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第46回日本アカデミー賞の見解&国内映画賞まとめ

こんばんは。
少し遅れましたが、日本アカデミー賞の感想とその他の映画賞の総まとめをしていきます。

昨年のまとめ記事はこちら↓

国内映画賞総まとめ

ノミネートは1ポイント、受賞は2ポイント、新人賞や次点での受賞は1.5ポイントとしています。
現在受賞まで発表済みなのは日刊スポーツ映画大賞(日スポ)、報知映画賞(報知)、毎日映画コンクール(毎日)、ヨコハマ映画祭(ヨコハマ)です。
ノミネートまで発表しているのはブルーリボン賞(ブルーリボン)、日本アカデミー賞(日アカ)です。
まだ何も発表されていないのがキネマ旬報とおおさかシネマフェスティバルです。

作品賞

日本アカデミー賞
『ある男』
『流浪の月』
『ハケンアニメ!』
『シン・ウルトラマン』
『月の満ち欠け』

 今年はぶっちぎりという作品がなく、だいぶ団子状態ですね。
 その中で日スポ以外の候補になり、報知を受賞したのはヴェネツィア映画祭オリゾンティ部門出品作『ある男』でした。次点としては日アカ以外の候補になったカンヌ映画祭新人賞次点となった『PLAN 75』でした。ここは誰もが認めるところでしょう。
 日スポ、報知、ブルーリボン、日アカで入った『流浪の月』、日スポで受賞し、ヨコハマ、日アカで候補になった『ハケンアニメ!』、報知、ブルーリボン、毎日、ヨコハマで入った『さがす』が続きます。
 以上がトップ5です。その他では毎日で次点となり、日スポ、ヨコハマで入った『夜明けまでバス停で』、毎日で受賞、ブルーリボンで入った『ケイコ 目を澄ませて』が次ぐ成績です。新人に好意的なヨコハマでは『恋は光』が受賞しました。
 さて、日アカで候補に入ったのは上記の5作品でした。『ある男』『流浪の月』『ハケンアニメ!』は前哨戦成績もよく納得できます。
 しかし『シン・ウルトラマン』『月の満ち欠け』に関しては他の賞で全くあがることがありませんでした。『シン・ウルトラマン』は大作ですしまあ分かるのですが『月の満ち欠け』は謎です。廣木隆一作品なら『あちらにいる鬼』『母性』の方が前哨戦にも顔を出していました。
 また、ヴェネツィア映画祭コンペに出品された『LOVE LIFE』がほとんど無視されているのも驚きです。入ったのは報知のみなんですよね。比較的まともな映画賞である毎日やヨコハマでも無視されたのは意外でした。

監督賞

日本アカデミー賞
廣木隆一『月の満ち欠け』
石川慶『ある男』
小泉堯史『峠 最後のサムライ』
樋口真嗣『シン・ウルトラマン』
吉野耕平『ハケンアニメ!』

 こちらも各賞で受賞する人がバラバラ、絶対的な人がいません。
 トップの成績は日アカ以外全てで候補に入り、ヨコハマで新人監督賞を受賞した早川千絵『PLAN 75』でした。
 それに次ぐのが日スポ、報知、ブルーリボン、日アカで候補入りした廣木隆一『月の満ち欠け』『母性』『あちらにいる鬼』と、報知、ブルーリボン、毎日、日アカで候補入りした石川慶『ある男』でした。
 以上が3トップと言えるでしょうか。しかし上記三名は受賞はしておらず、日スポは李相日『流浪の月』、報知は片山慎三『さがす』、毎日は三宅唱『ケイコ 目を澄ませて』、ヨコハマは小林啓一『恋は光』でした。
 そんな中、日本アカデミー賞で石川慶と廣木隆一の他に入ったのが小泉堯史『峠 最後のサムライ』樋口真嗣『シン・ウルトラマン』吉野耕平『ハケンアニメ!』でした。この三名は他の賞に全く入っていません。小泉堯史以外は作品賞候補の監督なのでそういうことなのでしょう。

