでくれてありがとう!!
vol.2080
意思決定インストラクター
FSAコンサルティング株式会社 代表取締役 谷川俊太郎
まずは経理情報を経営の羅針盤情報に
そして経営をシンプルに考えられる理論
・佐藤義典先生の戦略BASiCS
・MG(マネジメントゲーム)
・TOC
この3つのシンプル経営理論を駆使し企業改革の後押しを行う「意思決定インストラクター」として福井で企業をお手伝い中!
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