『ベンジャロン焼き』絵付け工房を見せていただく
今月バンコクに出かけた時の休日エピソードを断片的に記事にしています:
技術職・研究職としての私は無機材料/セラミックスを生業としており、リタイア後に各学会から順次退会していますが、唯一所属をキープしているのが、日本セラミックス協会です。
現役時代に関わっていたのは、センサー、エネルギー変換、半導体など機能性材料でしたが、陶器磁器など伝統的セラミックスにも若い頃から関心を持ち続けています。
今回、タイの伝統工芸である、『ベンジャロン焼き』の絵付け工房を見学する機会がありました。
今年創立45周年を迎えた、日本人が経営する老舗のベンジャロン焼きのお店『タイ・イセキュウ(THAI ISEKYU)』です:
『ベンジャロン』の意味はサンスクリット語で「5 colors」ですが、実際は3色から8色の美しい彩色を施した磁器です。
1150-1280℃で焼かれた白い磁器の上に顔料を含む釉薬で模様や絵を描き、描き終わると再び炉に入れて800-1000℃で焼き上げるのだそうです。
私の泊ったホテルは高速鉄道(BTS)Asok駅の前で、タイ・イセキュウまで徒歩で10分もかかりません。
前日にこの近くでタイ式マッサージを頼みました(2時間で800バーツ=3,500円)が、20年前ほど痛くはなかった。あまり激しいのはかえって良くないということで、マイルドになっているとのこと。
ベンジャロンの絵柄はかなり細かく、絵付師さんはかなり集中して作業中でした。お邪魔をしないよう、そっと見せていただく……。
ベンジャロンも、絵柄をプリント塗装したものは安価であり、このお店のように肉筆で精緻な模様を描いたものは上質品となります。
2階にも絵付け工房があるとのことで、お願いして作業中のところを見せていただきました。
この2階では『絵付け教室』も開かれていて、指導を受けて自分で磁器に図柄を描き、焼き上げた後、自作を受け取ることができるそうです。
旅人でなければ私もトライしたいところですが、絵付け後の磁器はバッチ式で焼成されるため、焼き上がり後の作品を受け取るには何週間か待たねばならないとのことでした。
伊万里焼とルーツは似ているのかもしれないな、と思いましたが、ベンジャロンの絵付けはさらに精緻で、かつ、金色を多用しているようです。
金色って重要なのでしょうね、この国では。