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50代で成績が伸びたトライアスロン練習法
現在私は54歳。43歳でトライアスロンを始めて10年になります。
一般的にはだんだん衰えていく年齢ですが、今年は10年で最も成績も調子(自分の感覚)も良かった1年だったと感じています。
ほとんどのレースで、スイムもバイクも良いペースで終え、最後のランでもペースを維持して走りきることができたので、後半に順位を上げられるし、自分の力を出し切った感と満足感も高いです。
トライアスロンのタイムについては、同じ大会でも天候や気温で条件が変わりますし、コースも年々微妙に変更になったりするので、単純にタイムだけを比較してもあまり意味がありません。
そこで、一番実力を示すのに客観的で分かりやすい数字は何かを考え、9年前から毎年出場している長良川ミドルトライアスロンの3種目目のランの平均ペースを比較してみました。
スイム2km、バイク102km以上(もう少し長い年もあった)での疲労を抱えての20kmのランがどれだけのペースで走れているかを比較すれば、強さの比較になると考えます。もちろん他人と比較しても意味はありません。ランの得意な人と苦手な人では、ペースは当然違います。同じ選手なら年ごとのペース比較が意味を持ちます。
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赤い線は平均値です。コロナ禍による2年間のブランクがあり、ブランク明けの最初のレースは、やはり身体が長時間のレースに慣れてなく、気分的にも完走できるだけで大満足だったので、ペースは遅いですが、それを入れても、コロナ禍前(40代)と、コロナ禍後(50代)では、平均ペースが10秒以上上がっています。
50代になってからは、非常に暑かったり、調子が多少悪くても、1km 5分以下のペースで走れています。
年代別の総合順位も、
40代:平均10位(15位、5位、10位、10位)
50代:平均3.2位(4位、6位、1位、3位、2位)
と、同年代の選手と比較して、相対的にタイムが上がってきていると言えます。
その理由は、練習の内容や取り組み方を変えたことが大きいと考えています。具体的には以下のように変えました。
40代の頃の練習
3種目を満遍なく練習
効率を上げるために練習強度は高め
補助的に筋トレ
50代になってからの練習
種目にこだわらない練習
1種目の練習時間の長さを重視
10日に1回のHIIT
筋トレの時間増加
40代の頃は練習は3種目満遍なくやらないといけないのものだと思っていたので一生懸命、時間を3種目に割り当てていました。しかし、コロナ禍でプールに行けない時期があったり、コロナ禍でレースも無くなってしまって、人の少ない山を走ったり、道を走るのも長時間走るようになりました。
結果的に、スイムの練習は極端に減りました。もともと私は水泳選手だったのでスイムは得意だからか、練習量が減ってもそれほどタイムは落ちていません。
一方でバイクとランの練習時間は長くなりました。コロナ禍前は1階の練習を1時間程度で行っていましたが、最近の週末は3時間ほど走り続けたり、室内バイクを漕ぎ続けたりするようになりました。当然ながら長時間の練習なので強度は下がります。ジョグペースで3時間走ります。途中で補給食を食べながらのんびりした練習です。
ほとんどの練習はのんびり長くですが、2週間に1〜2回比較的短時間の高強度練習をします。トータル20分くらいのインターバル練習や、4分のタバタ式練習(HIIT)です。
この時は最大心拍数の95%以上まで上げ、意識が遠のくくらい頑張ります。
筋トレについては、最近の成績にプラスになっているのか自分自身でもかなり疑っていますが、筋トレして肩や胸に筋肉が付いて体型が良くなる喜びを知ってしまい、筋トレの時間が以前よりだいぶ増えました。
同じ種目の練習を長時間行うことは、その種目で使用する筋肉を長時間使い続けることになります。以前はそれを強度を高めることで補えると考えていました。
しかし、ここ数年、長時間練習をするようになって、レース後半の感覚が全く変わりました。もちろんレース後半は疲労が溜まってきてパフォーマンスは落ちますが、以前は落ち始めるとドンドン落ち続けていたのが、最近は粘れるようになりました。
長時間動き続ける為には動かす筋肉だけでなく、そこへのエネルギー供給システムや、疲労物質の排出システムなどが重要で、その強化には強度が低くても長時間その筋肉を使い続けることが有効なのだと思います。
それが、近年のレースペースなどの結果に表れているのだと信じています。
低強度長時間練習に変えてから、ケガも大幅に減りました。正確なデータは無いのですが、40代の頃は頻繁に脚のケガをしていました。重大なものではないのですが、何となく膝が痛い、踵が痛いなどのトラブルが頻繁に起きて、それを気にしながら練習する事が常でしたが、50代になってからはケガで練習ができなかったり、レース欠場したことがありません。
順位が上がっている要因の一つはこれかもしれません。自分と同じレベルの選手は知り合いになっている人が多いのですが、レース会場に行くと、ケガで欠場したり「ケガしてて走れません」と言われたりして、自分が元気に出場できるだけで相対的に順位が上がります。
年をとればとるほど、ケガをした後の回復の時間がかかるようにもなるし、健康で無傷な状態を維持していることの価値が高まります。それにも低強度長時間練習は貢献しています。
低強度長時間練習と言っても、どれくらいの強度で、どれくらいの時間やるべきかは人によって違うと思うし、同じ人でも加齢によって変わってくると思います。
私も常に身体と対話しながら、時間と強度の最適値を目指し続けています。
50代前半では、総合的なタイムは伸ばせましたが、いつまでタイムを伸ばせるのか、その後は、いつまでタイムを維持できるのか、自分自身で確かめたいと思います。