主演男優賞

日本アカデミー賞
阿部サダヲ『死刑にいたる病』
佐藤二朗『さがす』
松坂桃李『流浪の月』
二宮和也『ラーゲリより愛を込めて』
大泉洋『月の満ち欠け』

 ここも絶対的なフロントランナーがおらず、全ての賞で異なる人物が受賞しました。
 報知、ブルーリボン、毎日、日アカでノミネートされた阿部サダヲ『死刑にいたる病』佐藤二朗『さがす』が一応の2トップでしょうか。
 次いで報知、ブルーリボン、毎日で候補に挙がった妻夫木聡『ある男』、日スポで受賞し報知でも候補入った阿部寛『とんび』、報知で受賞しブルーリボンにも入った福山雅治『沈黙のパレード』と続きます。
 毎日で受賞したのは沢田研二『土を喰らう十二カ月』、ヨコハマで受賞したのは瀬戸康史『愛なのに』でした。
 日アカに入ったのは阿部サダヲ、佐藤二朗に加え松坂桃李『流浪の月』二宮和也『ラーゲリより愛を込めて』大泉洋『月の満ち欠け』でした。松坂桃李は日スポ、二宮和也はブルーリボンでも候補になっていますし分かりますが、大泉洋はここだけのノミネーションです。

主演女優賞

日本アカデミー賞
倍賞千恵子『PLAN 75』
吉岡里帆『ハケンアニメ!』
のん『さかなのこ』
岸井ゆきの『ケイコ 目を澄ませて』
広瀬すず『流浪の月』

 ここは一番納得度が高いですね。順当にポイントが高い人がそのまま入った感じです。特に岸井ゆきの、のんを入れたのは素晴らしいです。
 唯一コンプリート候補にあがったのは倍賞千恵子『PLAN 75』でした。日スポ、ヨコハマでは受賞も果たしています。
 ヨコハマで倍賞千恵子と同時受賞し日スポ、報知、日アカで候補になった吉岡里帆『ハケンアニメ!』が続きます。
 そして日スポ、報知、毎日、日アカで候補に入ったのん『さかなのこ』と毎日で受賞しブルーリボン、日アカで候補にあがった岸井ゆきの『ケイコ 目を澄ませて』が同点です。
 それ以下は団子状態ですが、日スポ、ブルーリボン、日アカで入った広瀬すず『流浪の月』と報知で受賞しブルーリボンにも入った有村架純『前科者』が一歩抜けているでしょうか。
 木村文乃『LOVE LIFE』はここまで無視されるとは思いませんでした。また、田中裕子『千夜、一夜』原田美枝子『百花』といったベテラン女優ももっと評価されるべきだと思うのですが…

助演男優賞

日本アカデミー賞
柄本佑『ハケンアニメ!』
横浜流星『流浪の月』
窪田正孝『ある男』
坂口健太郎『ヘルドッグス』
目黒蓮『月の満ち欠け』

 ここもそこまで差がない状態ですね。日スポとヨコハマで受賞し日アカにも入った柄本佑『ハケンアニメ!』が一応のフロントランナーでしょうか。
 同点でヨコハマで柄本佑と同時受賞し日スポ、報知、ブルーリボンに入った磯村勇斗『PLAN 75』と報知で受賞しブルーリボン、毎日、日アカで候補に入った横浜流星『流浪の月』が肩を並べます。
 日スポ、報知、ブルーリボン、毎日で候補に挙がった中島歩『よだかの片想い』、毎日で受賞しブルーリボン、日アカで候補に入った窪田正孝『ある男』がそれに続きます。
 日アカでは上記のメンバーから磯村勇斗と中島歩が落ち、坂口健太郎『ヘルドッグス』目黒蓮『月の満ち欠け』が入りました。坂口健太郎は報知と毎日で入っているのでまだ分かりますが、目黒蓮は謎ですね。
 木村文乃もそうですが、砂田アトム『LOVE LIFE』もほとんど無視され、『LOVE LIFE』勢がかなり気の毒です。砂田アトムは日本映画界の今後を考えると無視してはいけなかったと思いますよ。毎日が選出したのは流石だと思いますが。

助演女優賞

日本アカデミー賞
尾野真千子『ハケンアニメ!』
清野菜名『ある男』
清野菜名『キングダム2 遥かなる大地へ』
安藤サクラ『ある男』
有村架純『月の満ち欠け』
永野芽郁『母性』
松本穂香『"それ"がいる森』

