自重しないエニアグラムタイプ5:頭デッカチの引きこもり
エニアグラムのタイプ5は、良くも悪くもオタクという言葉が似合うとされています。彼らは気に入った事柄に関する知識や技術を収集し、自分のものにしていくという強みを持っています。
いわゆる「頭の良さ」では全タイプトップと言ってもいいタイプですが、相応にダメダメな部分も目立つ二面性の強いタイプ。今回は、そんなタイプ5を見ていきましょう。
調べる人
調べる人というより「極める人」みたいな感じですね。
タイプ5の多くには、得意分野が存在します。で、大抵はめちゃくちゃ凝り性なので、「なんでそこまでしたの?」と周囲が呆れるくらい極めてしまうことも珍しくありません。
例えば私の周りでは、三国志の曹操という人物に興味を持った人が1ヶ月後には三国志の本を書けそうなくらいの知識を吸収してきたり、歴史の勉強で徳川幕府の歴代将軍を暗記するだけでいいのに徹夜で徳川将軍家周辺の相関図を作ってきたり……
とにかくそんな感じで凝り性すぎるタイプ5。
彼らがなぜ得意分野を極めたがるのかというと……「好きだから」という理由の他に、「何かを極めなければ生きていけない」という潜在的な強迫観念も影響しています。
タイプ5は生来臆病で繊細な性格の持ち主で、戦うか逃げるかの2択を迫られると大概逃げることを選びがちな人たち。自信がないので、臆病にならざるを得ないわけですね。
そんな自信に欠ける人たちなので、タイプ6などと同じく「この世界は理不尽で残酷で、自分なんて簡単につぶされてしまう」という強烈な不安を抱えています。
タイプ5にとっての得意分野とは、自分の敵(世界全部)に踏みつぶされないための対抗手段であり、万一危険に晒された時の避難場所でもあるのです。
「得意分野さえ、得意分野さえ極めれば……」と、感情が不安定になったタイプ5の頭の中はそういう思いで埋め尽くされやすいのです。
ボッチと得意に執着する人
タイプ5は、とにかく興味事や得意な分野を伸ばすことに執着します。得意分野と求められる能力が全然嚙み合っていない場合でも、あくまで得意分野ばかり見ようとすることもあります。
極端な話、「喧嘩した友人と仲直りがしたい」と願っても、実際の解決策を考えるより得意分野を優先させるケースもありますね。
海洋学、歴史、地理学などなど……これらが実際に自信のある分野であっても、友人関係の修復とは何の関係もありません。
ですが、特に不健全なタイプ5はやっちゃうんですよね、得意分野の研鑽や勉強を。
で、勉強に没頭していくうちに友人との関係修復が面倒になり、「あいつは結局自分にはいらない奴だった」と勝手に結論付け、その縁もバッサリ切れてしまいます。
タイプ5は労力や時間をケチり、興味事に割く以外の時間をほぼ全て「無駄」だと思っている部分もどこかであります。
タイプ5のやりがちな失敗に、極端に自分の趣味や好みを追求した結果、親友や恋人、親や兄弟とすらも疎遠で誰もそばに残らない……というものがあります。
もっとも孤立主義者のタイプ5的には、むしろ天涯孤独は居心地がいいものなのかもしれませんが……同時に、どこかで寂しい思いをしている人も少なくはありません。
基本全部敵のタイプ5にとっては、心許せるかけがえのない存在なんて夢物語でしかないのです。
全部敵の反動
というわけで、心のどこかで「全部敵だ」と割り切っているからこそ孤立をものともしないタイプ5ですが、当然人としての感情はきちんと持ち合わせています。
っても、タイプ5本人たちは「そんなもの自分にはない!」と否定しそうではありますがね……
何を隠そう、このタイプ5という人たちは、とにかく感情、挑戦、欲望という3つの要素をマヒさせることで、ひたすら自分の興味事に力を入れる機械を演じているところがあります。
感情が無ければ、合理的に何でも割り切って考えられます。
挑戦しなければ、自分の無能を晒して人から攻撃や追及を受けることはありません。
欲が無ければ、生きていけるだけの最小限のリソースでも満足できます。
蚊帳の外から物事を眺め、「他の連中は自分と比べて視点も思考も浅すぎる」なんてうそぶきながら決して人の輪に入ろうとしないタイプ5ですが、そんな達観した人格の裏では人の暖かさを欲しているのもまた事実です。
感情が不安定になって暴発したタイプ5はより自分の願望や本音を強く否定しようとしますが、当然ほとんどの場合は失敗します。
知識や得意分野、興味事といった「自分が寄って立つための足場」を無くしたタイプ5は、以下のどれかの末路を辿ることが多いですね。
どこを見ても敵だらけという不安に抗う手段を無くし、思考がオーバーフローを起こして被害妄想やぶっ飛んだ悲観的な未来を本気で信じ、正気を失っていく
目先の不安をどうにかするために、どんな危険なものにでも飛びつく。ひどいとカルト宗教信奉、薬物乱用、過度な飲酒や性的放縦に走ることも
自分の思考力に精神力が耐えられなくなったとでも言いましょうか……。まあ何にしても、普段の達観した様子からは想像もできない人物になり果ててしまうでしょうね。
タイプ5の人間関係
基本は邪魔されなければ何でもOK。というか、邪魔される事を死ぬほど嫌います。結果、プライベートの人間関係はゼロか少数という場合がほとんどですね。
ですが、それではまあ人間関係が立ち行くはずもありません。親しい人からの頼み事は、鬱陶しがりながらも何だかんだ引き受ける場合も多いです。
