自重しないエニアグラムタイプ8:天下狙いのジャイアニスト
タイプ8は、エニアグラムのタイプの中では最も少なく、特に日本ではその姿を見かけるのもかなり珍しいとされています。
それもそのはず。タイプ8はリーダーの後ろで忠実に動く一般的な日本人像とは真逆の、「俺についてこい」的な属性が色濃いパワフルリーダー。
まあそんな感じで強引・タフな性格のため、しょっちゅう脱落者や反逆者を出すタイプでもあるわけですが……。
挑戦する人
タイプ8が生きる上での基本戦略は至極単純。進む、ぶち破る、手に入れる。これだけです。その正面から挑みかかる姿勢もあって、タイプ8を別名「挑戦する人」と呼んだりもしていますね。
実際、タイプ8の基本方針はかなりわかりやすい人が多いですね。
お金や権力が欲しい、仲間に良いものを食べさせたい、好きな人に振り向いてほしいetc……目標は人によって色々あれど、その目的を達成するための道は案外単純です。
何というか、無駄なことがほとんどないんですね。単純至極です。
だいたいの行動は何事においてもイニシアチブを握るため。あるいは相手にわからせるため。敵から奪うため。
小細工抜きで相手に挑みかかりますが、その目的のだいたいは、相手を屈服させるためだったりします。
敗北者は必ずすべてを奪われる
タイプ8の目的は基本的にさまざまですが……実は力のある立場を欲しがる・影響力を持ちたがるというひとつの共通点があります。
タイプ8の脳内世界は、食うか食われるかの弱肉強食。隙を見せればすぐに攻められ、力の無い者は他人の奴隷となるのが自然の摂理です。
そんな「力ある者が力無き者を好き勝手に操る」「みんな付け入る隙を狙っている」という自然の掟を嫌と言うほど見てきたために、タイプ8は「弱みを見せたら付け入られる」と心の底では強く思っています。
人に邪魔されない強さを持つため、あるいは「自分は操られる側の人間ではない」と宣言するため、タイプ8は一番上の地位を狙う事が多いです。
そんな感じでライバルには容赦のない人が多いタイプ8ですが……反面自分の身内には案外強権的で威張り散らす人は少なく、むしろ優しくて面倒見がいい人も少なくありません。
というのも、タイプ8は幼いころから「扶養者としてみんなを周囲から守らなければ」「自分の身は自分で守らなければ」と気を張っていたから、自分より強い相手・自分の敵になりそうな相手に冷酷なだけ。
もっとも、これらは本人流の優しさに過ぎません。他の人からすると、冗談ひとつをとってもかなりキツいことを言っていたり、有無を言わせなかったり、普通に恐れられたりしているわけですが……。
あと、怒るべき場所だと判断すれば普通に身内でも張り倒す勢いで怒ります。
結局、身内に対しても「勝ちたい」という思いは健在なようですね。
ロンリーハート@はがねのよろい
タイプ8の多くは明朗快活で声が大きく堂々としており、人にナメられたり見下されることはまずありません。
気丈で気が大きく、時に横暴で傷つくことを知らないようにも見えますが……内心は意外とナイーブで傷つきやすかったりします。
現に幼少期は意外とおとなしかったり、普通に泣いたりしてた人もいるとかいないとか。大抵は並大抵のことでは泣かない人だらけですが。
タイプ8は人並みを超えたタフさと気丈さを見せる人たちですが、その内面は必ずしも超人だとか化け物だとかではありません。
表向き平気にいている裏で、実は結構傷ついたりショックを受けたりしているのです。
タイプ8はただ「弱みを見せたらつけ込まれる」「守るべき相手の前で弱みを見せられない」と気を張っているだけで、中身は案外普通の人です。
負けないために、強い人であり続ける。
そう評するのが、彼らタイプ8の正しい認識なのかもしれませんね。
さて、先ほど「身内には優しくて面倒見がいい」とは言いましたが……実はこれには例外があります。
それが、裏切りや「守り切れないかも」という不安で精神が不安定になり、不健全な状態に陥ってしまう時。
この時ばかりは、タイプ8は自分の身ひとつを守るのに必死になってしまいます。
例えば突然姿を消して引きこもるだとか、仲間を傷つけて自分の力を誇示するだとか……。
もともとタイプ8はゴリゴリの個人主義者。自分の地位が脅かされるのであれば仲間であっても容赦せず、無理難題を押し付けたり理不尽な怒りを向けたりして絶対服従を誓わせようとしてきます。
「自分は自由にやりたいんだ!そのための力は誰にも奪われてなるものか!」と。こんな悲鳴が聞こえてきそうですね。
ぶっちゃけ、不健全すぎるタイプ8と勇者型のタイプ6は区別がつきにくいところがあります。
彼らはどっちも仲間を信じず、自分が少しでも怪しいと思った身内は斬り捨て、周囲に自分の力を誇示しなければ不安で生きていられなくなりますから。
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タイプ8の人間関係
自分の言いなりや奴隷が大好き!と言いたいところですが、事はそう単純ではありません。彼らが求めているのは対等な人間関係。奴隷でも物でもなく1人の人です。
ですがついつい圧が強くなったり物扱いしてしまう事で、孤立したり不本意なご主人様生活を味わうこともしばしばあります。