 ここも差がないですね。ヨコハマ以外で全て候補入りし、報知で受賞した尾野真千子『ハケンアニメ!』がポイントでは高いですが受賞はバラバラですし…
 ヨコハマで受賞、日スポ、報知で候補入りした河合優実『PLAN 75』、日スポ、報知、ブルーリボン、毎日で入った広末涼子『あちらにいる鬼』、日スポで受賞しブルーリボンと日アカで候補に入った清野菜名『ある男』、報知、ブルーリボン、毎日、日アカで入った安藤サクラ『ある男』が一応のトップ5でしょうか。毎日で受賞、報知でも候補に入った伊東蒼『さがす』も注目すべきでしょう。
 日アカでは異例の6人7候補となりました。清野菜名が『ある男』と『キングダム2』で入り、次点の得票数が同数だったため、というのが理由のようです。有村架純『月の満ち欠け』永野芽郁『母性』松本穂香『"それ"がいる森』は他の賞では顔を出しておらず疑問の残る候補です。河合優実や伊東蒼を落としてまで入れるべきだったのでしょうか?
 体感では玉城ティナ『窓辺にて』宮本信子『メタモルフォーゼの縁側』はかなり評判になっていたのでもう少し評価されるべきだったと思います。

アニメーション映画賞

 いつも思うんですが、毎日ってなんでこんなにたくさん選ぶんでしょうか?知らないものばかり…別にいいんですけど。
 報知、毎日、日アカで全て候補入りしているのは『犬王』『ONE PIECE FILM RED』『すずめの戸締まり』でした。これらは話題性もありヒットもしたので納得ですね。
 しかし受賞したのはこれら3作品ではありませんでした。報知では『四畳半タイムマシンブルース』で、毎日では『高野交差点』でした。後者はインディー作品ですがとてもいい作品でしたよ。
 日アカでは『かがみの孤城』『THE FIRST SLAM DUNK』が入っています。どちらも話題性もありまあ納得ですかね。

脚本賞

 毎日で受賞、日アカでも入った『PLAN 75』が強いんですかね。『峠 最後のサムライ』が日アカに入っているのは本当に謎。あそこまでヒドい脚本もないですよ。

撮影賞

 毎日で受賞したのは『ケイコ 目を澄ませて』でしたが、双方で候補になったのは『ある男』『流浪の月』でした。『LOVE LIFE』入らないんだ…

美術賞

 毎日で受賞した『死刑にいたる病』、毎日と日アカの両方で入った『ある男』が強いんですかね。日アカの大作主義が顕著です。

音楽賞

 毎日で受賞したのはなんと『こちらあみ子』でした。それも含めて突出したのはないですね。
 日アカで『耳をすませば』『すずめの戸締まり』が入ったのが意外でしたが音楽が重視の映画ってとですかね。『耳をすませば』は酷評と言ってもいいくらいなのになぜ…?毎日と日アカで被っているのが一つもなくて逆に面白いですね。

録音賞

 毎日、日アカで候補に入ったのは『ある男』『峠 最後のサムライ』、毎日で受賞したのは『ケイコ 目を澄ませて』でした。

編集賞

 ここは作品賞候補から『流浪の月』が抜けて『峠 最後のサムライ』になっただけですね。

照明賞

ここも『月の満ち欠け』『ハケンアニメ!』が消えて『キングダム2』『峠 最後のサムライ』が入っただけです。

日本アカデミー賞の感想

 まあもはや期待も何もしていないんですが、その上でいろいろ言いますね。改善されることはないと思いますが。
 『月の満ち欠け』ごり押しはなんなんですか?廣木隆一なら『あちらにいる鬼』の方が評判がよかったと思うんですが。プロデューサーに強い人がついているとかそういうことですかね。
 演技賞に関しては、今年どの部門も突出して強い人というのがいないのでまあこんなもんかなと思います。むしろ主演男優賞で松坂桃李、主演女優賞でのんと岸井ゆきのをしっかり拾っているのは好印象です。あえて言えば助演女優賞でしょうか。清野菜名が二作品で候補入りするほどよかったのか、松本穂香はこの作品で候補入りして果たして嬉しいのかなど疑問です。
 技術賞では作品賞候補の5作品プラス『峠 最後のサムライ』『キングダム2』で占められていて、果たして選考者たちが他の作品も観たうえで選んでいるのか疑問です。『峠 最後のサムライ』はかなりヒドい出来で、美術賞はまだ分かりますが、脚本とか何部門もノミネートされる作品ではないですよ。
 今年は昨年の『ドライブ・マイ・カー』や2018年の『万引き家族』のように海外で大きな賞を受賞した作品というのがなかったため割れに割れたのでしょう。これは日アカに限った話ではないのですが、ヴェネツィア映画祭コンペに入った『LOVE LIFE』がほとんどの賞で無視されているのは驚きです。好きではないですが、クオリティとしてはダントツだと思うんですが。毎日でさえ無視しているのは意外でした。何かあるんですかね?
 これから発表されるブルーリボン賞、キネマ旬報、おおさかシネマフェスティバルの結果を注視したいと思います。

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