タイプ5の囚われは「ためこみ」
突然ですが、タイプ5はケチです。ドケチです。言ってしまえば、そのケチで何でも貯蔵しないと気がすまない性分が囚われと言えるでしょう。
タイプ5にとって、この世界はサバイバル。どんな問題も、物資の消費を最小限、省エネモードで乗り切れるなら御の字です。
同時に、使えるものは知識でも技術でも欲しがる傾向もありますね。
「一芸に特化すれば生き残れる」「自分が強く(有能に)なればどうにかなる」と。そんな思いから、タイプ5は時間や労力を他人のために使うことをとことんケチりまくるのです。
健全度ごとのタイプ5
健全状態のタイプ5
元々の知性に加え、主体性を身につけて知勇兼備の人物になります。
物事を傍観するだけでなく積極的に関わっていき、出し惜しみも尻込みもせず自分の知識を他人に提供し、結果として多くの人から有能と認められる人物です。
通常状態のタイプ5
知識欲や知的好奇心が旺盛で基本的に知っていることはとことん知り尽くしているタイプ。ですが生来の引っ込み思案や出不精から、それらを出し渋る傾向にあります。
時には行動も起こしますが、基本的には消費者・生徒の側に甘んじており、自分が矢面に立って周囲に働きかけるのは極めて稀と言えるでしょう。
不健全状態のタイプ5
ある意味、悪い方向に積極性を身につけた状態と言ってよいかもしれません。何かに依存して離れられなくなるか、あるいは誹謗中傷をバラまいて周囲の足を引っ張ったり心をへし折ることが生きがいになる人もいます。
脳内はバグとエラーだらけで極度の緊張・混乱状態にあり、被害妄想やありもしない危険性を予見して自らの殻に閉じこもるようになります。
ウィング
ウィングについては、以下をご参照ください。
5w4:因習を打破する人
多くは何を考えているのかわからない変人ですが、心の内では自分の信じた道を貫く熱さを持った人たちです。
もっとも人に興味がなく、もっとも孤立しやすく、人付き合いよりも自分のやりたいことを全力でやっていくのを優先します。というか、孤立することをむしろ「余計な時間をとられずに済む」とか思ってるところがちょっとあります。
タイプ5らしく「自分の特技を活かし、世界でそれを振るう」という願望を持っていますが、あくまでそれも自分の個人的な夢や目標ありきで、特技をより光らせるために世間から距離を置くこともあるタイプですね。
5w6 問題を解決する人
同じタイプ5の中でも、5w4と比べるとまだ世間に溶け込もうとしているタイプですね。
「自分の能力を世間で使っていく」というのを基本的な方針にしており、ひらめきや創造性に特化した5w4とは違い、実社会で明確に使い手がある技術(学問、資格、技術など)に興味を持ちやすいのが特徴ですね。
夢とか理想とかよりも、実質的で現実的。5w4が物事の起源やそもそもの根本に興味を持つのに対し、こちらは足元をしっかりと固めるように、一手一手丁寧に問題と向き合います。
本能のサブタイプ(自己保存・ソーシャル・セクシャル)
サブタイプによっても、タイプ5の性格は大きく変わります。
自己保存 :自分の最強の城を作りたい人
ソーシャル:生き字引として存在したい人
セクシャル:狭く深い関係を求める激情家
一言で表せば、だいたいこんな感じでしょうか?
詳しくは、以下をご覧ください。
もっと血の通った生活を!
タイプ5は物事を達観して見ることができ、どこか超然、悠然と構えた人が多いです。
一歩引いた視点を持つ人は社会や組織において大事な役割を担う事が多いですが、同時に人間関係からは除外され、孤立しやすいのが何とも言えないところですね……。
人間観察も確かにいろいろと面白いものですが、時には思い切って声をかけてみる。
タイプ5にとっては最悪の面倒事かつ鬼門ですが、やっぱり人と関わりを持てるかどうかが人生のカギと言ってもいいかもしれません。
さすがに、今すぐ恋人を作れとかそういう事は言いません。ただ、「こいつ面白そう」と思った相手に声をかけて一通り話し込んでみるだけでもいい刺激になるのではないでしょうか。
あとは、とりあえず不格好でも何でもいいから、自分なりの意見をきちんと発信してみる事。
当然反対意見ばかりが集まることもあるでしょうが、とにかく「今の自分の途中経過を人前に出してみる」という事が大事になります。
意見と言っても、他人の意見や話に対する論評ではありませんよ。政治でもなんでも結構。自分だけで考えた意見や自分のやってることなんかを外に出すことが大事なのです。
タイプ5にとって圧倒的に足りていないのは、自分の有能さ、実力への確信のようなものです。こいつは他人の無能を晒し上げるだけではなかなか得られません。
やはり意見を出し、実際に人に聞いてもらってこそ、今の自分の状況がわかるというもの。
大丈夫です。案外みんな賛同できそうな意見くらいしか真面目に聞いてくれません。間違っても、致命的なまでの弱点を晒すことにはつながらないはずです。
未来のアレコレに足を引っ張られがちなタイプ5に必要なのは、「今この場」の自分と目線です。
本当の意味で自分を客観視して、自分の願望を知った時にこそ、タイプ5の頭脳は本領を発揮するはずですよ。
※なお、不健全な場合はその限りではありません。詳細は以下をご参照ください。