第76回毎日映画コンクール

みなさんこんばんは。今回先ごろ発表された毎日映画コンクールのノミネーションについて書いていきます。

毎日映画コンクールはマスコミ主体の映画賞で、批評家主体のキネマ旬報、映画ファン主体のヨコハマ映画祭と並んで信頼できる映画賞です。歴史も古く戦後すぐの1946年から開催されています。

日本映画大賞

「茜色に焼かれる」
「空白」
「すばらしき世界」
「ドライブ・マイ・カー」
「由宇子の天秤」

　これは素晴らしいチョイスですね！「由宇子の天秤」や「空白」といった低予算の作品がしっかり選ばれていて大納得です。

監督賞

石井裕也「茜色に焼かれる」
瀬々敬久「護られなかった者たちへ」
西川美和「すばらしき世界」
濱口竜介「ドライブ・マイ・カー」
横浜聡子「いとみち」
吉田恵輔「空白」

　作品賞からは「由宇子の天秤」の春本監督が外れてしまっていますが新人なので仕方ないでしょう。
　「護られなかった者たちへ」の瀬々監督は流石の安定感で候補入りですね。中堅なら「孤狼の血 LEVEL 2」の白石和彌監督でもよかった気がしますが…
　そして「いとみち」の横浜聡子監督は完全ノーマークだったのでびっくりです。ただ、横浜監督は「ウルトラミラクルラブストーリー」でキネ旬ベストテン入りしている監督で、「いとみち」の評判も聞いていたので納得はできますね。

主演男優賞

佐藤健「護られなかった者たちへ」
西島秀俊「ドライブ・マイ・カー」
東出昌大「草の響き」
古田新太「空白」
松山ケンイチ「BLUE/ブルー」
役所広司「すばらしき世界」

　「草の響き」の東出昌大、「BLUE」の松山ケンイチは意外ですが、作品評価から考えると妥当だと思います。どちらも評判がいい作品ですからね。
　西島秀俊、古田新太、役所広司もしっかり入っていますし納得のチョイスです。

主演女優賞

有村架純「花束みたいな恋をした」
尾野真千子「茜色に焼かれる」
加賀まりこ「梅切らぬバカ」
門脇麦「あのこは貴族」
瀧内公美「由宇子の天秤」

　有村架純、尾野真千子、瀧内公美は当然として、「梅切らぬバカ」の加賀まりこは驚きです。ただやはりこちらも地味ではありますがいい評判が聞こえてくる作品ではあるので、ベテラン枠としてアリなのではないでしょうか。
　そしてなにより「あのこは貴族」の門脇麦が入ったのが嬉しいですね。日スポ、報知では無視されてきましたから、ようやく正当な評価がついたと思います。

助演男優賞

岡田将生「ドライブ・マイ・カー」
鈴木亮平「孤狼の血 LEVEL2」
仲野太賀「すばらしき世界」
光石研「由宇子の天秤」
村上虹郎「孤狼の血 LEVEL2」

　こちらも若手からベテランまで入ったバランスのいいチョイス。岡田将生、鈴木亮平、仲野太賀は他の映画賞でも候補入りしていますし当然でしょう。
　「由宇子の天秤」の光石研は作品を観ていないのでなんとも言えませんが、演技力には定評のあるベテランでとても好きな俳優さんなので嬉しいです。
　また「孤狼の血 LEVEL2」の村上虹郎、こちらも作品を観ていないので分かりませんが、若手の中では実力のある俳優さんだと思うのでいいんじゃないでしょうか。

助演女優賞

清原果耶「護られなかった者たちへ」
寺島しのぶ「空白」
倍賞美津子「護られなかった者たちへ」
三浦透子「ドライブ・マイ・カー」
水原希子「あのこは貴族」

　「護られなかった者たちへ」から二人ノミネートされているのが意外です。そして「茜色に焼かれる」の片山友希が漏れたのは納得できませんね…
　寺島しのぶ、三浦透子は当然として、水原希子がちゃんとノミネートされたのはよかったです。「あのこは貴族」の二人がちゃんとどちらもノミネートされたのは初めてですよね。

脚本賞

坂元裕二「花束みたいな恋をした」
西川美和「すばらしき世界」
濱口竜介「偶然と想像」
濱口竜介、大江崇允「ドライブ・マイ・カー」
春本雄二郎「由宇子の天秤」
吉田恵輔「空白」

撮影賞

笠松則通「すばらしき世界」
鎌苅洋一「花束みたいな恋をした」
四宮秀俊「ドライブ・マイ・カー」
鍋島淳裕「護られなかった者たちへ」
柳島克己「いとみち」

美術賞

今村力「孤狼の血 LEVEL2」
徐賢先「ドライブ・マイ・カー」
杉本亮「花束みたいな恋をした」
原田哲男「燃えよ剣」
三ツ松けいこ「すばらしき世界」

音楽賞

石橋英子「ドライブ・マイ・カー」
大友良英「花束みたいな恋をした」
世武裕子「空白」
林正樹「すばらしき世界」
渡邊琢磨「いとみち」

録音賞

伊豆田廉明「ドライブ・マイ・カー」
岩丸恒「いとみち」
浦田和治「孤狼の血 LEVEL2」
高田伸也「護られなかった者たちへ」
田中博信「空白」

　専門賞に関してはなんとも言えませんが、「いとみち」がかなりノミネートされているのが分かります。毎日映画コンクールの今年のお気に入りは「いとみち」なんでしょうか。

アニメ映画賞

「アイの歌声を聴かせて」
「I'm Late」
「飯縄縁日」
「幾多の北」
「映画大好きポンポさん」
「おやすみ」
「ガラッパどんと暮らす村」
「漁港の肉子ちゃん」
「JUNK HEAD」
「軟膏母さん」
「Parallax」
「久々」
「不安な体」
「プックラポッタと森の時間」
「Blink in the Desert」
「平凡な奇跡」
「BOX」
「骨嚙み」
「岬のマヨイガ」
「竜とそばかすの姫」

　「ポンポさん」「竜とそばかすの姫」「漁港の肉子ちゃん」「JUNK HEAD」と評判のいい作品がしっかり入っていますね。「アーヤと魔女」が漏れたのはまあ作品評価から考えても仕方がないですね。

ドキュメンタリー映画賞

「いまはむかし 父・ジャワ・幻のフィルム」
「たゆたえども沈まず」
「ちょっと北朝鮮まで行ってくるけん。」
「標的」
「水俣曼荼羅」

　ここに関しては「水俣曼荼羅」しか知りませんでした。かなりマニアックなチョイスなのは間違いないでしょう。機会があれば観てみたいですね。

　ということで今回は毎日映画コンクールのノミネーションについて書いてみました。「騙し絵の牙」「街の上で」「ヤクザと家族」が完全無視されたことは引っかかりますが、「いとみち」「梅切らぬバカ」「草の響き」など小さいけど評判がいい作品が入ってきてるのはいい傾向だと思います。
　近々、今のところの賞レースの結果についてまとめようと思っていますのでしばしお待ちを！
　読んでいただきありがとうございました！