実際、無自覚に有無を言わせず反論や諫言を叩き潰す悪癖持ちが多いですね。
心の底ではついつい仲間にも勝とうとしたりなど、本人たちにも問題がないとは言えません。
タイプ8の囚われ「欲望」
タイプ8は基本的に物欲も強いですが、それが囚われの全てではありません。
囚われの本質は、「自分が好きにできる環境を失いたくない」という気持ちです。
弱肉強食主義のタイプ8が最も恐れるのは、誰かの奴隷となって自由が根こそぎ奪われること。
基本的には他人は敵。人に負けて誰かの下につき、自分が自由に行動できなくなるのを何より怖がります。だからこそ力を強く求めますし、人にも強烈に自己主張します。
ですが、そのせいで自分の弱みを人に開示できなかったり、そもそも気づけないことも少なくないのです。
健全度ごとのタイプ8
健全状態のタイプ8
「他人は敵」という無意識化の思い込みが緩和され、開けっぴろげで本当の意味でリラックスした状態になります。
持ち前の力強さとリーダーシップはそのままですが、自分の自由や取り分よりも他人を導くためにリーダーを買って出ることが多いです。
通常状態のタイプ8
表面上はのほほんとしていたりフレンドリーな人も多いですが、基本的に他人との交流は「主導権を握るための他者との交渉」という考えのもと、自分のために他者に働きかけるケースが多いです。
リーダーシップも強引さも傲慢さもこれらが原因で、自分の領分を侵されると感じたら誰であっても全力で対抗します。
不健全段階のタイプ8
何らかの原因で追い詰められ、「無敵でいたい」という思いが暴発した状態です。
相手との和解や相互理解などというものはなく、選択肢は一時撤退か徹底抗戦か。いずれにせよ周囲への猜疑心や警戒心が増し、些細なことでも爆発しかねない状態です。
ウィング
ウィングの解説は、以下の記事でしております。よろしければご参照ください。
8w7:独立した人
個人主義者、かつ攻撃的な人たち。小細工抜きの正面突破で障害を叩き潰すために、色々と策を巡らす。矛盾してそうに見えますが、要はそういう人たちです。
基本的にはバイオレンスで攻撃的でわかりやすい人たちですが、たまにクールな人とか大人しそうな人もいます。ですが内面を知れば「この人8w7だろ」と思ってしまう、わかりやすい強烈さを抱えている人たちですね。
というのも、「自分は強いから何とかなる」「やるしかないんだからつべこべ言わずにやればいい」「壁?壊せばいいじゃん」みたいなパワフルな言動がナチュラルに口から出てくるわけでして……
8w9:クマさん
タイプ8にしては妙に大人しかったり、無表情で何を考えてるのかわかんなかったりする人たち。熊ではなくクマさんです。
結局は力押しを好む人たちですが、普段は自分の力を過小評価させたりヘラヘラ笑ってごまかしたり、タイプ5みたいにダンマリを決め込んだり……何だか周囲を警戒してそうなところや裏を見せたがらない面が表出することも多いです。
タイプ8らしく強烈さはあるのですが……根本的には世界を「敵」とみなしているのでしょうか?
本能のサブタイプ(自己保存、ソーシャル、セクシャル)
サブタイプによっても、タイプ8の性格は大きく変わります。
自己保存 :パワーイズベスト!
ソーシャル:一見タイプ8らしくない保護者属性
セクシャル:お前は俺の宝物(つまりただの物)!
一言で表せば、だいたいこんな感じでしょうか?
詳しくは、以下をご覧ください。
傷つきやすさと本当の仲間
本当の自分の心に触れ、悲しみも傷つきやすさもすべて受容する……などと人格者らしき人はだいたいみんな声高に主張している陳腐な言葉です。
ですが普段から自分の脆い面に気づけないタイプ8にとっては非常に重要な要素です。
とりわけタイプ8にとってネックとなる部分は、一種の素直さなのではないでしょうか。
「遠慮しない物の言い方」「竹を割ったような性格」という意味では素直な彼らですが、意外と自分の隙や弱み(悲しみや感謝など)を出せる人は少ないように思えます。
どれほど相手を大事に思っていても、またどれほど相手を信頼していても、他人がタイプ8の思いに気づけることは少ないというのを何よりも念頭に置きましょう。
本当は悲しみや心の傷、悩みなんかも打ち明けるべですが、初手からだと難易度は高いでしょう。まずは仲間たちへの感謝からです。
わざわざ場を設けるために物を与えるとか食事をおごるとかではありません。大概タイプ8はその辺の配慮は十分やってるはずです。大事なのは、素直な気持ちを表現すること。
人に自分の本心をしっかりと話し、また相手からも自分の本心に対してどう思ったか、どうすればいいかをしっかりと聞く。
その上で、実際に実行しないまでも1つの選択肢として考慮し、感謝の意を示す。
そうして激しいだけではない一種のウェットな関係を人と構築できたとき、タイプ8にとってより世の中は生きやすくなるはずです。
他人に本当の意味で心を開くのが、タイプ8がより生きやすくなるための第一歩です。
※なお、不健全な場合はその限りではありません。詳細は以下をご参照ください。
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